第8話 元気ハ◯ラツ!元気もりもりドリンク!
「はっ!」
僕は気がついたら家のベッドの上に居た。確か銃で熊と戦おうとしてヘマしたんだっけ。
あれ?どうして僕は家に居るんだ?
人を猫が運ぶのは物理的に無理だ。かと言って僕が多重人格な筈が無い。
つまり考えられるのは第三者の介入か....
「あれ?猫は何処に行った?」
「ここだよ姫さん」
突然僕の膝の上に現れる白猫。
ツッコミどころが多すぎて突っ込めない。
「え?何処にナニを突っ込むって?」
そういう時だけ反応しなくてよろしい。
「この銃なんか使いずらい。なんでこんなの初心者に渡すんだよ」
「仕方ないよそれが適正武器なんだから」
もうやだ帰りたい。あっ今家だった馬鹿野郎!
頭の中で漫才を始めるほど泣きたい気分だ。
「コンビニ行くかぁ」
そんな時は外に出るに限る。
ピロピロピロピロー(入店音)
「お、春樹じゃないか!」
店に入ったら親友がデカイカゴをもっている親友がいた。
「何でここにいるんだよ、お前の家はもっと遠くじゃないのか?」
「親の事情でここらへんに移り住んだんだよ」
「....ふーん。てか何買ってんの?」
親友の持っていた籠を見ようとする。が
「おいプライバシー権を主張するぞ」
「なんで見してくれないんだよー」
最近隠し事が増えた親友にモヤモヤしながらも例の物を探す。
「なんだよ春樹、またそれ買うのか」
「おう。あたりめーだ」
そう言って僕が棚から引っ張り出したのは
『元気もりもりドリンクS』である。
名前が物凄く胡散臭いが、これを飲むと力が湧いて来る感覚がする。
10本ぐらいストックしておこう。
商品レビューでは
「凄い効き目です!味も美味しい!」
「こんなの初めて!」
「力が湧いて来るぞ!!」
などの普通のレビューから
「これを飲んだら世界記録とれました!」
「元気ハ◯ラツ!」
「飲んだ途端、強くなった気がしてカーボン素材を殴ったら物凄くへこみました!すごい!」
等々の可笑しいレビューまでされている人気商品だ。
僕も筋肉が欲しいと思ってコレを飲み続けていたという事は秘密にしておく。
取り敢えずコンビニから家に帰り、早速一本飲む。
「ごきゅごきゅ....ぷはぁ」
味は優しいリンゴ味。
なんか体とか頭とかがハイな気分。
だんだん暑くなって来る。目眩もし始めた。
「うへへへぇ白猫、夜はまだまだこれからだぜにゃははは」
完全に酔っ払っている春樹。
「え、姫さんそんな積極的に....ぐほぉァッ」
猫は掌底を叩きこまれて悶絶する。
(い、今までの攻撃と比べて威力が桁違いに高い!何故だ?)
今までの攻撃は実を言うと全く白猫にダメージが入っていなかった。
所詮小動物と戯れている感覚。
だが今回の酔っ払った攻撃は白猫の防御を貫いて掌底を叩き込まれたのだ。
答えは酔っ払っている春樹を止めるまで考察できなかった。
「あんじょればー」
「うわぁぁ、姫さんもう何言ってるかわかんないよぉぉ!」
起きたらその時の春樹の酔っ払っていた時の記憶は全て無くなっていた。