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時は流れるままに 68

「いい吹け具合じゃねえか。がんばったねえ島田も」 

 そう言いながら狭い後部座席で今にも吐きそうなアイシャを目にしていた要は大きく伸びをする。

「本当にいい仕事をしてくれたよ。俺が留守の間にサードパーティーでも俺が目をつけてた部品をそろえていてくれてさ。そしてすでにくみ上げ前の再調整までしてくれていたんだ。本当にいい仕事をしてくれる男だよ」 

 軽快に回っていたエンジンを止めてにこやかに誠達を見つめるロナルド。それを迷惑そうに濡れタオルで頭を冷やしながら見つめるアイシャ。

「なんだ、クラウゼ少佐は飲みすぎか?何事も程々がいいぞ。じゃあ、彼等も仕事があるだろうから……」 

 島田の側近の技術下士官に目をやるロナルド。そのまま彼等はロナルドに敬礼すると走ってハンガーに向かう。

「元気がいいねえ。どうだ、アイシャ!見ていくだけ見ていくか?カネミツとか」 

 要は先頭に立ってにこやかな表情でハンガーに向かう。アイシャは仕方がないというようにそれに続いた。

「ああ、ベルガー大尉。後で……」 

「ガソリンエンジン搭載車の特性でも聞きたいんですか?じゃあ昼休みにでも」 

 一度話し出したらとまらないような様子のロナルドをやり過ごしてカウラはそのまま要達の後に続いた。

 三つのコンテナがハンガー前のグラウンドに並べられていた。ハンガーからは冬の豊川の気温をはるかに下回る冷気が流れ出して白い煙のように見えていた。先に歩いていた要はハンガーの中を覗き込んで少しばかり困惑したような表情を浮かべていた。

「おい、カウラ……」 

 同じく立ち止まったアイシャを制止するとカウラに目をやる要。誠とカウラはそのまま二人のところまで歩いていった。

「これは?」 

 誠の痛い機体を先頭に保安隊の保有するアサルト・モジュールが並んでいたが、先日まで嵯峨の四式改、シャムの05式特戦乙型、ランの07式特戦に変わり、はじめてみる機体が並んでいた。特に目を引いたのは調整を終えて装甲を装備している『クロームナイト』や『ホーン・オブ・ルージュ』よりも奥にある、関節部のアクチュエーターなどを露出している嵯峨の『カネミツ』の姿だった。

 腕と膝からは動力ピストンを冷やすための冷気が滝のようにこぼれてきている。さらにいつもならこんな時間には実働部隊の詰め所で音楽でも聴いているはずの吉田が、コックピットに伸ばしたコードをつけた調整用の端末を操作しているさまが異常に見えた。

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