第八章 ウィンターベル~冬の到来~
時は駆けるように早く過ぎていく。
あれから、四人の運命の相手たちとは良好な関係が構築できているように感じている。
会えば必ず挨拶してくれるし、何かと話しかけてくれたりするし、順調だと思う。しかし・・・・・・
「ねぇ、パック。好感度チェックできなくなっちゃったんだけど」
「ああ、王国の危機から半年を切ると見えなくなる仕様なんだよね」
「嘘でしょ!?」
夏からすっかり忘れて一度も好感度チェックをしていなかった。
その理由が仕様とは、一体どういうからくりなのだろう。
私は好感度チェックが出来なくなって不安になりつつも学園生活を送るしかなかった。
そうこうしている間に秋は過ぎ去り、とうとう冬へと突入した。
「冬が来たわ、マヤ!ウィンターベルがやってくるわよ!」
シャーロットは雪がうず高く積もった学園を見ながら高らかに宣言した。
「シャーロット……それでウィンターベルって何?」
「マヤ、あなた本当に三年もこの学園にいたの?ウィンターベルは学園で行われる舞踏会のことよ」
「ああ、私ダンス踊れないし、ドレス持っていなかったから参加しなかったんだった」
「それじゃあ駄目よ!今からドレスを買いに行きましょう!それから、アタシがダンスの指導をしてあげる。さあ出かけるわよ!」
こうして私たちは街に出て、ドレスを新調した。
それからシャーロットによる鬼のダンスレッスンが始まった。
「違う、マヤ。背筋は真っすぐ!胸をもっと突き出して!」
シャーロットは男性パートを踊りながら厳しく指導した。
「シャーロット、なんで男性パートまで踊れるの……?」
「うちは貧乏貴族だって言ったでしょ。妹の分まで家庭教師を雇う余裕がなかったから男性パートも覚えておいたの」
流石シャーロット、根性がたくましいなとマヤは息も絶え絶えに思った。
「それじゃあ、もう一回行くわよ!」
「はい!」
雪が深々と積もっていく。それに対してシャーロットの指導は熱を帯びてきた。
ウィンターベル当日、いつも以上に皆浮足立っていた。
この日ばかりは上流階級の令嬢たちはこぞって実家からメイドたちを呼び寄せて着飾った。
私の元へも王宮からメイドが二人やって来た。
「ライアン様に命じられてやって参りました。本日はお世話をさせて頂きます」
「良かった。あたしじゃ力不足だし、自分の用意もあるから困ってたの」
「シャーロット様のお世話も差し支えなければ私がやらせて頂きます」
「本当?王宮のメイドにやってもらえるなんてラッキーだわ、ありがとう、マヤ!」
「私の力じゃなくてライアン様のお陰なんだけど」
そう言いながらメイドたちによって美しく整えられていった。
「出来ました。マヤ様、アクセサリーはこちらのネックレスでよろしいでしょうか」
はいと私は答えた。
薄い水色のベルベットのドレスは前が開いて白のレースが何層にも重なっている。
胸元は揃いのバラを模した飾りがついており、肩周りはやはり白のレースがあしらわれてる。
髪はアップにして白い本物のバラとリボンを編み込んである。
「うーん、マヤも立派な淑女になったのね。最初はただのがり勉のゴリラだったのに」
しみじみと赤いドレスに身を包んだシャーロットが振り返った。
「さあ、行くわよ、マヤ!」
ホールはシャンデリアが煌めき、色とりどりのドレスで埋まっている。
「す、すごい人だね」
「マヤ、気後れしたら負けよ。『今日の自分は美しい』って不安になったら唱えるのが良いわね」
そうシャーロットが説いている間にもシャーロットと踊りたい男子生徒がこちらにちらちらと視線を送っている。
「大丈夫だから、シャーロット!ほら、踊ってきたら?」
シャーロットが振り返ると一人の男子学生が腕を差し出してきた。シャーロットは軽くドレスをつまみ軽く膝をかがんでその腕を取った。
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※話を統合しましたので、話数が変化しております。途中喪までお読みだった方すみません。




