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時は流れるままに 102

「あら、そうなんですか。大切なお友達なのですね」 

 そう言って微笑む店員。明らかに動揺しているアイシャとカウラ。

「いえ、友達ではありませんわ。ただの同僚ですの」 

 穏やかな声だがはっきりと響くその声に少し店員はうろたえた。だが、それも一瞬のことですぐに落ち着きを取り戻すとドアへと向かっていく。

「それでは用意をさせていただきますので」 

 それだけ言って女性店員は出て行った。

「貴賓室付……さすがというかなんと言うか……」 

 そう言って周りを見回すカウラ。呆然としていたアイシャがゆっくりと視線を要に向ける。

「要ちゃん。気持ち悪いわよ」 

「うるせえ。テメエ等は黙ってろ」 

 一瞬だけいつのも要に戻るが、ドアがノックされたころにはすでに西園寺家次期当主の姿に戻っていた。

「どうぞ」 

 そんな丁寧な要の言葉にかゆみを覚える誠達。ドアが開いた瞬間、誠とアイシャは息を呑んだ。 

「失礼します」 

「メイド!メイドさん!」 

 入ってきたのはフリルのついたスカート、白いエプロンがまぶしい典型的なメイド服の女性だった。胡州貴族の出入りする店だからといって、そんなものがリアルにいるなどとは誠は信じられなかった。

「ベルガー大尉、クラウゼ少佐、神前曹長。今日もアッサムでよろしいですわよね」 

 微笑む要。その妖艶にも見える表情に頭を掻きながら頷く誠。二人のメイドは静かに紅茶の準備を進めている。

 その光景を眺めている誠達の耳に再びノックの音が響いた。

「どうぞ」 

 再び凛とした要の声が響いた。開いた扉からは長身の紳士が現れた。誠は思わずアイシャに目をやったが、彼女は紅茶の準備を進めるメイドに夢中で誠のことなど眼中に無い様子だった。

「要ちゃん!」 

 思わず抱きつきかねないような感無量の表情を浮かべているアイシャが叫ぶ。それを見て爆笑しそうになる要だがつつしみの演技を思い出すようにして静かに目の前に置かれたティーカップに軽く触れる。

「何かしら?クラウゼ少佐」 

「ありがとう!本当にありがとう!」 

 ついに感激のあまり泣き出したアイシャ。だがその理由が良くわかる要は待たせている神田という名前の支配人風の男に笑顔を向けてアイシャを無視することに決めたようだった。

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