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時は流れるままに 64

「おい、クリスマスの話がメインじゃなかったのか?」 

 思い出したようなランの言葉にわれに返ったアイシャ。誠達に腕の端末の開いた画像を見せていた彼女はそのまま自分のところに腕を引いた。

『クリスマス?』 

 不思議そうに首をひねる薫。

「いえ、カウラちゃんの誕生日が12月24日なんですよ」 

 アイシャはごまかすように口元を引きつらせながらそう言った。その言葉に誠の母の表情が一気に晴れ上がる。

『まあ、それはおめでたい日にお生まれになったのね!』 

「ちなみに八歳です」 

「余計なことは言うな」 

 要の茶々をにらみつけて黙らせるカウラ。それを聞いて苦笑いを浮かべながら要はグラスを干した。

『じゃあ、お祝いしなくっちゃ……ってクリスマスイブ……』 

 そう言うとしばらく薫は考えているような表情を浮かべた。

「そうですね。だから一緒にやろうと思うんですよ」 

 アイシャの言葉にしばらく呆然としていた薫だが、すぐに手を打って満面の笑みを浮かべる。

『そうね、一緒にお祝いするといいんじゃないかしら?楽しそうで素敵よね』 

「そうですよね!そこでそちらでお祝いをしたいと思うんですが」 

 ようやく神妙な顔になったアイシャ。その言葉の意味がつかめないというように真顔でアイシャを見つめる薫。

『うれしいんですけど……うちは普通の家よ。それに夏にだっていらっしゃったじゃないの』 

「でも剣道場とかあるじゃないですか」 

 食い下がるアイシャだが薫は冷めた視線でアイシャを見つめている。

『道場はその日は休みだし、たしかうちの人も研修の予定が入っていたような……』 

 そこで少し考え込むような演技をした後、アイシャは一気にまくし立てた。

「そんな日だからですよ。みんなでカウラの誕生日を祝っておめでたくすごそうというわけなんです」 

 アイシャを見ながらカウラは烏龍茶を飲み干す。

「完全に私の誕生日ということはついでなんだな」 

 乗っているアイシャを見つめながらぼそりとつぶやくカウラ。

『そういうこと。じゃあ協力するわね。誠もそれでいいわよね!』 

 笑顔を取り戻した母に苦笑いを浮かべる誠。

「まあいいです」 

 誠はそう答えることしかできなかった。その光景を眺めていたエルマが不思議な表情で誠に迫ってきたのに驚いたように誠はそのまま引き下がる。

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