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持つもの持たざる者  作者: モノクロ
全てのはじまり
2/6

幸せな1日

ここはカルナ村、鉱山のすぐ近くに作られた安息の地だ。

この付近には強い魔物は発生せず、あまり魔物が近づくこともない。

鉱山という関係上、王都から離れていて道も険しいために人が近寄ることも居住することも滅多にない。

そんなところだからこの村には俺を除く22人しかいない。

そんな俺たちは今日も何気ない1日を送っていた。


「ねぇ、アルフ!この髪飾り可愛くない?!」


そして彼女、アルーナもこの村の住民…いや、家族の1人だ。


「んー、似合ってるんじゃない?」


彼女が花の髪飾りをつけている姿を想像する。

その姿はとても可愛らしいと思えた。


「なんかてきとー」


彼女は不満そうに答える。


「いや、普通にかわいいって思ったんだけど?」

「かわいいって……バカっ!!」


彼女の反応を見て少し自分も恥ずかしくなる。


「2人とも今日もあついねぇ、、」

「やめてよ、ルーダおばさん…こんなバカと…」


段々声が小さくなる。きっと照れ隠しなんだと思う。

この人はルーダおばさん、この村でアクセサリーを作っている職人だ。

この村では15才になると1人1つの役割を与えられる。

俺とアルーナはあと1年を境にこの村でどの役割を与えられるか決まる。

もちろん、いやならこの村を出ることも出来る。

この村のみんなは家族なんだ。無理強いはしない。

けど、そんなこの村を、家族を守ることが生まれながらの役割ということを知ってる。

それが能力を与えられた俺の仕事なんだ。


「はい、アルーナちゃん。アルフくんと仲良くね。」

「ありがとうルーダおばさん!」


彼女は花の髪飾りを受け取り、すぐにつける。

彼女の金色の髪に青い花の髪飾りは彼女の優しさを表しているようだった。

想像以上に似合っていて見とれてしまう。


「そんなに見られたら恥ずかしいんだけど」


恥ずかしそうに彼女は笑う。

そんな笑顔を見せられたら余計に目を話したく無くなるじゃないか。


「今日は付き合ってくれてありがと」


彼女は髪飾りが余程嬉しかったのか凄く満足そうに笑う。


「楽しかったんなら良かった。」


そうしてそれぞれの家に戻った。



夜、草木も眠る丑三つ時。

俺は鉱山の魔物を狩っていた。

この鉱山は魔物が非常に発生しにくいが、発生した魔物は中級の魔物が多い。

鉱山で発生する魔物は俺しか狩ることが出来ない。

何故なら、この村では俺以外攻撃魔法を使うことが出来ないからだ。

治癒魔法を使うことが出来るのもアルーナとルーダおばさんだけだ。


「フレアッ!!」


今日はスケアリーウルフが2体発生した。魔物が発生するのは満月の夜が多い。

理由は単純に魔物が発生するための条件である一定の魔素量の安定が起きやすいからである。月が原因と考えられているが詳細は不明らしい。

だから、満月の夜はこうして魔物を狩りに出る。


「わぉぉぉぉぉぉぉん!!」


俺の唱えた火属性魔法のフレアは、見事に片方のスケアリーウルフに命中する。

スケアリーウルフは銀色の毛並みに鋭い爪を持つ魔物だ。

その見た目通りの速度で獲物を襲う非常に気性の荒い魔物である。


フレアに命中したスケアリーウルフは地面を転がり、火を消そうとしている。

もう片方のスケアリーウルフが飛びかかってくる。

それに合わせて右手を合わせ、唱える。


「インパクトッ!」


インパクトは範囲が非常に狭く、その変わりに威力が他の魔法と桁違いの無属性魔法だ。

スケアリーウルフは体が2〜3メートルほど後方に吹き飛び、絶命した。

もう片方のスケアリーウルフの姿はすでになかった。鉱山の奥に逃げていったのだろう。鉱山は迷宮と言われるほど複雑だ。深追いすると帰れなくなるかもしれない。


「まぁ、こんなもんかな。」


スケアリーウルフの死骸は塵になり、宙を舞う。

今日は綺麗な満月だ。





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