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時は流れるままに 35

「だから……そんな顔でアタシを見るなよ」 

 いつものようなたまり場のお好み焼き屋『あまさき屋』でキープしていたウォッカを口にして要がつぶやく。

「仕方ないだろ?いきなり乱入された上に一張羅駄目にされたんだ。気分が落ち込むのも無理の無いことだ」 

 そう言いながら豚玉を焼くカウラ。隣では黙ってアイシャがたこ焼きを頬張っている。

「さすが外道!」 

「なんだ?」 

 要を挑発したこの店の看板娘の家村小夏が出した頭を引っ込めた。

「アタシのおごりなんだ……って、これまでかなりの割合でアタシがおごってないか?」 

「きっと気のせいよ」 

 不機嫌そうな要を前に平然とたこ焼きを突くアイシャ。カウラも慣れてきているので焼けてきた豚玉にソースを塗る作業に集中している。

「それじゃあ、アイシャ。なんでここに来るように仕向けたか聞こうじゃねえか」 

 手にしていたグラスをテーブルに置くと要のタレ目は自然とアイシャに向く。誠も自然と要に合わせてアイシャに視線を向けていた。

「なに?二人とも」 

 平然とたこ焼きを口に放り込むが、熱かったのか慌ててビールを注ぎ込むアイシャ。手元の皿にお好み焼きを移したカウラも手を止めてアイシャを見つめている。

 しばらく沈黙が続く。

「要。アンタの家って……結構お金持ちよね」 

「あ?借金の申し込みならお断りだぞ」 

 アイシャの第一声を聞くと明らかに不機嫌になった要はグラスに手をやった。アイシャは首を横に振る。誠はその様子を突き出しの春菊の胡麻和えを口にしながら眺めていた。

「ちょっとした好奇心からなんだけど、西園寺家のクリスマスってどうなの?」 

 そんなアイシャの一言に要は口をグラスにつけたままものすごく嫌そうな表情でアイシャを見つめた。

「私も興味があるな。胡州四大公家の筆頭の家だ。それとも何か?家が仏教だからクリスマスはしないとか言い出すのか?」 

 カウラも話題の方向を理解すると無責任な笑みを浮かべて要を見つめる。要はカウラの目の前の豚玉をしばらく見つめた後、小さなグラスの中のウォッカを飲み干してグラスをテーブルに置いた。

「まあ……いろいろとあったな」 

 口を開く要を見てアイシャは満足げに頷きながら目で誠に要のグラスに酒を注ぐように合図した。

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