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最強の聖女は恋を知らない  作者: 三ツ矢
第一部 エンディングまであと一年
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第四章 個人イベント発生 ~リアン~

 そんなある日、図書室に向かう途中人が倒れていた。

私は急いで駆け寄り、うつ伏せのその人を助け起こした。


「大丈夫ですか?!あれ……リアン先輩?」

「君は……クラキ君」

「リアン先輩、一体こんなところでどうしたんですか?」

「それは……」


リアンが答える前にリアンのお腹が控えめに鳴った。


「研究に夢中になっていて、寝るのと食べることを忘れていた……」

「わかりました。とりあえず、休める場所へ行きましょう」


私はリアンを担ぎ、庭園の見えるベンチに座らせた。

長身のリアンだがその華奢な体を私でもなんとか移動させることに成功した。


「まずは食事です。先ほど購買で買ったサンドイッチです。どうぞ」


リアンはぼーっとしながら、それを受け取って食べ始めた。

切れ長の瞳は今にも瞼が閉じそうになっている。


「自家製のハーブティーです。こちらも召し上がってください」

私は繊細な炎魔法でハーブティーを温め、リアンに手渡した。

リアンはハーブティーの香りをかぎ、こくこくと飲み始めた。


「温かい……美味しい。ありがとう」


ぼんやりとしたリアンがどこか安心したような微笑みを浮かべた。


「一体、いつから食べてなかったのですか?」


私の質問にリアンはぼんやりと遠くを見ながら答える。


「一昨日……食べたような」


それからは無言で食事に集中していた。

食事を進めるうちに頭が徐々にはっきりしてきたようだ。


「……クラキ君、先程は大変失敬した。自己管理不足だ。

助けてくれたことは感謝するが、どうかこのことは内密に頼む」

「わかりました、リアン先輩。どうか、睡眠もとってくださいね。ご自愛ください」

「そうさせてもらう。それでは失礼」


私は去ろうとするリアンの好感度をさりげなくチェックした。

黒から青いハートに変わっていた。完全に姿が消えてからパックに話しかけた。

「今のもイベント?」

「そうだよ。イベントも運命の導きだからね。一歩前進だよ、マヤ!」

私は小さくガッツポーズをした。草の根活動も無駄ではなかったらしい。


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