第一章 ようこそ魔法学園へ~ステ上げ~
王立魔法学園に入学後、私はひたむきにひたすらただただ頑張った。
魔術と召喚術だけでなく、人生に無かったほど必死に武術を身に付け、歴史や法律、魔法学など学業も手を抜かなかった。
その結果、二年目に差し掛かるころにはどの分野でも首席を取るまでになっていた。
「頑張ってるね、マヤ!ステータスも順調に伸びてるよ」
「ステータス?」
「ほら、能力値の評定。今のマヤならできるでしょ?」
簡単な魔術を唱えると、私自身のステータスが目の前に一気に表示された。
「何々……HP六百六十五、MP八百二十二、攻撃力五百三十、防御力六百九十」
あれと私は既視感を覚えた。こういうものをどこかで見たことがある。あれは確か……
「そうだ、兄さんのゲーム! ここはRPGの世界なんだ!」
TVが一つしかなくて奪い合ったあの日々。私と妹は仕方なく、兄のゲームを眺めていた。
それなら、『国の危機を救う』という最終目標も納得できる。
とにかく、ステータスを上げて、準備を万全にしておかねばならない。
「それにしても知力はわかるけど、教養と美容ってRPGで何に必要なんだろう?」
知力は高いが、それ以外の二つは軒並み低い。もう、ゼロになるすれすれである。
気にするほどでもないとこの時の私の判断を後悔するのは更に一年後のことである。
そして冒頭に戻る。私が魔法学園に来て三回目の春だった。予言の成就まであと残すところ一年となっていた。
「どういうこと、パック?!今の私ならどんな魔物が来ても、倒す自信があるよ!?」
能力値の評定を見ても、HP、MP、攻撃力、防御力、知力どれをとってもカンスト状態である。
「マヤ、この王国の危機を救うには一人の力ではダメなんだ。愛の力が発揮されて危機を退けることができるんだ」
「愛の力ってどういうこと?」
「この学園に在籍している運命の相手と愛を育まなければならないんだ」
「嘘でしょ?! 全然、聞いてないんだけど!」
私は掴みかからんばかりに、パックに食って掛かった。
パックは危険を察知して私から少し距離を取って漂っていた。
「だから、今、教えているんじゃないか。運命の相手となる四人にはもうマヤは出会っているよ」
「そうだったの?!」
「マヤの目から見れば運命の相手候補はキラキラ輝いているはずだから、一目瞭然だよ」
お読みいただきありがとうございました。
次回より主要キャラが登場します。