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時は流れるままに 49

「おせーぞ!」 

 そう言って見上げてくるランだが。その顔は半分泣きが入っていた。そしてちらりと彼女はロナルドの方に目をやってすぐにうつむく。

「すいません……シン大尉に呼ばれてたもので」 

「言い訳にはならねーよ。とっとと端末起動しろ。それとなあ、先日の訓練の報告書。再提出だ」 

 ランの言葉がとりあえず仕事をしろと言う内容なのでほっとしながら誠は自分の席にたどり着く。部屋に入ってから誠が端末の電源を入れるまでの間、ロナルドは三回ため息をついていた。目から上だけを端末の上から見ることが出来る小さなランに目をやると、明らかに疲れきった表情をしていた。

「遅くなりました!」 

 今度はカウラが入ってきた。ランはすぐに早く席に着けというハンドサインを送る。せかせかと急ぎ足で自分の席に着いたカウラも端末を起動させる。そしてまた大きくロナルドがため息をついた。

『おい!神前。男だろ!何とかしろ!』 

 画面にランからのコメントが入る。

『無理ですよ!』 

 誠はセキュリティーを確認した後、ランに限定してコメントを送る。そしてランを見てみると元々にらみつけるような目をしている彼女の目がさらに厳しくなる。

『しょうがないじゃないですか!シン大尉からできるだけ目立つなと言われてるんですから』 

 コメントを送ってランを見てみると納得したように頷いている。

「おあよーんす」 

 いつものだれた調子を装って要が扉を開く。彼女の声に反応してロナルドが顔を上げた。青い瞳に見つめられた要の表情が凍りつくのが誠にも見える。そのまますり足で誠の席の隣の自分のデスクにつくとすぐに端末からコードを伸ばして首の後ろのジャックに差し込む。

『おい!やっぱきついぞ。これ』 

 すぐさま要のコメントが誠の端末の画面に現れる。誠ももう反応するのも億劫になり、とりあえず閉所戦闘訓練の報告書にランから指示された訂正指示にそって書き直す作業に入った。

「おはようございます……あれ、静かですね」 

 現れたのは嵯峨楓。第三小隊の隊長らしく渡辺かなめとアン・ナン・パク。二人を従えて悠々と自分達の席に着いた。

『大丈夫か?楓はああ見えて結構無神経だぞ』 

 今度はカウラのコメントが誠の作業中の画面に浮かんだ。

『あの人は西園寺さんの担当でしょ?』 

『いつアタシがあの僕っ娘の担当になったんだ?』 

 コメントをしながら要の視線が自分に突き立ってくるのを見て誠は頭を掻いた。

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