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VS新人の始まり。・・・俺達も新人だけど

「話はまとまったかな。ならニワトリのいる西の草原で君たちの実力を見るよ。」


 ジョーさんが手をたたきながら指示する。


「とういことで、ちょっと行ってきますので。ガーゼットさん。」


「危なくなったら止めなさいよ。」


「そこは大丈夫ですよ。はい。移動、移動。」


 不適に笑うジョーさん。


「じゃあ、ガーゼットさん。明日ね。」


「お待ちしてますので。」


「あ、失礼します。」


 ガーゼットさんに頭を下げ、ギルドを出る。



 西の草原への移動中、才華へ質問をする。


「なんでやる気になったの?」


 戦士君たちのためなのか?


「しつこそうだったからねー。パッと終わらせたかったのと、ついでにお酒代を絞りとるため。ヒヒッ。」


 ふむ、しつこそうなのは否定できん。そして、絞りとるかい。そっちがメインだろ。どうやらまだ考えがあるみたいだ。おいおい。


 ・・・このシーンだけ見たら、シクを助けた人と同一人物って誰も思わんよな。別に周知してほしいわけでもないが。


「そうね。在人をバカにした分は10万ゴルじゃ足りないわよね。才華。ふふふ。」


 満面の笑み(邪悪)で、愛音も同意している。おいおい。


「・・・・具体的には?」


「それは、草原についてからのお楽しみ。ヒヒッ。」


 ですか。


「・・・ほどほどにね。あと、勝ち負けは気にしないと思うけど、どう戦うつもり?」


「まず、私が戦士君と金髪の子を抑える。その間に才華が槍の子から槍を取り上げ、ねじ伏せる。ねじ伏せたら在人がその子を抑え込む。あとは私が戦士君、才華が金髪の子を相手する感じで。たぶん、それでうまくいく。」


「そうだね。」


 愛音に案をあっさり受け入れる才華。


「そんなにうまくいく?俺の方が体格はいいけど、抑えれるかな?あの子だってずっと鍛えてるんでしょ?」


「関節を外すなり、骨を折るなりすれば大丈夫でしょ。」


 あ、なーる。俺の不安を愛音があっさり吹き飛ばす。


 ・・・・・息を吸うようにその意見が出るのはどうなんだろう。いつものことと言えばいつものことだけどさ。うーん。


「そうゆうこと。それならじっちゃんから教わった基礎に、千佳義姉からの教わった護身術の技術で問題なく対応できるよ。在人。」


 ですか。2人がそういうなら大丈夫なんだろう。でも


「抑え込んでもさ、魔法はどう対処すれば?」


「新しく買ったナイフを首に押し付ける。魔法を撃とうとしたら刃を食い込ませる。アラクネルのときみたいに脅す。それで大丈夫でしょ。あとは油断しないこと。」


「りょーかい。」


 俺の不安を一蹴する愛音の提案。うーん。首のナイフが当たった部分がむずむずする。


「ま、私たちは負けて困ることはないんだから、固くなる必要も、不安になる必要はないよ。」


 才華が気楽に言う。ま、それもそうか。



 草原につくなり、戦士君はすぐさま剣を構える。血気盛んというべきか、気が早いというべきか。落ち着きがないとうべきか。ば・・・・なのか。


「さー、やろう。」


「まだ早いよ。」


 戦士君の剣を右手で押さえるジョーさん。戦士君は抗うとしたが、全く動けないでいる。やっぱ。事務職じゃないよね。


「そうそう。取り決めとかも決まってないよ」


 才華がうなずく。


「そういうこと。わかったかい。」


 ムスっとして戦士君は剣をいったん収める。


「殺さないこと。俺の見える範囲で戦うこと。俺の審判に従うこと。それくらいかな。」


 それだけ?雑じゃないか?。槍少女と金髪少女も同じ考えみたいだ。顔がポカンとしている。


「まールールはそんなところだね。」


「ええ。それで十分。」


 逆に納得いっているのが才華と愛音。戦士君もうなずいているが、君は深く考えていないだろ。


「それで、戦士君たちが勝ったら、ランクアップ。あのクエストに挑戦できる。で君たちはどうする?ランクアップする?」


 俺を見るジョーさん。どうしようと悩む暇もなく才華が前に出る


「ランクアップの必要はないです。というより参考にはならないですよね?」


「うーん。まーそうかも。」


 才華の回答に歯切れが悪いジョーさん。?


「ま、単純に戦士君の支払い金額倍で。ヒヒ。」


 ニヤーリとする才華。なにか考えがあるとは思っていたが、これか。ギルドにいる段階からここまで想定してたのか。


「ちょっとなにそれ。」


「えええええ。」


「さ、流石に厳しいです。」


 戦士君と金髪少女は目を見開いて絶叫し、槍少女は目に涙が浮かんでいる。うーん。俺もそう思う。ドSだなぁ。いつものことと言えばいつものことだけど。


「おーやー。勝てる自信があって挑んできたんじゃあないのかい?ジョーさんに実力を見せつけるんじゃあないのかい?口だけだったのかあい?」


 ドSな笑みを浮かべ戦士君たちの周りを歩く才華。うーん。その表情を見て楽しんでいる気もする。


「う、そ、そうだよ。」


「でしょう。なら、なにも問題ないんじゃあないの?」


「あ、ああ、問題ないぜ。3倍でも、10倍でもはらってやらあ。」


 これ以上押し負けまいとして戦士君が啖呵を切る。あーあ。


「お、言ったねえ。忘れんなよー。ヒヒッ。」


 金髪少女と槍少女が手を取って泣きそうな顔をしている。


「じゃあ、やろうか。」


 才華は凛とした表情になる。


「じゃあ始めようか。」


 ジョーさんはこの流れを気に止めずに話を進める。VS新人の始まり。・・・・俺達も新人だけど。



 

 戦士君は剣を正面に構える、その左隣りには半身で中断構えの槍少女。金髪少女は2人より後ろの中央に陣取っている。

 その対面に俺らは位置し、いつもどおり俺の右前に才華、左前に愛音がそれぞれ武器を構えている。


 構えた俺らと戦士君達を交互に見て、ジョーさんが右手をあげる。リラックス、お気楽な雰囲気は一掃され、空気がピリピリとし緊張感が走る。・・・・そんな気がする。たぶん。恐らく。いやきっと。


「始め。」


 ジョーさんの手が振り下ろされる。


「っつしゃー。」 


 戦士君が駆け出す。というか飛び出してきた。遅れて走り出す槍少女の顔には「待って。」と出ている。


 こちらも愛音が戦士君に向かっていく。そして、


 カキーン!!


 愛音の袈裟斬りを戦士君は受け止める。それを払ったのち、戦士君は剣を横に振ってくるが愛音はそれをバックステップで回避。戦士君は追い打ちをかけるも愛音は回避し続ける。追いかけっこみたいだ。


 愛音と戦士君が追いかけっこをしている横で槍少女は才華と対峙している。動の戦士君に対してこちらは静。じりじり、間合いを詰めてくる。


 あれ、金髪少女は?どう考えても俺を狙ってくるはずだが、音沙汰がない。


 金髪少女は最初の位置から動いていない。動きを見ると、どうやら魔法を撃てないでいる。


 そして、その原因は戦士君。戦士君は愛音を追いかけるが、それにより、金髪少女の射線に入ってしまい、魔法を撃てないようだ。じゃあ愛音を狙おうとすると、戦士君を盾に位置するなり、鍔迫り合いに持ち込んだりし、戦士君に誤射しかねないようにしている。すげぇ。宣言通り2人を抑えている。


 ボギツ!!!


 ?なんだ。嫌な音の方を見る。それは才華が槍少女の右腕をアームロックで折った音だった。槍少女は口を噛み締んでいる。


「在人、こっち」


 俺が愛音に見とれている数秒間にこれですか。はやい。


「上にのって、体重かけて。」


 才華は槍少女をうつ伏せに倒し、左腕を後ろに回す。俺はその首に膝を乗せ体重を掛ける。


「はい、あとで直してあげるから、我慢してねー。」


 ボギリ。


 そういって才華は、容赦なく、槍少女の左腕を折った。


「あああああああああ。」


 槍少女の悲痛な声が草原に響き渡る。涙も流れている。その様子を見る才華の口にうっすらと笑み。おいおい。・・・・悪役だね。やっていることが。


「これで両腕が使えない。っと。じゃあ打ち合わせ通り、ナイフで抑えといて、なにかしようとした時点で、ナイフは押し込めばいいから。傷は私たちが治すよ。」


 俺は言われた通りナイフを首筋にあてる。ごめんね。


「君に言っとくけど、君が少しでも在人を傷つけたら、再起不能にするから。全員。」


 腕の骨折箇所を触りながら、冷酷な目つきで槍少女を見下ろす才華。こえーよ。


「在人、油断しないでね。」


「あ、はい。」


 一転して明るい笑顔を見せたあと、愛音のほうへ才華は歩き出す。







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