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時は流れるままに 99

「そんなに難しく考えるなよ。要するにだ。アタシの満足できる格好でそう言う舞台に出てくれりゃあいい。それだけの話だ」 

 そこで話を切り上げようとする要だが、カウラはそのつもりは毛頭無かった。

「貴様の身勝手に付き合うのはごめんだな。それならアイシャにも買ってやる必要があるんじゃないのか?」 

 カウラの言葉に手を打つ要。そんな要をまばゆい光をまとっているような目で見つめるアイシャ。

「ああ、そうだな。オメエいるか?」 

 嫌そうな顔の要。だが目の前には満面の笑みで紺色の髪を掻きあげるアイシャの姿がある。

「断る理由が無いじゃないのよ……お・ひ・め・さ・ま!」 

「気持ち悪りい!」 

 しなだれかかるアイシャを振り払う要。だが、その状況でカウラは要に高額な宝飾品を断る理由が無くなった。

「でもあまり派手なのは……」 

 そんなカウラの肩に自信を持っている要が手を乗せる。

「わかってるよ。アタシの目を信じな」 

 自信がみなぎっている要。そんな表情は模擬戦の最中にしか見れないものだった。隣のアイシャもうれしそうに妄想を繰り広げている。

「じゃあ私の目にもかなうもので頼む」 

 明らかに要のペースに飲まれていると不安げに誠に目をやりながら引き下がろうとするカウラ。だが、この状況で要が彼女を巻き込まないはずが無かった。

「あれ?ついてくるって言わなかったか?」 

 目じりを下げる要。おどおどと戸惑うカウラ。アイシャはまだ妄想を続けていた。

「安心しろよ。アタシが行く店は信用が置けるところばかりだからな。つまらないものはアタシが文句を言って下げさせて見せるぞ」 

 胸を張る要。それをさらに心配性な表情で見つめるカウラ。

「つまらないところで揉めないでくれよ」 

 すっかり四人で中心街に向かうことになってため息を漏らす誠だった。

「で……僕の絵は?」 

「楽しみにしている。西園寺の贈り物よりはな」 

 カウラはそう言って出て行った。

「結構な出費になりそうね」 

 にやけたアイシャだが、要は別のそれを気にする様子は無かった。

「まあ、何とかなるだろ。あんまり根はつめるなよ」 

 そう言うと要は右手を上げてそのまま出て行く。それにつられて興味を失ったようにアイシャも続いた。

 誠はようやく独りになって礼服姿のカウラを想像しながら下書きに取り掛かろうとした。

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