時は流れるままに 15
「まあ自由にやって頂戴よ、カウラちゃんと誠ちゃんも」
「なんだよ、主気取りか?」
アイシャと要。二人してみかんを剥くのに夢中になっている。顔を見合わせて冷めた笑いを浮かべると誠とカウラも靴を脱いで上がりこんだ。
「ああ、ゲート上げ下げは要ちゃんがやってね。私は寒いから」
「なんだよ!アタシがやるのか?」
口にみかんを詰め込んだ要が四つんばいでゲートの操作ボタンのある窓へと這っていく。
「さて、今回私達がここに集まったのにはわけがあるのよ」
「クリスマス会だろ?」
仕切ろうとした出鼻をカウラにくじかれてひるむアイシャ。だが、再びみかんを口に放り込んでゆっくりとかみながら皮を剥いている誠とカウラを眺めてしばらく熟考すると再び口を開いた。
「それだけじゃないわ。ランちゃんに聞いたけど……哀れでやけになったロナルド上級大尉はクリスマスだけでなく年末年始の間も勤務を希望しているらしいわ」
「そうなのか……」
明らかに投げやりに返事をするカウラ。実際こういう時のアイシャに下手に口答えをするとうざったいだけなのは誠も知っていて、あいまいに首を縦に振りながら彼女の言葉を聞き流していた。
「それに年末の東都警察の警備活動の応援は手当が付くということで警備部の面々が定員をめぐって争っている状態だしねえ。コミケもシャム達が仕切るから私達は完全にフリーなのよ」
「ああそうだな」
上の空でそう言うとカウラがみかんの袋を口に入れた。
「カウラちゃん。聞いてよ」
「聞いてるって」
困ったような表情でアイシャを見つめるカウラ。
「つまりあれだろ。アタシ等は年末年始が暇になるってこと」
要はアイシャの言葉を聞いていたようで、兵員を満載した警備部のトラックの為にゲートを開けながらそう叫んだ。
「そうよ!それ。そこで私達がやるべきことが二つあるのよ」
高らかなアイシャの宣言に不思議そうな顔をするカウラ。
「二つ?クリスマス会だけじゃないのか?」
「馬鹿だなあカウラ。クリスマス会とコミケでのアイシャの荷物持ちがあるだろ」
「ああそうか」
納得してみかんをまた一口食べるカウラ。だが、そこでアイシャはコタツから立ち上がった。
「違うわ!一番大事なこと!家族のぬくもりに恵まれない私達三人に必要なイベントがあるじゃないの!」
その奇妙なまでに力みかえったアイシャの言葉に誠は明らかに嫌な予感を感じながらみかんを口に放り込んだ。




