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時は流れるままに 58

「そう言えばクリスマスの話はどうしたんだ?」 

 誠に媚を売るアイシャの姿に、苛立ちながらそう吐き捨てるように口を開いた要。彼女の方を向いたアイシャは満面の笑みで笑いかける。

「なんだよ気持ちわりいなあ」 

 そう言って引き気味にジンの入ったグラスを口にする要。そんな要が面白くてたまらないというようにアイシャは指差して誠に笑いかける。

「あの、クラウゼさん。人を指差すのは……」 

「誠ちゃんまで要の味方?……私の味方は誰もいないのね!」 

 大げさに肩を落としうつむくアイシャ。サラとパーラが複雑な表情で彼女を見つめていた。一方で下座の鉄板ではすっかり二人だけの雰囲気を作りながらエダとキムがたこ焼きを突いて微笑みあっている。

「クリスマスねえ。クラウゼも少しは素直にパーティーがしたいって言えばいいのによー」 

 ランは一人、エイ鰭をあぶりながらビールを飲んでいる。

「だって普通じゃつまらないじゃないですか!」 

 そう言ってランの前に立ち上がるアイシャ。ここで場にいる人々はアイシャがすでに出来上がっていることに気づいていた。

「つ……つまらないかなあ」 

 さすがに目の据わったアイシャをどうこうできるわけも無く。口ごもるラン。誠が周りを見ると、要は無視を決め込み、カウラはエルマとの話を切り出そうとタイミングを計りつつ烏賊ゲソをくわえている。

 パーラとサラ。本来なら酒の席で暴走することが多いアイシャの保護者のような役割の二人だが、完全に彼女達の目を盗んで飲み続けて出来上がったアイシャにただじっと見守る以外のことは出来ないようだった。

「やっぱりクリスマスと言うと!」 

 そう言うとアイシャはランの前にマイクを気取って割り箸を突き出す。

「そうだなー、クリスマスツリーだな」 

「ハイ!失格。今回はカウラちゃんのお誕生日会なのでツリーはありません!」 

 ハイテンションでまくし立てるアイシャ。その姿をちらりと見た後、ランは腹を決めたように視線を落とした。

「じゃあ次は……」 

 得物を探して部屋を見渡すアイシャ。偶然にも笑い会っていたキムの視線がアイシャとぶつかってしまった。顔全体で絶望してみせるキムに向かってアイシャは満面の笑みでインタビューに向かった。

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