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時は流れるままに 95

「まず、ああ見えてカウラは自分がお堅いと言われるのが嫌いなんだぜ。知ってるか?」 

「ええ、まあ」 

 はじめの要の一言は誠も知っているきわめて常識的な一言だった。アイシャは例外としてもそれなりになじんだ日常を送っている人造人間達に憧れを抱いているように見えることもある。特にサラのなじんだ様子には時々羨望のまなざしを向けるカウラを見ることができた。

「それに衣装もあんまり薄着のものは駄目よ。あの娘のコンプレックスは知ってるでしょ?」 

 アイシャの指摘。たしかに平らな胸を常に要にいじられているのを見ても、誠も最初から水着姿などは避けるつもりでいた。

「あと、露出が多いのも避けるべきだな。あいつはああ見えて恥ずかしがり屋でもあるからな。太ももや腹が露出している女剣士とかは避けろよ」 

 そんな的確に指摘していく要を誠は真顔で覗き見た。一年以上の相棒として付き合ってきただけに要の言葉には重みを感じた。確かに先日海に行ったときも肌をあまり晒すような水着は着ていなかった。ここで誠はファンタジー系のイラストはあきらめることにした。

「それならお二人は何が……」 

『メイド服』 

 二人の声があわさって響く。それと同時に誠は耐え難い疲労感に襲われた。

「要ちゃんまねしないでよね!それにメイド服なら……」 

「着せてそれを参考にして描けばいいじゃねえか。それに誠……」 

 ニヤニヤと笑いながら近づいてくる要に愛想笑いで答える誠。そのうれしそうな表情に思わず身構える誠。

「考えにはあったんだろ?メイドコスのカウラに萌えーとか」 

 心理を読むのはさすが嵯峨の姪である。誠は思わず頭を掻いていた。

「ええ、まあ一応」 

 そんな誠の言葉に満足げにうなづくタレ目の要。だが突然真剣な、いつも漫画を読むときの厳しい表情になったアイシャがいつもどおりに誠に声をかける。

「まあ冗談はさておいて、何が良いかしら」 

「冗談だったのか?」 

 要の言葉。彼女が本気だったのは間違いないが、それに大きなため息で返すアイシャ。そんな彼女をにらみつける要。いつもどおりの光景がそこにあった。

「当たり前でしょ?メイド服は私のプレゼントだけで十分。他のバリエーションも考えなきゃ」 

 自信満々に答えるアイシャ。要は不満げに彼女を見上げる。

「そこまで言うんだ、何か案はあるのか?」 

 もはや絵を描くのが誠だということを忘れたかのような二人の言動に突っ込む気持ちも萎えた誠は椅子に座ってじっと二人を見上げていた。

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