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驚くところ

 『グラッチェ』にて千歳、シクと合流する。ここにくるまでに才華は平常の戻ったみたいだ。たぶん。シクは待ちくたびれた顔している。千歳のほうは少しうんざりした顔をしている。どっした?待たせすぎた?だとしたらごめん。


「酔った登録者が絡んできて、撃退したんです。3回ほどで周囲の人はあきらめたみたいなんですけど。」


 シクが小声で説明してくれる。あー、ですか。千歳に見た目ならあるよなー。才華でもだけど。今日はキャノさんいないからなー。まー俺がいても絡まれるか。


「遅くなってごめん。千歳。」


 俺の顔を見て、千歳はにっこり笑った。本当にごめん。席に座ったタイミングで料理が運ばれてきた。念のため、料理を運んできたうさ耳の女性ウェイターさんに尋ねる。


「あのーお店にご迷惑は?」


 千歳が悪いとは思わんが店としては迷惑だろう。曲りなりにも登録者なんだ、一方的といっても物は壊れてそうなんだが。


「あー大丈夫ですぅ、こんなのよくあることなんでぇ。多少、床と椅子が壊れましたが、全部絡んでた奴らが悪いんでぇ、彼らの代金に修理代を上乗せしましたぁ。」


 ゆるいしゃべり方のうさ耳ウェイターは手を振りながら答える。ですか、確かに慣れてる感が半端ない。

さらにウェイターは背中を丸め小声で


「ここだけの話、修理代も3割増しにしていますぅ。1割はみなさんの代金に回してますんでぇ、秘密でおねがいしますぅ。」


 あらら、逞しいというかちゃっかりしているというか。


「あーあと、うちの子の何人かはチトセさんのファンになりましたんでぇ。まー、ごゆっくりーでぇ。」


 ぬるいしゃべり方でウェイターは笑いながら去っていた。ファンですか。千歳は学生時代にも女性ファンクラブができていた。ここでもですか。チラッと千歳を見ると、千歳は猫耳のウェイターさんと話していた。どうやらファンらしい。人気ものは大変だねー。


 料理も来たことなので


「「「「「いただきます。」」」」


 明日に備えモグモグ食べる。才華も千歳も遺体を見た直後なの普通に食べている。俺なら食が進まない気がする。図太いと思うべきか、それとも2人組だからか、いや、単純にお腹がすいているからか?そこは気がかりだったが安心した。・・・安心していいのか分からんが。


 食事中、才華と目が合うと才華は一瞬、フリーズするときがある。そこを千歳、シクが不思議がるが、


「なんでもないよ。」


 その都度、才華は誤魔化したり、話を逸らしたりする。まだ、影響あるの?それこそ意外なんだけど。普段暴走しながらアタックしてくるのに、俺が積極的に同意するとこれかい。面白いからいいけど。千歳の場合はどうなんだろう?試すべきか?


 食事が一段落したとろこで、明日の予定を確認する。才華がシクへ2人組のことを伏せながら、状況を説明し、千歳が補足する。


「私は塾も休みなんでお留守番ですね。」


 顔を下にむけシュンとするシク。1人はまだ寂しいらしい。これは仕方ない。我慢して。


「ごめんねー、シク。明日は我慢してね。お土産用意するから。」


 才華がシクの頭を撫で、励ます。連れていくつもりはないか。まーそれが決まりなんだけどね。あと、お土産は何を用意するつもりだ。変な物渡すなよ。7歳、小学生むけの物にしろよ。あ、本がいいんじゃないのか。


 引き続き、デザートを食いながら、明日の予定を話合う。才華と千歳は2品目のデザートを食べてる。会話に加わらないシクは少し眠たそう。目がトロンとしている。


「じゃあ、明日はこの予定で決まりね。この後はターロホさんのところへ行く?」


 千歳がこちらを伺う。


「明日は朝早めに行動するんだから辞めとこうか。俺が言い出したことだから、ターロホさんのところには俺が謝ってくるよ。」


「私も行くわ。」


 千歳が手を挙げる。


「私もー。」


 才華が続く。それじゃあ全員行くことになるじゃん。と思ってシクの方を見る。


「・・・・あ、私も行きます。」


 今、意識飛んでたな。もう眠いかい。あーそうか、朝食当番も頼んだからか。飯も食ったし限界か。


「才華は、シクと一緒に帰宅してて。在人の護衛は私がやるから。」


 千歳が才華にウィンクする。一緒に行くってそういうことかい。いやいや。まー確かに1人だと輩に絡まれて、ボコられる可能性は否定できんけどさ。


「うーん。仕方ないね。ただ、2人で飲んできたら怒るからね。」


 才華はシクの様子を見て諦めた。シクを見てる目は暖かいものだった。


「そんなことはしないよ。あーでも、お詫びとして、ボトルキープくらいしてくるけど。」


「・・・ボトルーキープって日本だけの習慣のはずだよ。」


 俺の返事に豆知識で答える才華。へーそうなんだ。


「ま、とりあえず、お店出るか。」


 俺が締めて店を出る。その際、うさ耳ウェイターさんたちが出口付近に注目していたので、手を振り答える千歳。手慣れている。



 

 ターロホさんのお店へ向かいながら、少し質問する。


「2人組の件、どう思った?」


「うーん、思うところはあるけど、正直、シクへの影響の方が心配かな。このままシクの耳に入らなければいいんだけどね。薄情すぎるかな?」


 千歳は手を後ろに組みながら、夜空を見上げる。千歳も才華と同じだ。俺はそれでいいと思う。俺らのとらえ方、考え方に色々言ってくる人もいるかも知れないけど、言わせとけばいい。と俺は思う。自分の判断の決定権は自分にある。


「2人組に対しては思う部分があるだけでいいと思うよ。深く考える必要も悩む必要もない、そうなんだって認識しとけばいいと思う。俺らは聖人になる気ないだろ。」


「私たちなら、自業自得、今までの報い、って割り切れるし、それで終わりにできる。でもシクはまだできないと思うし、否応でも複雑な気分になると思うの。はっきり言ってあんな2人組のために、シクが悩む姿を見たくないわ。今はもっと明るいことを思って欲しいの。」


 千歳は星空に願っているみたいだ。2人組のことよりシクのことが大事。


「今はそれでいんじゃない。」


「賛成してくれてありがとう。」


 千歳は微笑む。


「なら、最後に、気持ちは大丈夫?」


「どうゆうこと?」


 千歳は首をかかげる。


「才華にも聞いたけど、遺体見たんだろ。だから精神的につらいとか、参ったとか、ないの?飯は普通に食べてたけど、シクがいるから無理して食ったとか。気持ちとか心とかを気にしているってこと。変なこと気にしているかもしんないけど。どうよ、実際のところ。」


「うーん、思うところはあったから。そうねー、在人と寝れば安心するかも。才華もそうだと思うわ。」


 指を口に当て悩んでいる顔をする千歳。やっぱそこも同じ考えかい。ならば。


「分かった。才華と一緒に来い来い。」


 俺はいたって真面目な顔つきで答える。こんな状況だけど内心、どんな表情をするか楽しみではある。


「・・・・ごめん、もう一回言って。」


 千歳は俺の言葉が理解できないって顔をしている。


「分かった。才華と一緒に来い来い。」


 言われた通り、もう一回言う。


「え、あれ、えー。うん。あれ。あれー?どうゆうころ?」


 フリーズした才華に対して、ショートした千歳ってところか。言葉が可笑しい、こっちもおもしろ。


「今夜は3人で寝るってこと。」


「うん、分かっにゃ。」


 どうやら、舌もショートしたみたいだ。そして、分かってないだろ。顔がまだ混乱している。あれだな、疲れと満腹感で頭が働いてないのかな?


「はい、落ち着いて、落ち着いて。深呼吸、深呼吸。すってーはいてー、すってーはいてー。」


 普段、千歳に促される深呼吸を逆に促す。千歳は丁寧に深呼吸する。


「すーはー。すーはー。」


「落ち着いた?」


「・・・・ええ。取り乱してごめんね。」


 どうやら少しは落ち着いてみたいだ。ただ顔は少し赤い。


「才華とも同じ話したけど、むこうはフリーズしてたよ。」


 俺が説明すると。


「そうなの、そうよね。そうなるわ。だってどうせ断ると思って言ったものだち。大人になってから初めて、在人からなんて。」


 また、混乱しだした千歳。俺が誘うのはダメか。2人主導であるべきかい。俺は振り回されろと。確かにそれが基本だわな、でも、俺にだって。


「才華も言ってた。言っとくけど、大人の階段とか、愛のABCとかじゃないから。遺体を見た、嫌な気持ちをすっきりしてもらうこと。才華も千歳も。分かった?」


「うん。」


 頭をガクガク上下させる千歳。


「食事中に才華の動きが止まったのはこういうこと。わかった?」


「ええ。私もそうにゃる。」


 才華のことを思い出しているのか、目が上を向く千歳。自覚はあるんだ。・・・。


「アラクネル退治されなかったら、戻る代わりにデートって話のときは普通だったのに。」


 俺は頭によぎった疑問をぶつける。


「あのとき、在人は照れながら誘ってたしょ。条件付きだったでしょう。それでも嬉しいんだけど、今回はそんなのないじゃにゃい。」


「宿で布団に入ってきたときは?宿で朝起きたら、パンイチの姿見られたのは?」


「在人に見られるのは平気。布団に入ったのは私たちからだったから。どうしたの?在人から誘うなんて。」


 千歳が顔に両手を当て恥ずかしそうにしている。むむ、かわいいじゃないの。ところどころ噛んでいるのもかわいいじゃないの。


「ん。2人が精神的に大丈夫なのか心配ってこと。と、お店ついたからこの件は終わり。とりあえず、帰宅までには落ち着け。」


「うん。」


 千歳がコクンと頷く。千歳のこの雰囲気はデジャブ感がある。




 『ククル』に入り、ターロホさんに状況を説明する。約束の延長の代わり、ボトルキープをお願いする。やっぱり、この世界にはボトルキープはなかった。俺の知る範囲での説明をし、ターロホさんが了承してくれたので1本購入する。その様子を見聞きしていた他の客が同じようにボトルキープを注文し、ターロホさんはウハウハ顔。過去読んできた異世界ものでだと、転移者はそれぞれ様々な知識、道具を伝達、流行らせたりしていたが、俺の場合はボトルキープか。流行ったとしても、・・・・威張れるもんではないな。


 



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