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宣言

 殺し屋の遺体を2人が魔法で燃やしている。


 結果的に手を下したのは愛音だけど、俺たちが生き残るために殺した。この世界では罪にはならないはず。


 魔法を使っていない俺は手が震えてくる。気持ちが重くなる。だが表情にはだすな。俺が2人の心配されるわけにはいかない。冷静でいろ、冷酷でいろ、冷徹でいろ。魔法の効果がまだある2人は表情こそ重たいものだが、手の震えは見えない。


『心の制御を魔法に頼るな』


 魔法を作った愛音とその場で覚えた才華。殺し屋の最期の言葉を聞いた2人は何を思っているのだろうか。


 遺体は燃え尽きて、跡形もなくなった。残ったのは曲刀と太ももに隠されていた数本の投擲用のナイフ。


 「で、どうする?今、やるべきことはやったけど。」


 槍の子の救助はできた。殺し屋の遺体は処理した。


 「「・・・・・・・」」


  返事がないのは2人とも体を軽く動かしているからか?。次へ向けての準備で集中しているのか?


 ・・・・・違う。震えているのを隠しているのか。魔法の継続時間が切れて、自分たちの行為に震えている。人を殺した事実に。どうしよ。・・・・・・・・・・・。


「おいー。」


 俺は2人を抱き寄せる。てんどんってやつだ。それしか思いつかん、それしかできん。2人も寄りかかってきたので、より一層2人の震えが伝わる。


「ごめん。少しだけ。」


「ありがとう。」


 2人は涙こそ流さないがつらく、苦しい表情をしている。2人も普通の人。そう思える瞬間だった。


「いいよ。少し落ち着いてくれ。」


「「うん。」」


 


 しばらくすると、2人の震えは収まり、ただ静かに目をつぶっている状態になる。精神統一でもしているのか?


「よーし。慣れた。」


「もう大丈夫ね。」


 明るく振る舞う才華と静かにほほ笑む愛音。慣れた?もう大丈夫?どのことにだ?殺しにか?震えにか?それとも俺を心配させないための嘘か?


「・・・・・・・。」


 俺は今、疑った目をしているはずだ。


「お、疑った目をしているね。」


「本当に大丈夫よ。」


 2人は平常に見える。まだ、抑えるべきか?それとも2人を信じるべきか?でも、この建物に入って時間もたっているから、キャノさんたちと合流したほういい気もする。敵の情報も伝えたいことだし。


「ん。わかった。今は、歯をくいしばって頑張ろうか。」


「そうそう。」


「そうね。」


 得物を持つ手に力が入っている2人。ゴブリン、かぎ爪の殺し屋、魔物使い。ネクロマンサーと相手は多い。


「・・・・・もしまだ、辛かったら。」


「「つらかったら?」」


「帰宅してからベッドで相手するから。少しだけ耐えて。」


 2人の顔が硬直した。今更、場所が変わったくらいで固まるなよ。一緒に寝るくらい、今更だろ。


「・・・・それって・・・・・ううん。いいのね?」


 顔を赤らめる愛音。?


「うん。部屋で待っているよ。耐えれないなら来て。」


「わかった。いく。絶対いく。」


 才華は俺の腕をつかみ何度もうなずく。やっぱ無理しているのか。


「無理しなくていいんだから。俺は俺で思うところはあるんだから。こうゆうときくらいはさ。」


 力になるし、支える。


「もう取り消させないからね。」


「そうね。」


 2人が息巻く。なんか違う方向へ行ってる気がする。まあ、怯えているよりはいいか。


「それこそ。大丈夫だよ。いつまでも引きずるのはよくないし。」


「そうね。こんなときかもしれないけど。それでも。私も在人と。」


 目をそらして恥ずかしそうにする愛音。あら、かわいい。


「私たちが鉢あったらどうするの?」


 才華が愛音と目を合わす。


「いつものことでしょ。2人が一緒のなのは、3人で一緒にいるのは。」


「・・・・・そうね。そうよね。」


 頷く愛音。


「なんか恥ずかしいけど、それはそれでいいか。」


 ニヘニヘと顔を綻んでいる才華


「テリカ・ヒッスに言ったのは本気だったんだね。」


「これで、姉さんに一泡吹かせるんじゃないかしら。」


 殺し屋?俺なんか言ったけ、才華?千佳さん?なぜ愛音の姉さんの名前が?なにかがずれてる。


「俺、殺し屋に言ったのって。あと愛音、千佳さんに何て言い返す?」


 なにかがずれている。


「「脱童貞。」」


 2人は頬を赤らめて解答する。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ。


おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお。


 言ってる。そうだ。言ってる。宣言してる。2人の聞いてるところで言ってる。


 2人は乙女の表情をしている。・・・・・・・今更、忘れてたなんて言えない。時間を稼ぐためなのと、勢いで言ったなんて信じてくれない。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


 この件は2人のプラスになってるはず。それに俺にとっては、まあ。あれだ。薬の効果は1週間はあるし、うん。俺達は一応、いい大人だし。うん。うん。


いかん、いかん。肌色や桃色についてはあと、あと。











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