第11話 て、天使っっ!!
で、大人の余裕で相席をしたのだが
「君はなんて名前なの?私は恵理奈!」
活発...には見えないが茶髪で可愛い一人の女の子がすぐに話しかけてきた。
ある一人の男友達が言っていた。
女に囲まれる時あれば、幸いであると。
しかもそれが幼女達であると尚更。
嗚呼、平常心、平常心。
「おお、俺は.....」
びくびくしながら返答しようとするが中々後に続かせることが出来なくて、相席(襲撃)によりご飯がさっきから全く食べれない。
ここの席に貼り付けられたのように動けないのだ。
1人が口を開いた。
「ちょっと、恵里奈。この子困惑しちゃってるじゃない。因みに私は朱雨だよ、よろしくぅ!」
このテンション高い子。
ここで助け舟をくれるとは。
一番この中で可愛いし、天使。
胸も大きいし....おっとすんません。
で、もう1人は....
「zzzz......」
ね、寝てる!?
この滅茶苦茶煩くて寝られる状況じゃ無いのに!因みに外見はまあ、普通の勉強が出来そうな女の子。特徴は眼鏡か。メガネちゃんだな。
そう思っていると彼女はのっそりと起き出して
目を擦る。
状況把握したら空気感が掴めてきた。
よし、今度こそ自己紹介をするんだ!!
「あ、あの....!」
言葉が詰まった。口が言葉を発せない。
やっぱ無理ぃぃぃぃ!!
その時、振動がショッピングモールを揺らす。
ゴゴゴゴゴゴ.........ドガァァン
「な、なんだ!?」
誰かが泣きさせび、多くの人が出口へと流れていっている。
連続する足音のような地響きとともに
僕達の前に現れたのは化け物だった。
「ぐGAAAAAAAAAAA!!」
半分この世の声だとは思えない声で叫ぶ化け物。
「皆さんここは私が耐えますので早く逃げて下さい!!」
警察官らしき人が戦っているが、体のあちこちがボロボロになっている。
(こんな時に敵が来るなんて...)
僕の周りには逃げ惑う人達と、唖然と化け物を見つめていた女の子達。
この子達を守りながら戦うのも無理だし、なにしろ銃は家にある。
あんなにでかい銃を持って歩いたら、警察のお世話になる事待ったなしだ。
それが僕が今役に立っていない原因なのだが。
マトモに扱えてない僕がこんなことを嘆いても仕方が無い。
今、目の前でグチャりと生理的に無理な音が鳴って血が飛び散る。
僕はそれを冷たい目で見ていた。
(この人にも家族は居ただろうに)
人が死んだだけ、肉の塊になっただけ。
小説や漫画では端に寄せられてモブは倒されて消えていく。
ああ、悲しいな僕もモブなのだろうか。
きっとどうにかなる。これは夢なんだ。
自己暗示をかけても涙は出てくる。
化け物は目の前の人が死んだと確信したのか、その残酷な死体から目をこちらに向けた。
(次は俺達の番か....)
そう思って縮こまって目を閉じた。
ーー頭に暖かい柔らかな物がのっている。
すべすべで、
もちもちで、
母親のようで安心する。
ゆっくりと目を開けると。
「だいじょーぶ、だいじょーぶだよ。安心して。私たちがここに居るから」
朱雨ちゃんが頭を撫でてくれていた。
ゆっくりと動かされる手は、優しくて1人で長いこと1人で暮らしていた俺にとってはとても....
「うあぁぁぁぁん、ひっぐ、うぅぅ」
久しぶりに泣いた。でもそんな俺をさらにハグまでしてくれた朱雨ちゃん。
(天使っっ!!)
「へーんしんっ」
いつの間にか起きたのか、寝ていた眼鏡ちゃんがそう言うと三人の体は光に呑まれていき、
俗に言う「魔法少女」に彼女らは姿を変えた。




