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第七章 ハーベスト祭の夜~リアン視点~
悩める男心その三
今日はハーベスト祭だった。
だが、私にとってはいつもと変わらず静かに終わるはずの一日だった。
毎年、菓子と花を渡そうとする女子生徒を私はいつも断って来た。
流石に今年は来ないだろうと思っていたら、なんとマヤ君が菓子と花を持って来た。
私は咄嗟にどうしたら良いか判断に迷った。
その間にマヤ君は消えてしまった。
マヤ君は、他の人間たちとは違う。
高い知性と豊かな感受性を持ち、そして勤勉だ。
バケーションの際、家に呼んだのは私の自己都合だったのだから礼は必要ないし、そもそもこれは好意を表す行事だったはず。
明日事情を話して返した方が良いのだろうか?
そう考える一方で、心が高揚する自分がいることに気付く。
貰ったのだから、食べても良いだろうと私は自分を納得させた。
菓子はごくシンプルな焼き菓子だったが、作り手の丁寧さが伝わってくる。
それにしても、この花はどうやって折ったのだろうか?
お読みいただきありがとうございます。
ライアン編は後程投降したいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。




