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時は流れるままに 103

「これはお待たせいたしました」 

 タイミングを見計らって支配人風の神田という老紳士は静かに要の正面に座る。隣に雰囲気の違う人物に座られて誠はいづらい気分になった。

「このお二人に似合うティアラなどをお求めとか」 

「そうですわ。私の上司ですもの。恥をかかされてはたまりませんから」 

 そんな要の言葉に明らかに不機嫌になるカウラ。アイシャは紅茶を入れ終わってもそのまま待機しているメイドさんに夢中だった。

「いえいえ、ですが要様程のお方とお付き合いされている方という事で探しますとかなりお時間が……」 

「分かっておりますわ。ただ明々後日がこのベルガー大尉の誕生日ですの」 

 そう言って目の前のカップを見下ろして紅茶をどうするか悩んでいるカウラに目をやる要。その一瞬だけ見せるサディスティックな笑みに誠は大きくため息をつく。

「エメラルドグリーンの髪……もしかして……」 

「私はゲルパルトの人造人間です」 

 一言そう言うとまた難しそうな顔でカップを見下ろすカウラ。

「どういたしましたの?ベルガー大尉」 

 再び残忍な笑みを一瞬だけ浮かべた後にカウラに追い討ちをかける要。カウラはそれを見て覚悟を決めると机の中央に置かれた上品な白磁の上のレモンを手にとってカップに落とし込む。

「そんなに緊張なさらないでください」 

 笑みを浮かべる紳士におどおどと頷くとカウラは静かにカップを手にして口に運ぶ。その様子を要は今にも噴出しそうな表情で見つめている。

「髪を映えさす為に緑で統一するということになりますと……」 

 そう言って紳士はテーブルの上のコンソールに手を持っていく。次々と画像が移り、そしてエメラルドのはめ込まれたティアラとネックレス、ブレスレッドのセットを表示させる。

「これなどはいかがでしょうか?現在帝都の支店に保管してあるものですが明後日には取り寄せることができると思いますが」 

「緑の髪に緑の石。いまひとつ映えませんわね」 

 要の言葉に神田という支配人は笑みを浮かべて静かにまた端末の操作に移った。その表情はこの写真を見れば要がどういう反応を示すかわかりきっているかのようで誠は感心させられた。

「それならこれなどはいかがでしょう?幸い当店にありますお品物です」 

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