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時は流れるままに 47

「貴様はモテモテオーラが出てるからな」 

 明らかに殺意を込めた視線が菰田から投げかけられて誠は当惑した。それに同調するように島田が頷く。反論したい誠だが、そんなことが出来る雰囲気ではなかった。

「とりあえず、着替えろ」 

 そう言って誠のロッカーの前に立っていた高梨が場所を空ける。誠はすぐに勤務服を取り出してジャンバーを脱いだ。

「実は、これは私のせいでもあるんだが……」 

 そう言って隣に立っている高梨が誠を見上げる。全員の視線に迫られるようにして高梨は言葉を繋げた。

「スミス大尉が帰国する時、出来ればお前が西園寺かベルガー、クラウゼとくっついた時には仲人をしてくれって話題を振ってみたんだよ」 

「あのー高梨部長。それは……」 

 ネクタイを締める手を止めて嵯峨の腹違いの弟の割には小柄な高梨を見下ろした。

「私もこうなるとは思っていないからな」 

 そう言うとネクタイを軽く締めて愛想笑いを浮かべる高梨。その話はすでに聞いていたのだろうか、シン達は深刻そうな顔で誠を見つめる。誠はズボンを脱いで素早く勤務服のスラックスを履いて、ベルトを締めてからため息をつく。

「でも覚えていないんじゃないですか?そんなこと」 

 誠はようやくそう言うのが精一杯だった。悪いことの前に言われたことは意外と忘れないことは誠も身をもって知っている。左肩が壊れる前に野球部の部室に挨拶に来たスコアラーの軽口を今でも完全に再現できるくらいだった。

「それを祈るばかりだな。だが、彼も大人だ。こちらが気を使っているとわかれば安心してくれるだろう」 

 シンはそう言ってみるがまるで自分の言葉に自信を持っていないのは明らかだった。島田も菰田も明らかにしらけた雰囲気の笑顔を浮かべている。

「わかったな!取り合えず刺激するような単語は吐くな。それと西園寺さん達とはできるだけ距離を取れ」 

 菰田の言葉に頷く誠だが、小隊長であるカウラや隣の席の要と会話をしないことなど不可能に近いことだった。

『班長!目標が動きだしました』 

 西の声が島田の端末越しに響く。

「それじゃあ幸運を祈る」 

 着替え終わった誠の肩を叩くと一番先に出て行くシン。高梨や島田、菰田は同情するような視線を投げかけながら出て行った。

「僕が仕切るの?」 

 誠は不安に支配されながら廊下へと出た。

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