第八章 ウィンターベル~デヴィン~
シャンメリーを飲んでいるとまたしても歓声が上がった。
「デヴィン君、一緒に踊ろうよ」
「デヴィン君、こっちこっち」
「ごめんね、先輩方。ちょっと先約があるから」
振り返ると銀髪をワックスで固めた黒の燕尾服のデヴィンがそこにいた。
中には白いベストを着こみスカーフを巻いている。
いつもの可愛らしい雰囲気ではなく、ちょっぴり男性らしさが漂っている。
「マヤ先輩、もう誰かと踊っちゃいましたか?」
「え、うん。ライアン様と」
それを聞くとデヴィンは拳を握りしめ、口の中で小さく何事かを早口で呟いた。
「一番じゃなかったのは悔しいけど、一曲踊ってもらえますか?」
「ええ、私で良ければ喜んで」
デヴィンの腕を取るとあからさまに睨みつけてくる女子生徒たちがいた。
もう毒を食らわば皿までである。
「今日のドレス、僕が選んだやつじゃないんですね」
「うん、シャーロットが選んでくれたの。
あるから良いって言ったんだけど、冬用で最新のモデルを買いに行くって言って……似合ってない?」
「そうは言ってませんけど……今日は一段と綺麗です」
「ありがとう。デヴィン君って小柄だと思ってたけどしっかり筋肉があって、
身長も私より高かったんだね」
「当然です、僕はまだ伸びますよ。今にマヤ先輩なんて軽く超えて見せますから」
「それは頼もしいね」
「そんな余裕をかましていられるのも今のうちですからね」
デヴィンは曲の終わりを敏感に察知した様子で、少し別れがたい表情を見せる。
しかし、二人は曲が終わるとすっと別れた。
「それでは良い夜を」
「良い夜を」
お読みいただきありがとうございました。
舞踏会編はまだ続きます。




