お世話になります、主人公補正に。
道中で俺が理解したこと。
『カタム傭兵団』
50人の団体で世界を旅しながら、国からの依頼、ギルドのクエストなどをこなしている。
カタムさんが団長だが。本人曰くおかざりで組織運営は副団長にまかせているとのこと。
シャアザ・ファミリーがライバルっぽい。
今日も4人でクエストをこなし街へ戻る途中、俺たち(正確には才華と千歳の魔力)に気づいたらしい。
急に大きい魔力の持ち主が現れたとなれば、警戒せざる得ないらしい。(突然変異の魔物や凶悪な魔法使いとかにでも思われたのかな。)
『魔力』
この世界の誰もが持っているもの。
魔力を使って魔法を使用できるが、魔法を使えるのは人の才能と努力しだい。
魔力は普段から垂れ流しになっているので、魔法使いはこれを感知し、人の居場所が分かる。(才華、千歳は訓練なしで感知している。)
魔力の少ない人は体内からでない。(俺もこれ。キャノさん、ガタクンさんもだって)
魔法使いはその垂れ流しを訓練しだいで止めれる。気配のオンオフもこれのこと。
訓練次第で魔力の少ない人の感知もできる。
魔力が少ないことで生活に困ることはない。
魔物や自然にも魔力がある。
『ギルド』
役所、不動産の役割がある以外は異世界もの、漫画、ゲームに出てくるもんと一緒なので割愛。
『その他』
この森の魔物の強さは下の中くらい。
才華、千歳の強さは冒険初心者より上、魔力量も大きい。訓練次第で大きく輝く。
刀、なぎなたは東方にある国『ワコク』のものに近い。(日本的な街があるのか。)
俺の服は見たことがない。メイド服は食堂のウエイトレスの服装に思われている。
装置のリモコン、スマホ、デジカメは見たことない。(機械技術はなしか)
手持ちの金塊、宝石で3人の住む家を確保し、当面の生活はできる。
この世界に着いて、2時間程度、その間に2人の幼馴染のハイスペックぶりを実感する。
大きい魔力、魔力を知らないままでの感知能力。この世界で通用する戦闘力。2時間で街に着く強運。
異世界もののチート枠にはこいつらか。だがしかし、まだチートスキルの枠が残っている。・・・はず。
そうこうしているうちにミタキの街に到着。
ミタキの街
石の外壁に囲まれ、街並みは中世ヨーロッパ。
出入り口には門、門番もいた。
道行く人々にはエルフ?やらドワーフ?やら猫耳の人やら異世界だ。
東西南北に街があり、その中間地点であることからミタキの街の規模は並みだが、施設がそろいっている。とジーファさんの弁
魔法のおかげか、字も読めるのでどんなものがあるのかは想像がつく。
街に入ったところで、カタムさん、ガタクンさんは団員のいる拠点へ行くので別れた。ジーファさん、キャノさんはカタムさんの指示で俺たちの街案内をしてくれる。
至れり尽くせりだ。まぁ、得体のしれない俺たちの監視も兼ねてるのかも。それでも見知らぬ街というか異世界で案内人がいるのは本当に助かる。
「まずはギルド。いやそれとも宿?いやそれとも換金所?あーでも2人の服もなんとかしなきゃ。」
俺たちの前を右へ左へ往復しながら悩んでいるジーファさん。森のときの頼りになる感じがない。
まーこの世界の金を持ってない。1晩明かすところもない。才華と千歳のメイド服は泥や返り血がところどころに着いている。また、胸の部分に破れがあるので道行く男の目線がいっている。よかったね、街の男性方々。2人が恥じらずで、堂々としているから余計見やすい状況で。おまけに珍しい服装の俺。
こんな状況だ、そりゃ悩むか。道案内さーん?大丈夫?
「換金所で多少の金の確保。そこから宿を確保し荷物おいて、服を買う。今日はこんなもんだろ。ギルドとかの本格的な案内は明日。これでいくぞ。ジーファ。いいねお三方も。」
「そ、そうね。」
「「「お願いします。」」」
悩んでいるジーファさんと異なり、即断するキャノさん。キャノさんだけでもいいんじゃない。とも思ったが、女性2人がいるから女性目線の考えも必要なんだろう。そこまで考えてこの2人か、カタムさん。
キャノさんを先頭に歩き出す。カタム傭兵団は有名なのか。キャノさん、ジーファさんともに結構声をかけられている。そして俺たち3人も服装のせいだろう、視線が集まっている。その視線を才華、千歳は気にもとめず、ジーファさんとおしゃべりしながら歩いているが。
街で一番大きい換金所に着く。キャノさんと才華が店内で交渉をするので、俺たちは外で待機する。途中2人の怒号が聞こえたがスルー。きっとこの世界のコミュニケーションの一環だ。うん。そうだ。才華はノリがいいからな。ジーファさんは頭を抱えていたが、それもスルー。結果、宝石数個で40万ゴル(この世界の通貨、露店などの商品から1ゴル=1円くらいかな。)。奥で半泣きの店員が見えた。きっと、良い品が手に入っての嬉し泣きだろう。キャノさんと才華の笑顔がまぶしい。・・・数字が10進法なのも異世界共通なのか。まー指の数は変わらんし、分かりやすい。
次は宿に着く。1泊4000ゴルで2泊3日、3人1部屋となった。男女別にしようとの意見は無視された。信頼されてるのか、異性扱いされてないのか。襲う根性がないと見抜かれているのか。「節約も大事」と千歳。まー節約も大事か。荷物、武器を置き、服の汚れを落とし宿を出る。
そしてジーファさんお勧めの服屋へいく。俺はとりあえず上下3着購入。2人とジーファさんは色々着まわしている。女性のファッション好きに世界は関係ないと。キャンさんは「長くなるぞ。」と言うので俺と一緒に店前のベンチにて座って待機。
・・・30分経つ。まー来たばっかしだし。
・・・1時間。異世界だからだろう。気になるんだ。キャノさんは寝落ち。
・・・2時間。だから今日は服屋で終わりと言ったのねキャノさん。腹減った。
・・・3時間。夕方も終わった。小言を言いに行こうと思った矢先、店内から3人が出てくる。千歳、才華は両手いっぱいの袋と共に。3人とも満足顔だ。うーん。買いすぎじゃないかい。宿での節約の話はどこへやら。俺たち無職なんだけど。寝落ちしていたキャノさんが起きて、
「おっ、今日はだいぶ早いな。」
珍しいといった顔をしている。なんですと。あれ時間の感じ方、かけ方違うのかな。
「明日、私はオフなので、10時ころに宿でいいかしら?」
街中の時計台を指さしながら、ジーファさん。時計が現在7時を指している、時間の概念も一緒のようだ。
「うん。それでお願い、ジーファ。」
「ありがとうね。ジーファ」
才華と千歳が頷く。3時間であっという間に打ち解けていることで。俺はキャノさんに頭を下げ、
「助かりました。今度なにかお礼を・・。」
「気にすんな。困ったやつを助けるのが俺たちの仕事だから。まっ気になるってんなら、今度、飲むべ。それでいい。じゃ、また。」
そう言い、歩き出していった。ジーファさんも続いて
「それじゃあ、また明日、サイカ、チトセ。」
キャノさんに続いて帰っていた。俺たちも宿に戻る。想像以上の1日が終わった。いろいろあるがまずは休もう。
小鳥の鳴き声で目を覚ます。寝起きのいい方ではないが、仕事がある以上体をたたき起こす習慣は付いている。覚醒しきってないまま体を起こす。
「おっはよー。」
「おはよう。在人。」
才華と千歳はもう起きてるみたいだ。俺は2人の方へ向きあいさつを返す。
「おはおううううううう。おい。」
俺の頭は一気に覚醒した。そりゃそうでしょ。目の前にパンツ1枚の2人がいたら、肌色の山と谷が2つ見えたら。俺は慌てて布団に潜る。
「まだ、眠いの?」
至っていつもどおりの千歳。
「なにを慌てているんだか。」
才華も正常だ。俺がおかしいのか?
「着替えるなら、俺が起きてからせーよ。」
布団の中から、一般的と思われる反論をする。
「なら、今起きてるからいいんじゃないの?」
疑問系の千歳。俺の説明が悪いのか?伝わらねーなー。
「俺を部屋から追い出して着替えるってこと。」
「にぃひっひっひ。美女2人の裸を見れて、嬉しくもも恥ずかしいのかい。」
楽しそうに才華。
「そうですよ。童貞はこんなもんだ。」
まだ2人の姿が目に焼きついている。オレは興奮している。落ち着け。鎮まれ。
「子供のころ、一緒にお風呂はいったじゃない。」
千歳が答える。5歳そこらだぜ。あのころまだ山やら谷やらなんてなかったでしょ。
「近い将来、絶対に見ることになるんだから、問題ないでしょ。」
と才華。・・・そうとはかぎらんだろ。俺とそういった関係になることは2人の中で、確定済みなのかもしんないけど。だとしても、だとしてもなー。
「恥じらいはないのか?」
俺の小声の質問に、才華は
「いやー。もっと見てー。」
そして、便乗する千歳
「こっちきてー。在人のエッチ。」
確かに恥ずかしそうに言ってるけど、そうじゃない。そうじゃない。結局、俺が布団から出れたのは5分ほど過ぎてからだった。あー部屋分けたい。
宿で朝食をすませ、3人、宿前でジーファさんを待つ。今日はこの世界の服を着てるので、昨日見たいに注目を浴びてはいない。待っている最中、道行く人の中に「あれ、財布ない。」やら「鞄持ってかれた。」などの声が聞こえた。治安良さそうだけど、あるんだなー、こういうことも。まぁ交流地点だからそういう奴もいるよな、油断できないってことか。・・・3人でいたら、狙われるのは俺で確定だけど。
10時ちょうどに、ジーファさんが着いた。昨日とは服装も違う、ラフな格好だ。そして、隣には褐色肌で濃い茶髪、青色チュートップ、白色ホットパンツの女子もいる。
「おはよう。チトセ、サイカ、ザイトさん。」
「おー、この3人が昨日言ってた人たちかー。」
俺たちのあいさつを待たず、褐色さんは早速、こちらをまじまじと見つめてくる。
「コア!あいさつは」
ジーファさんはコアと呼ばれた褐色さんの右耳を左手で引っ張る。褐色さんは「イテテ」と言いながら、その手をはらい、こちらを向く。
「私はコア。15歳。獲物はナイフ2本。よろしく。」
コアは腰元からナイフ2本を抜き出し、俺の目の前数ミリのところに突き出す。俺は反応できなかった。こえーよ。ただ、
「私は才華。よろしくね。コア。」
才華は左手でコアの右手首を掴んでおり、笑っていた。目は笑ってないけど。
「千歳です。」
にっこりしながら、千歳は右手でコアの左手首を掴んでおり、
「コアちゃん。大丈夫だと思うけど、こんな状況になったら、私たちも手は出ちゃうから。」
と付け加える。声のトーンは低めだけど。
2人に気圧されたのか、コアは顔をひきつけ、首を振りながら、
「はーい、冗談でーす。ただの自己アピールでーす。ごめんなさーい。仲良くいきましょう、お姉さん方。」
2人を見ている。ジーファさんも
「ごめんなさい、3人とも。コアが調子に乗っちゃて。」
とまた耳を引っ張っている。
「いいよいいよ。ジーファさん。俺は在人。よろしく、コア。ほらほら2人も手離して。」
俺に促され、2人は手を放す。才華よりの性格だなこの子。
「よろしく。ザイト。」
コアはナイフを収めて、にへらと笑う。ただ両手を振ってはいたので、結構な力で握られてたのかも。
「ではまずどこへ行きますか。」
ジーファさんは才華、千歳に話しかける。その様子を見てコアが俺の耳元に小声で話しかける。
「あの2人はなんなの。本当に今まで、魔物と戦ったことないの?すごい殺気だったよ。」
「一応、人相手の訓練は受けてる。怪我させるつもりはなくても、もうあんな真似はしない方がいいよ。万が一、俺に怪我させていたら、たぶん殺されていたと思うよ。そういう2人。」
俺も小声で返す。「ひぇー」と言いコアは震えていた。軽いトラウマにでもなったかな。
「まー根はいい奴だから、俺を冷やかすぐらいなら大丈夫だよ。むしろ、そうしたら楽しく乗ってくるから。」
2人のことを一応フォローする。
「では行きますか。何しているの?コア、ザイトさん。」
ジーファさんから催促され、コアも答える。
「はい。わかりましたー。あっでもその前に一つ聞かせて。3人ってどういう関係?」
俺が答えようとすると、才華は俺の右腕、千歳は俺の左腕に組んできて、コアに笑顔で答える。
「彼女よ。」
「恋人です。」
そして、互いに目を合わす。動作も言葉もないやりとりがなされている。このやりとりを見ていたコア、ジーファさんは呆気に取られてる。そうなるわな。このやりとり辞めてほしいんだけど。
「幼馴染!です。ジーファさん、案内お願いします。」
俺は2人を払い、力を入れ答える。
「えっ、えーそうね。では行きましょう。」
ジーファさん、我に返り案内を始める。まだ、コアはポカンとしてるけど。
今日はまず、ギルドへ。今後の収入源のひとつとして、あと住む場所の確保のため、ここは外せない。役所も兼ねているからか、街の中央部にあり、3階建ての一際大きい建物だった。1階がギルド、2、3階に役所、不動産関係になっているみたいだ。ちなみにギルドのとなりに大きい酒場『グラッチェ』があり、登録者御用達とコアより。
ギルド
1 クエスト(依頼)に挑戦できるのはギルド登録者のみ。(報酬トラブル回避のため)
2 掲示板にクエスト用紙が張られているので選ぶ。(実力にあった内容を受付でも紹介してくれる。)
3 クエスト用紙には依頼主、報酬も記載されている。
4 クエストを受ける際は、受付に申告する。(受注者の把握、依頼人の連絡のため)
5 難易度によって、受付に止められる場合があり、それには従う。
6 街ごとのギルドに登録してクエストに挑戦する。
7 街から出て行く際は登録解除する。(短期旅行は除く。)
8 クエスト中に受けた負傷にギルドは一切の責任を問わない。(クエストに虚偽があった場合は除く)
9 受付をせずに、偶然、クエスト内容を達成した場合、事後報告をすることで報酬が得られる。
10 無断でクエストを受け、内容達成して場合、報酬はでない。
コアとジーファさんから基本的な説明を受ける。今後のため3人とも登録する。今日はそれだけ。
今度は2階で住居探し、2階建ての中古物件(値段は1番高い。前居住者は南の街へ引越していったとのこと)を才華が金塊2個で一括購入。どうもこの世界の金の価値は俺たちの世界よりかなり高い。この世界でまだ金に困ることはないのは、きっと、才華の主人公補正だな。家の鍵は明日受け取ることになった。その際、職員により名前、年齢を聞かれ、住民登録されたみたい。俺たちの世界よりずいぶん手軽というか簡単とういか、雑な気がする。まぁいいけど。




