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時は流れるままに 31

「もうすぐ着くぞ!起きろ」 

 島田の声で誠は目を覚ました。

 西東都東和陸軍基地祭で軍の装備目当てで来たミリタリーファンの視線を奪い取って、注目度で圧倒した誠の痛い05式。説明や記念写真。まるでスターにでもなったようだとはいえるが、生ぬるい東和陸軍の兵士達の視線を浴びるのに疲れて、搭載作業が終わると誠はトレーラーの後部座席で熟睡してしまっていた。

「ああ……」 

「大丈夫か?かなり疲れていたみたいだが」 

 隣に寄り添っていたカウラに気づいて誠は起き上がった。街灯の明かりがその緑色のポニーテールをオレンジ色の混じった微妙な色に染め上げている。

「ああ、大丈夫ですよ。それより西園寺さんは?」 

「ああ、要か……」 

 がっかりしたような表情でカウラが前の椅子に目をやる。手が軽く振られてそこに要が座っているのが分かった。トレーラーが止まった。島田が助手席から顔を出して叫んでいる。外を見ると見慣れた保安隊の基地のコンクリートの壁が見える。

 再びトレーラーはゆっくりと走り出す。誠は起き上がり、乱れていた作業服の襟元を整える。

「ああ、今日は再起動はしない予定だからな。俺が隊長に報告しておくから誠は帰っていいぞ」 

 島田の言葉がぼんやりとした頭の中に響く。不安そうに誠の顔を覗き込むカウラ。トレーラーはそのままハンガーへと進んでいく。

「到着!お疲れ!」 

 そう言ってドアを外から叩くのはアイシャだった。もうすでに日はとっぷりと暮れていた。定時はとっくに過ぎていた。

「お前暇なのか?」 

 ドアを開けて飛び降りる要。誠も彼女に続きゆったりとした足取りで慣れた雰囲気のハンガーに降り立つ。

「失礼ね!さっきお姉さんの付き添いで東都の同盟機構軍用艦船艦船幹部会議から帰ったところよ……誠ちゃん眠そうね」 

 相変わらず紺色の長い髪をなびかせながら、珍しいものを見るような視線を誠に向けるアイシャ。島田はすでに待機していた部下達に指示書を渡して点検作業に取り掛かろうとしていた。

「ああ、カウラちゃん」 

「寮まで送れってことか?まあ私達は今日はすることも無いからな」 

 そう言うとカウラは奥の更衣室に向かう階段を登り始めた。誠、要も彼女に続く。ハンガーを臨む管理部の部屋の明かりは煌々と輝き。中では管理部部長の高梨に説教されている菰田の姿が見えた。

 誠はわざと中を見ないようにと心がけながら実働部隊の部屋の扉に手をかけた。

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