幕間 狡猾な後輩は籠絡する
「ねぇ、先輩。先輩のお父様ってコンサートホールのオーナーでしたよね?」
「そうだけど、どうしたの?」
「オペラ歌手のオリビアさんのサインがどうしても欲しいんですけど」
「ああ、今人気だもんね。お父様に言えば何とかなると思うよ」
「ぜひ、お願いします。これ、先輩に似合うと思って。受け取ってください」
「あら、素敵なアンティークレース。ありがと、デヴィン……こういうことするのあたしだけだよね?」
「もちろん、先輩だけですよ。それじゃあサインお願いします」
僕は先輩の頬に軽くキスするとさっさと立ち去った。
それから教室に戻って、男子生徒に声をかける。
「オリビアのサイン用意できそうだよ」
「本当か?デヴィン。やるな、やっぱり持つべきものは友達だよな」
「まぁね。親父さんにハートウィック家の件よく伝えておいてくれよ」
「任せろよ」
女子だけじゃなく男子とも上手くやってみせる。
この世の中は損得勘定で回ってるんだから、相互利益を追求していけば難しいことじゃない。
みんな幸せならそれでいいでしょ?
次の話から個人イベントが発生します。
四人のいずれも性格に難がありますが、どうか見捨てず見守って下さい。




