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時は流れるままに 25

「ゲート開けとけよ」 

「へ?」 

 誠はドムの一言に驚いた。一応は司法特別部隊という名目だが、その装備は軍の特殊部隊に比類するような強力な兵器を保有する保安隊である。誠の常識からすればそんな部隊の警備体制が先ほどまでも誠達の状況ですらなり緊張感に欠けると叱責されても仕方の無いことと思っていた。

 だが目の前のドムは常にこのゲートがこの時間は開いていたと言うような顔をしている。

「あのー、開けといたらゲートの意味が無いような……」 

 ひざ立ちでずるずるドムのところに向かう誠を冷めた目で見つめてくるドム。

「まあ、そうなんだけどさ。いつもなら今の時間はゲートは開きっぱなしだぞ」 

 さすがにその言葉の意味が分かったというように苦笑するドム。彼も遼南帝国では軍に在籍していた経歴がある。この異常にルーズな体制には彼もはじめは戸惑ったに違いないことは誠にも分かった。

「ああ、アタシ等はいつも残業があるからねえ。定時に帰れる人はうらやましいや!」 

 みかんを手にしながらの要の一言にドムの顔が曇る。とりあえず話題が変わってほっとするが間に立つ誠は二人の間でおろおろするしかなかった。

「でもそれでいいならそうすれば。誠ちゃん」 

 アイシャのその一言で誠はゲートを上げた状態で止まるように操作した。

「じゃあ失礼するよ」 

 そう言うと足早に車に乗り込み急発進させて消えていくドム。

「ったくよう。あれじゃあ看護師が欲しいなんて言えねえよなあ。民間の病院の医師の方が数十倍仕事をしてるぜ」 

「そうよね。でもまあ出動時には一番の頼みの綱だもの。普段は英気を養っていてもらわないと」 

 珍しく頷きあう要とアイシャ。それを見ていた誠が立ちひざのままコタツに向かう。

 急に腹の虫が鳴いた。それを聞くとアイシャの表情が変わった。元々切れ長の瞳には定評があるアイシャだが、さらに目を細めるとその妖艶な表情は慣れている誠ですらどきりとするものがあった。

「あら?神前曹長のおなかが……」 

 アイシャはそう言うと舌なめずりをした。当然要のタレ目も細くなって誠を捉えている。

「仕方ないだろ。時間が時間だ。それに貴様等が神前を外に出しておくからエネルギーの燃焼が早まったんだ」 

 二人の暴走が始まる前にとカウラの言葉が水をさす。

「そうなの?誠ちゃん?」 

 今度は悲しそうな表情を演技で作って見つめてくるアイシャ。誠はただ頭を掻くしかなかった。

「でもそうすると買出しか出前か……」 

 そう言いながらも要の手には近所の中華料理屋のメニューが握られている。

「決まってるなら言うな」 

 カウラの一言と無視して暮れてきた夕日と自然に付いた電灯の明かりの中で麺類のメニューを見る要。そんな要を見ながらアイシャが人差し指を立てる。

「ああ、私そこなら海老チャーハン」 

 メニューの背表紙で店を推察したアイシャはそう言い切った。要はしばらく眉をひそめてアイシャを見つめた後、再びメニューに目をやった。

「アタシは麺類がいいんだよな……カウラ。貴様はどうするよ」 

 判断に困った要はメニューをカウラに押し付けた。困ったような表情で誠を見た後、カウラは差し出してくる要の手の中のメニューを凝視した。

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