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最強の聖女は恋を知らない  作者: 三ツ矢
第二部 エンディングまであと一年~再来~
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第五章 魔女の呪い~救出~

 ハントから三週間、マヤが行方不明になり、王城の一部や屋敷では騒動になっていた。多くの軍兵、警察官、役人、商人が探し回ったが、その行方は杳として知れなかった。


リアンやデヴィン、エヴァンも必死に捜索したが、発見することができなかった。三人はリアンの家に集まって、話し合いをしていた。


「グリーン伯爵邸から王都まで隈なく探したが、マヤらしき人を見た者はどこにもいない」

「僕も行商人たちに探してくれるよう頼みましたが、何の情報もありません」

「王城の中も混乱している。宮廷に閉じ込められていないか、探してみたがいなかったよ・・・・・・しかし、面白い人物を見つけた」


その名を聞いて二人は驚く。しかし、マヤの行方は分からず三人は沈痛な面持ちで顔を突き合わせていた。


「原因はやはりレイラ・ジラールとアッシャー王子だろうな。目的は時間稼ぎか」

「今年も残り五日か……それまでにライアンの心を取り戻さなければ」

「マヤさんは元の世界に戻されてしまう……しかし、どうしたら?」


その時、金色の燐光を放つ妖精がどこからともなく現れた。


「この光は妖精王、オーベロン……!」

「マヤの元へ導いてくれるのか?」

「行きましょう!」


リアンとデヴィンは馬車に乗り込み、エヴァンは御者席に座った。そして妖精の導きの通りに馬車を走らせた。五時間ほどかけて小さな農村にたどり着いた。すっかり辺りも日も落ちて暗くなっていた。その中の小さなレンガ造りの家の前をオーベロンが飛び回る。


「こんなところに村があったのか」

「グリーン伯爵領から少し外れた村だな」

「ここに本当にマヤ君はいるのかい?」


三人はドアをノックした。


「夜分遅くに失礼する。尋ね人を探しているのですが」


そこに四十絡みの女がドアを開けた。


「まぁ、どなたをお探しですか?」

「我が国の顧問魔術師のマヤ・クラキだ。この顔に見覚えは?」


リアンがマヤのスケッチを女に見せる。


「さぁ、存じませんね。ここは私とおばあ様の二人暮らしで若い女性なんていませんよ。夕食の支度があるので失礼してもよろしいですか?」


女がいそいそとドアを閉めようとしたその時、オーベロンが部屋に入り込んだ。それを見た三人は頷き合い、エヴァンがドアを無理矢理開けさせた。


「失礼」


リアンとデヴィンが部屋の中に入ると小さなリビングのソファーに一人の老婆が座っていた。


「あら、どなた様でしょうか?」


老婆は驚いた様子で突然の侵入者たちに尋ねた。


「貴族様たちがいらっしゃるなんて。うちには何もありませんが、一体どうなされたのですか?」


三人は茫然と老婆を見ていた。老婆の周りをオーベロンが飛び回っている。それに老婆は全く気付いていない。なにより、老婆の顔にはマヤの面影が色濃く残されていた。


「あなたはマヤ・クラキさんですね?」

「いいえ、私はカヤと申します。ただの老人ですわ」

「ちょっと失礼します、カヤさん……秘匿されし忌まわしき魔法よ、その姿をここに現せ」


リアンはカードを取り出し、その一番上のカードを手から離すとふわりと浮き上がった。カードは背中の肩甲骨の辺りに張り付き、するとそこには四枚の羽根を纏った紫の蝶が浮かび上がった。


「これは……マヤさんが言ってた蝶の刺青!」

「間違いない。魔力と若さ、そして記憶を封印されているんだ」


リアンが告げると、エヴァンが舌打ちをした。


「どうやって解除するんだ?」

「私の魔法では解けない……マヤ君自身が何とかしなければ」

「カヤ様から離れろ!」


女中がナイフを振りかざして、三人に襲い掛かって来た。エヴァンが軽く躱し、手首を手刀で叩くと女はナイフを取り落とした。


「まずは、説明してもらおうか」

「あたしゃ、何にも知らないよ。ただ今年いっぱいこの老人の面倒を看たら多額の報奨金をくれるっていうから引き受けただけさ」

「その相手はレイラ・ジラールとアッシャー王子だな?」

「……」


女は押し黙った。


「ねぇ、この方たちどなたなの?一体何が起こってるの?」


マヤが女に尋ねると女は怒鳴りつけた。


「うるさい!そんなこと知ったことか。あたしゃ、アンタの世話と見張りを頼まれてただけなんだから!それも今日で終わりさ。出ていかせてもらうよ」


女の変わりように老婆はびくりと身をすくめた。エヴァンを振りほどこうとしたが、エヴァンは万力のごとく女を締め上げていた。


「言え。誰に頼まれた?」

「今言えば私が警察に口を利いておこう」

「……アッシャー王子とレイラとかいう女だよ。本当に警察には口を利いてくれるんだね?」

「ああ、君が法廷でもきちんと証言してくれたらね。エヴァン君、彼女を捕縛しておいてくれ」


デヴィンが老いたマヤをずっと抱きしめていた。マヤは不思議なことにこの三人が全く怖くなかった。それどころか、とても懐かしい気がしていた。


「少しお話ししましょう、マヤさん」


マヤは一つこくりと頷いた。


お読みいただきありがとうございます。

四重に呪いをかけられたマヤは一体どうなるのでしょうか?

それでは後程お会いしましょう。

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