時は流れるままに 4
冬の弱弱しい日差しが屋内戦闘訓練場を出た誠達に降り注いだ。次の訓練予定が入っている東都警察強襲機動隊の面々が寒空の中、缶コーヒーを飲みながら駐車場で待機していた。
男性隊員の視線が要に集まる。要は心地よいとでも言うように強調された胸のラインを疲労しながら中性的に見えるカウラの後に続いていた。しばらく歩いていたカウラだが、あからさまな視線に飽きれて要を振り返った。
「あれ?隊長殿はそう言うことは気にはされないと思っていました……が?」
そんな挑発的な要の言葉に不機嫌になるカウラ。ようやくこの状況に気づいたように東都警察の部隊長の眼鏡をかけた女性指揮官が咳払いをしている。
「あ……あ?」
エメラルドグリーンのポニーテールを降りながらカウラの視線は女性指揮官に注がれた。
「エルマ……エルマじゃないか!」
そのままカウラはエルマと呼んだ女性士官に向かって近づいていく。誠も良く見ればその士官の髪がライトブルーでそれが遼州星系で起きた前の大戦の敗戦国ゲルパルトが製造した人造人間「ラストバタリオン」のものであることに気がついた。
「なんだ……カウラか」
女性隊長はそう言うと複雑な表情で近づいていたカウラの手を握った。
「なんだ、知り合いか?」
「まあな」
そう言って手を握り合うカウラ。だが誠にはその二人の表情はどこかぎこちなく見えた。エルマの部下達も少し怪訝な表情で二人を見つめている。
「紹介ぐらいしろよ」
要の声に後ろから駆けてきたアイシャが頷く。それを見てカウラは驚いたようにエルマの手を離した。
「そうね。エルマ……エルマ・ドラーゼ警部補。東都警察だったな、所属は」
「そうだが……これが噂の保安隊の人達か」
エルマの視線が誠達に向く。要、アイシャ、誠。三人ともそれぞれの意味で警察や軍部では有名人と言うこともあり、エルマの部下達も囁きあっている。
「それにしても出世したものだな、お互い」
そう言うエルマのおかっぱに刈りそろえられたライトグリーンの髪が揺れる。カウラは振り返って部下の要と誠。そしておまけのアイシャの方を見て困ったような表情で鈍い笑みを浮かべた。
「確かに。でもそちらは良い部下に恵まれているみたいじゃないか」
「アタシ等は悪い部下だと言いてえわけだな」
カウラにあてこするように振り返った要が誠とアイシャを見つめる。アイシャは勤務服の襟の少佐の階級章を見せながら頬を膨らませる。誠も頭を掻きながらエルマを見つめていた。




