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時は流れるままに 26

「あっさり味が特徴だからな……あそこの店は」 

 そう言いながらすでにカウラは食欲モードに入っていた。意外なことだがこの三人ではカウラが一番の大食だった。

 基本的にカウラ達、人造人間『ラストバタリオン』シリーズの人々は小食で効率の良い代謝機能を保持している。運行部部長の鈴木リアナなどは『お姉さんと言えば半チャーハン』と言うキャッチフレーズをアイシャが考えるほど食欲とは遠い存在だった。

 その中で代謝機能の効率化や食欲の制御、栄養摂取能力の向上研究の成果はカウラには見られなかった。172cmの身長の彼女だが、時としては186cmの誠よりも食べることがある。そしてこう言う出前のときもしばらく選択に迷う程度の食へのこだわりがあった。

「私もご飯物がいいな。出来れば定食で……回鍋肉定食か……それでいいか」 

 そう言うとカウラはメニューを要に返す。そして要はそのメニューを誠からも見える位置に置いた。

「おい、神前はどうするよ」 

 要のタレ目が誠を貫く。こう言う時は要は誠と同じものを頼む傾向があった。そしてまずかったときのぼろくそな意見に耐えるのは気の弱い誠には堪える出来事だった。

「そうですね」 

 先ほど要は麺類を食べたいと言った。ご飯ものを頼めば彼女が不機嫌になるのは目に見えている。

「五目……」 

 そこまで言って要の頬が引きつった。五目そばは避けなければならないととっさに判断する誠。彼女は野菜は苦手なものが多い。そこで誠は視点を変える。

「じゃあ排骨麺で」 

「じゃあアタシも同じと言うことで頼むわ」 

 そう言って要はメニューを誠に投げる。受け取った誠はすぐに端末を開いて通信を送り注文を済ませた。

「じゃあご飯も用意できたことで」 

 アイシャはそう言って後ろの棚に四つんばいで這って行く。誠が振り向くと誠に手を振りながら帰って行く運行部の女性士官が目に入る。

「おい、神前。色目使って楽しいか?」 

 背中から投げかけられた要の声に誠は我に返って正座していた。空腹の要の神経を逆なでしてと苦になることは一つもない。

「ちょっと!」 

 戸棚に頭を突っ込んでいたアイシャが叫ぶ。彼女の奇行に慣れている誠達はそれを無視した。

「ちょっとって!」 

 戸棚から書類の入ったファイルを手にしてアイシャが顔を出す。その手に握られたファイルを見てようやく誠達はアイシャが何かを見つけたことに気づいて耳を貸す心の余裕を持つことにした。

「なんだよ……つまらねえことなら張り倒すからな」 

 そう言いかける要だが、アイシャの手にあるファイルが輸送予定表であることに気づいて怪訝な顔でそれに目をやった。

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