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時は流れるままに 90

「この荷物・・・」 

 要は隣の席にいたアイシャが残していった袋二つを見て頭を掻いた。

「まあ、私へのプレゼントなんだろ?要か神前が持つのが普通だな」 

「よし、神前持て」 

 嫌も応も無い要の一言、苦笑いで誠はうなづいた。

「でも安心したわ」 

 心のそこからの言葉と言うようにコーヒーカップを包み込むように手にしている薫がカウラと要を見つめる。

「皆さんと仲良くやっているみたいで。この子が野球部で肩を壊したときなんて……本当にこんな感じになるなんて思ってなかったから」 

 母が安心したようにコーヒーを飲んでいるのを安心したように見つめる誠だが、その視線の先にはにやけた要の顔があった。

「なんだ?オメエにも荒れてる時期があったと言うのかよ」 

「そんなことは無いですけど……」 

 頭を掻く誠。だが、母親は面白そうに要と誠、そしてその様子を伺っているカウラを見回した。

「結構荒れてたじゃないの。肩の手術をしろという部長に当り散らしたりとか、メスを肩に入れてはじめての投球練習のときなんか……」 

「母さん!やめてくれよ」 

 誠の言葉にいかにもうれしそうな表情を浮かべる要とカウラ。

「私は肉親が無いからな。そう言う気持ちはわからないんだ」 

 どこかしらさびしげな表情でつぶやくカウラ。誠は母と向き合って自分の言葉が彼女を傷つけたのではと黙り込む。

「わかる必要もねえよ。いたらいたで面倒なだけだ」 

 それぞれの本心ともいえるカウラと要の言葉。それぞれを予想していたのか、にこやかな表情で答える薫。

「じゃあ、帰りましょうか」 

 要が一気にコーヒーを飲み下すのを見た薫が立ち上がる。すでに準備ができていたカウラ、アイシャの置き土産を行きがかりで持つことになった要。そして画材を抱えた誠。その立ち上がるのを見て店員は頭を下げる。四人はそのまま暗がりが店内に広がるような洋食屋の店内から冬の日差しが降り注ぐ金町駅前広場にやってきていた。

「なんだかうれしそうね」 

 要とカウラを目を細めて見守る薫。そんな母を見ながら誠はしばらく彼女達が自分の中でどういう存在なのか確かめてみようと思っていた。

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