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時は流れるままに 33

「中佐殿!」 

 突然直立不動の姿勢をとり叫ぶアイシャ。

「お?おい……うむ……なんだ?」 

 アイシャの言葉に怯みつつ恐る恐るその表情をうかがうラン。誠は嫌な予感に包まれながら突然の真剣な表情のアイシャを見つめた。カウラも要も同じような考えが浮かんだらしく、カウラは呆れて、要はニヤニヤ笑いながらランとアイシャを見つめていた。

「実は今の中佐殿の姿に萌えてしまいました。抱きしめる許可を頂きたいのですが!」 

「馬鹿野郎!」 

 誠の予想したとおりの言葉を発するアイシャを怒鳴りつけて真っ赤になって目の前の予算関係の書類を手に取るラン。

「もうっ!本当にかわいいんだからランちゃんは!」 

「おい、クラウゼ。一遍死ぬか?いや死んだ方がいい、なんなら殺してやろうか?」 

「まあっ!ランちゃんたら怖い!」 

 そう言って弾力がありそうなランの頬を突こうとするアイシャだがランはその指を叩き落した。少し残念そうな顔でランを見るアイシャ。

「帰っちまえ!お前等とっとと!」 

「そう言うことなら……なあ」 

 ランにどやされると笑いながら要はアイシャとカウラに目をやる。

「それでは失礼します!」 

 そう言い切ってカウラは敬礼をしてドアに向かう。

「おお!失礼しろ!とっとと帰れ!」 

 やけになったランの声が響く。要は腕を頭の後ろに回してそのままカウラの後に続く。アイシャは妖しい笑みを浮かべながらちらちらとランを覗き見るがランが握りこぶしを固めているのを見て足早に廊下に出る。

「じゃあ隊長殿のお言葉通り着替えて帰るぞ」 

 要はそう言うと更衣室に向かう。法術特捜の仮本部。コンピュータルーム、通称冷蔵庫。どちらからも光が漏れている。

 この数日で明らかに隊の雰囲気は緊張していた。新型機、それも運用自体のサンプルが取れない高品位機体を受け入れると言うことでピリピリした空気が流れるようになっていた。

「お仕事ご苦労様だねえ」 

 着いたままの電灯の光を見て皮肉めいた笑みを浮かべてタレ目の持ち主が振り返る。要らしいと思いながら誠は男子更衣室に入った。電気をつける。誰もいないのに安心した誠。だが、後ろに気配を感じて振り返る。

「西園寺さん!」 

「はい、着替えろ。とっとと……」 

「出てってください」 

 要の笑顔が仏頂面に変わる。しばらくにらみ合いを続けるが諦めたように要は出て行った。

「なに考えてるのかなあ」 

 独り言を言いながら誠は作業服のボタンに手をかけた。

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