持つもの持たざる者

全てのはじまり

プロローグ

「アルフ、おはよーっっ！！！」

俺は彼女のサイレンのような声で目を覚ます。

「なんだよアルーナ…朝からうるいなぁ……」

重い体を起こし、服を着替え始める。

「今日は一緒にお出かけする予定だったでしょ…って！急に着替えないでよ！」

彼女は慌てて顔を覆い、後ろを向く。その仕草は何とも可愛らしい。

俺は彼女の要望に応えるべく、かけていた上着を羽織り扉を開ける。

「ほら、行くよ。お出かけするんでしょ？」

この物語は彼の人生を書き記したものである。