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条件よし、荷物よし、帰る準備よし、いざ行かん。

「こんなところでどうでしょうか。」


「そうね。あとは任せるわ。」


 話し合いが一段落したので3人の待つ部屋に戻る。


「終わった?」


 タオルを肩にかけてた才華が質問してくる。もう落ち着いているようだ。


「うん。前置きなしで話すから。よく聞いてね。」


 良子さんと話し合った内容を伝える。


「異世界での条件を決めた。それに従って。」


以下大雑把に説明。


生活条件

1 人の集落で住むことにしたら、一度それを報告し以後、月1回、最低でも3か月に1度、ポイントから

 リモコンで報告をする。

2 報告期間が3か月に1度では困難の場合、可能な期間を報告する。

3 報告ができない非常時の場合、非常時が解除されしだい報告する。

3 無謀なことをしない。

4 集落外では単独行動をしない。

5 半年に一度は帰還する。

6 永住はしない。


帰還条件

 以下の状況時は装置でこちらの世界に戻ること。

1 3人の命に危険性を感じた場合 

2 思い病床人、重体者、死者が1人でも出た場合

3 3日間で人の集落が発見できなかった場合

4 天変地異の発生、恐れがある場合

5 集落で争い、戦争などが起きる、起きえる状況の場合

7 ポイントに帰還できなく恐れが判明した場合

8 リモコンが2台壊れた場合

9 リモコンが1台壊れた際、修理手段がない場合

10 転移、報告時、装置自体または異世界のつながりに異変がある場合


その他

1 帰還不能者がでた場合、家族への報告、今後の残された家族の生活保障。

2 基本的に異世界の住人をこちらに転移させない。

3 命、帰還を優先した行動をとること。

4 異世界で1人でも行方不明になった際、報告する。

5 非常時は在人の判断を優先する。

6 定時報告がない場合、こちらから探索はしない。


「ってな内容なんで。才華、千歳、悪いけどこの条件は飲んでもらうよ。断るなら俺は行かないし、良子さんの味方をする。」


 俺は真剣な顔で2人を見る。


「わかった。」


「いいよ。」


 2人は納得してくれる。とりあえずは問題解決。


「あと、才馬さんにもこれ伝えたから。」


「兄貴なんか言ってた。」


 LINEを見せる


『気を付けて。お土産よろしく。良子に合ういい男性探しといて。』


「だそうです。」


 4人が笑い、良子さんもなんとも言えない顔をしている。




「では行きますか。」


 3人とも出発準備を終え、再び装置の前にいる。

 持ち物は

 3日分の簡易食料に水 下着などの着替え 装置のリモコン予備含め4台 リモコン用修理工具  

 才華製太陽光充電器 懐中電灯 合羽 防寒着 筆記用具 マッチ ライター 一人用テント×3 

 小型寝袋×3 キャンプ用食器 包丁 まな板 方位磁石 トイレットペーパー ウエットティッシュ 

 キッチンペーパー ノートパソコン 大学ノート ゴミ袋 ロープ 裁縫道具 救急箱 金塊宝石 等 


 それらを8割、俺の大型リュックに詰め込んでいる。はい荷物持ちです。

 一応護身用に、才華はなぎなた 千歳は刀 俺はハンマーとスタンガンを持っている。

 俺は服装を変えず、才華と千歳はやや丈の短いメイド服にタイツ。才華は赤、千歳は緑を基調としている。・・・動きやすい恰好にしようって俺は言ったけど。

 

「働きやすいからメイドはこの恰好なんじゃないの。異世界ものにメイドはつきものでしょ。」

 

 と才華の弁。こんなタイミングだけど着たかっただけだろ。お前は。

 俺は頭を抱え込んだけど、突っ込みも論争も面倒なので、俺は説得をあきらめた。まぁ2人とも似合ってはいるんだけど。

 

 良子さんがキーボードを操作している。真もモニターを見たりして、操作を教わっているのだろうか?

 あー緊張してきた。不安もぬぐいきれない。2人の恰好は余計に不安をあおる。

 

「どーしたの。緊張してるの。」


 千歳が顔をのぞきこむ。


「まーね。ドアを入った途端なにか起こるかも、向こうでモンスターに襲われるかもと思うと。」


 俺は2人ほど、楽観視はできないし、しない。


「ドアに入った途端になにかって、死んだりするとか?」


 才華はぷーと頬を膨らませている。


「そんなことはあり得ない。私をなめるな。」


「はいはい。信じてますよ。」


 俺は流す。才華はあっと何か気づいた顔をし


「仮に死んだとしたても」

 

「死んだとしても?」


「死後転生できるかもよ。在人。どっちにしろ異世界いけるね。」


 親指を立て、笑顔で言う才華。千歳も笑っている。 


「死後転生はまだいいわ。」


 俺は顔を横にふる。この2人のお気楽さを見習うべきなのか?


 


「皆さん。準備できました。」


 真がこちらに報告する。さーいよいよだ。心音が大きくなるのが分かる。

 千歳がドアを開く。おー本当にドアの向こう側が森林になっている。すげーな。

 

「じゃあ、行ってくるね。良子、真。装置もよろしく。」

 

「行ってきまーす。良子さん、真ちゃん。」


 2人は良子さん、真のほうに微笑みながら言う


「お気をつけて。」


 頭を下げる真。良子さんも無言で頭を下げる。


「では行きますわー。」


 俺も少し気楽に言う。良子さんは俺のほうを見て


「2人のことよろしくね。 それと条件の判断基準は厳しくしてね。」


「わかってます。その代わりと言ったらあれですが、俺のいない間、万が一のときは妹のことをよろしくお願いします。」


「それはまかせて。ただ万が一はないようにね。」


 良子さんが微笑む。


「夢さんのことは安心してください。」


 真も微笑んでいる。


「よろしくね。真ちゃん。じゃあ行くかい。」


 俺はドアに向き直り、才華、千歳と前へすすむ。

 良子さん、真の微笑みがこの世界で見た最後のものにならんように俺も頑張りますか。

 そして、ドアをくぐる。

 異世界もののはじまり、はじまりー。ってか。


 

 3人ともドアをくぐり終えると、真が一礼してドアを閉める。そして、ドアが足元から消えていった。おー、どこでもドアだ。何度もいってるけど、すげーな、どうなってんだろ。

 

 各自きょろきょろ周囲を見渡す、晴れ空に木、岩、茂み。森のなか独特の不気味さは感じるけど、見た目は俺達の世界の森と変わらない。

 

「見た感じ俺らの世界と変わんないから、こう、異世界に来た!って感じはしないなー。」


「・・・見た感じはそうね。」


「見た感じはね。」


 今になって緊張してきたんだろうか?2人の言葉にはなにか引っかかるものがあった。

 まーいいや。やるべきことをやろう。


「2人ともリモコンは?俺のは異常なし。」


「正常よ。」


「私も」


 まず1つ確認。 


「千歳はここデジカメ、スマホで写真とって、あとノートでスケッチも。才華は俺とアンテナ設置。」


 才華はリモコン用の才華製太陽光発電装置付きの小型アンテナを複数用意していた。これによりポイントの位置から半径100メートルの範囲にいればリモコンでポイントの位置、方向が分かるらしい。

 緯度経度も判明してるので、これぐらいしとけば、ポイントの位置を見失うことはあるまい。

 ここまで帰る準備をする異世界ものもあるまい。


 

 アンテナ設置も終わり、冒険、探検開始だ。俺は方位磁石を手に持ち


「さて、獣道もないけど、どっちに向かって行く?」


「「こっち。」」


 2人はポイントから北西方向を指す。その動きに迷いはない。


「なぜに?」


「たぶん、あっちに人がたくさん集まっている。街かも」


 才華の説明に俺はきょとんとする。


「なんでわかるの?」


 千歳は説明できないって顔で


「在人は感じない?この世界にきたら、なんか気配というか何かを感じるんだけど。その気配?が向こうのほうにかたまっているんだよね。」


 えっそうなの?俺はなんも感じないんだけど。俺は北西を向くが何も感じない。


「うん。私も感じる。あと千歳から感じるのと向こうに集まりから感じる気配が似通ってるんだよね。だから、人だと思う。」


「そうね。あと、西側にも少数の集まりがあって、こっちのほうに向かってきてるね」


「うん。うん。そうだね。正確な距離はわかんないけど、西側は近づいてる気がする。」


 2人は俺をおいてけぼりにする。だから、最初に引っかかることを言ってたのね。教えてよ。結構重要なことだよ。


「俺はなんも感じないんだけど。ちなみに俺からその気配は?」


「「ない。」」


 えー。そうですか。俺は少しショックを受ける。異世界でもこの2人のハイスペックぶりをまじまじと見せつけられた気がしたからだ。また同時に異世界にきたことも実感した。俺達の世界にはない何かがこの世界の人にある。それをこの世界の人たちは全員もっているのか、それとも一部にしかないのか?

 2人がその何かを感じたのはその才能をもっていたのか。それとも体が異世界に適応した?まっ俺には関係ない話だ。うらやましくなんかない。うらやましくなんか。・・・くっうらやましい。


「したら、北西に向かいますかい。あー、あと何か気づいたら、隠さず迷わず報告して。」


かくして出発。











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