時は流れるままに 88
「他人事を気取ってるからそう言う目にあうんだよ。カウラはその荷物を開けたのか?」
痛快そうに笑う要。カウラは首を横に振る。
「そうか、あれじゃないか?この前作った自主映画の怪人の衣装」
「それなら当然あんたのも来てるわよね」
アイシャの言葉にびくりと体を震わせる要。
「そうよねえ、あのお話では要ちゃんが裏切りの機械帝国の女将軍の役だったもの。私はただの端役のメガネ教師」
「うるせえ!その配役はテメエと誠で決めたんじゃねえか!」
つばを飛ばしかねない勢いでアイシャに食って掛かる要。その様子を黙ってみていた薫だが事情が飲み込めたようで声をかける。
「それって皆さんで映画を作られたって話は……」
「そうなんです、来年の節分に豊川八幡のお祭りのときに上映するんで是非……」
「見せるな!神前!見せるんじゃねえぞ!」
必死に叫ぶ要。二人の大声に他の客も視線を誠達に向けてきている。
「二人とも静かに」
「恥を掻くのは私達も一緒なんだ」
誠とカウラがなだめることでようやく落ち着いた要。アイシャは十分要をいじり倒して満足したと言う表情を浮かべている。
「ああ、そうだ。神前の持っているその荷物はなんだ?」
そんな気を利かせたつもりのカウラの言葉にアイシャの表情が緩む。
「カウラちゃん。何だと思う?」
アイシャの言葉。しばらくその言葉の裏の意味を考えようと言うようにアイシャをにらみつけていたカウラだが、特に裏も無いというように首を横に振るアイシャ。それを見てしゃれた格子模様の袋の中身をカウラは考え始めた。
「何かの材料と言った感じだな。神前は意外と器用だからな」
カウラの言葉にうなづいてみせるアイシャ。カウラの隣に座っている薫は母親だけに息子のその買い物の中身がわかったとでも言うような満足そうな笑みを浮かべていた。
「誠にしてはいい買い物ね」
満足げな薫の笑顔。さらにそれがカウラの推察を鈍いものとしていく。
「そんな神前のことでいい考え?プラモデルじゃないくらい……」
「僕はどこまで模型好きということになっているんですか!」
思わず誠は我慢できずに突っ込みを入れていた。




