時は流れるままに 54
「あらあら……皆さんどういたしましたの?ささ、皆さん今日はカウラ様からおごっていただけると言う仰せなのですから……どうされました騎士クバルカ様」
「キモイぞ西園寺。それと払うのはテメーだ」
時々お嬢様を気取ることもある要だが、初めてその現場に立ち会ったランが複雑な表情で要をにらんでいる。タレ目の要は満面の笑みでランを見つめている。
「まあ、失礼なことを仰られますのね。おーっほっほっほ」
要が口に手を上げて笑い始める。カウラとアイシャの二人はこういう状況の要には慣れているので完全に普通に振舞っている。それを見てサラは階段の方に歩き始めた。
「小夏ちゃん!料理をお願い」
「ハーイ!」
小夏の声が聞こえると要はそのまま目の前のグラスを飲み干す。そうして大きくため息をつき。彼女を見つめているエルマを見つめながらにんまりと笑った。
「やってらんねえなあ」
「ならやるな」
お嬢様モードからいつもの調子に戻った要。頭を掻きながら手酌でジンを飲み始める。
「それにしても本当に綺麗な髪よね。カウラちゃんもそうだけど……」
そう言ってアイシャがエルマに近づいていく。だが、危険を察知したカウラが彼女の這って来た道をふさいでしまう。
「ええ、本来は毛髪は不要として設計されていますから。起動前の培養成長期末期に毛髪の育成工程の関係で髪質が向上しているらしいんです」
エルマの説明を聞きながらさすがに彼女の髪をいじるわけにも行かず、手前のカウラの髪を撫で始めるアイシャ。
「便利よね。私の頃にはそんな配慮なんて無いもの。ああ、そう言えばサラも起動調整のときに髪の毛がどうとか言ってなかった?」
アイシャににらまれて階段の手前で苦笑いを浮かべるサラ。
「たぶん気のせいよ。エダも私も製造準備はゲルパルト降伏以前だもの。アイシャとは大差ないわよ」
パーラの言葉に納得するアイシャ。彼女はそのままエルマの後ろに座る。
「そう言えば紹介まだよね。私……」
「順番にしろ。今回はエルマは私の部下に会いに来たんだ。次は……神前」
カウラがアイシャをさえぎって誠をにらんでくる。仕方なく誠は頭を掻きながら立ち上がる。彼を見るとエルマはうれしそうな表情で緊張している誠に目を向けてきた。
「おい、アタシはどうするんだ?」
頭を掻きながら要がカウラを見つめる。
「貴様はさっき済んだろ?」
カウラの言葉に拳を握り締める要。誠はカウラに見つめられるままに立ち上がった。




