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時は流れるままに 96

「一応案はあるんだけど……誠ちゃんも少しはこういうことを考えてもらいたい時期だから」 

 神妙な顔のアイシャ。

「何の時期なんだよ!」 

 突っ込む要。だが、アイシャのうれしそうな瞳に誠は知恵を絞らざるを得なかった。

「そうですね……野球のユニフォーム姿とか」 

 誠はとりあえずそう言ってみた。アンダースローの精密コントロールのピッチャーとして実業団でのカウラの評判は高かった。勝負強さと度胸からドラフト候補にも挙がったアイシャを別格とすれば注目度は左の技巧派として知られる誠の次に評価が高い。

「なるほどねえ……」 

 サイボーグであるため大の野球好きでありながらプレーができずに監督として参加している要が大きくうなづいた。

「でも、意外と個性が出ないわよね。ユニフォームと背番号に目が行くだろうし」 

 アイシャの指摘は的確だった。アンダースローで保安隊のユニフォームを着て背番号が18。そうなればカウラとはすぐわかるがそれゆえに面白みにかけると誠も思っていた。

「それにカウラちゃんのきれいな緑の髪が見えないじゃない。それは却下」 

 そんな一言に少しへこむ誠。

「そう言えば時代行列の時の写真があっただろ?あれを使うってのはどうだ?」 

 手を打つ要。豊川八幡宮での節分のイベントに去年から加わった時代行列。源平絵巻を再現した武者行列の担当が保安隊だった。鎧兜に身を固めたカウラや要の姿は誠の徒歩武者向けの鎧を発注するときに見せてもらっていた。凛とした女武者姿の二人。明らかに時代を間違って当世具足を身につけているアイシャの姿に爆笑したことも思い出された。

「あの娘、馬に乗れないわよね。大鎧で歩いているところを描く訳?それとも無理して馬に乗せてみせる?」 

 アイシャの言葉にまた誠の予定していたデザインが却下された。鉢巻に太刀を構えたカウラの構図が浮かんだだけに誠の落ち込みはさらにひどくなる。

「あとねえ……なんだろうな。パイロットスーツ姿は胸が……。巫女さんなんて言うのはちょっとあいつとは違う感じだろ?」 

「巫女さん萌えなんだ、要ちゃん」 

 満面の笑みのアイシャ。

「ちげえよ馬鹿!」 

 ののしりあう二人を置いて誠は頭をひねる。だが、どちらかといえば最近はアイシャの企画を絵にすることが多いこともあってなかなか形になる姿が想像できずにいた。

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