表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

164/169

たった2人の会議2

Q なんで異世界にエプロンを持って行ったのですか?

 落ち着け。落ち着け。神具使いを辞退?辞める?全然考えていなかった。何故に?だめだ、状況がわからないから推理もできん。まずは話を聞こう。そこからだ。


「えーっと。その理由をお伺いしても?差支えない?」


 今後のプランに影響がでるから、話せる範囲で教えてほしい。


「……私は生まれつき病弱で、入退院を繰り返してきました」


 体の細さ軽さ、顔色の悪さ。食事量の少なさ。倒れたこと、それらが本人の申し立ての裏付けとなる。


「ここにくる直前も病院で死ぬのを待っている状況で召喚されたのもそのときです。……いえ、死んだその瞬間にこの世界に召喚されたと思います」


「だから、俺がこの世界に来たとき説明で、ピンときてなかった」


 真希奈さんはうなずいた。だとしたら、アバターのアロッドやエラボザも同じなのかもしれん。


「辛さや意識が遠くなっていき、感覚がなくなった次の瞬間、体の重さや意識がはっきりとしたんです。そして……」


 恥ずかしそうに目を伏せる真希奈さん。セクハラ身体接触と男性1人分の重みにも気づいてしまったと。


「すいません」


「あ、いえ。謝らないでください」


 気まずい空気になってしまった。


「えーとつまり、転移ってよりは転生に近い形なのかな?」


 死んで生前の姿でこちらに来たのが正しいのか?アバター姿のアロッドがいるから、転移の内容が複数あってもおかしくない。


「死ぬ寸前だったなら、体は平気なのか?」


「体質は治ってないのは確かですが、それでも直前よりは調子はいいです。過去の例だと刺されたり、事故にあって来た人もいると聞きましたので、なんらかの補正はあるようです」


「なーる。あれ、じゃあ、元の世界に戻るときは?」


 来る直前の時間と場所に楔を打っているとウームさんは説明していた。俺は消えた瞬間に戻るだけだろう。真希奈さんの場合は?


「ここを去る直前の体でかつ健全な状態で戻れるそうです」


「なーる。それなら一安心か」


「話は逸れましたが……」


 そうだ。今は神具使いを辞退の話。


「死体同然の私がこの闘いを切り抜けれるとは考えれません。だから、私は神具を返納し、どこかで静かに暮らすつもりでした」


 病弱な体で旅はできるか? 病弱な体で魔物と戦うことはできるか?病弱な体で邪神との決戦をい生き残れるか?


 悪いが無理だろう。少なくとも俺は無理。


「ですか」


 目の前が真っ暗になった。おれがこの状況を生き残るためにはどう考えても神具使いの真希奈さんの力が必要だった。最低でも今いる場所から人里への移動には戦力が必要だった。だが真希奈さんは戦えるような状況じゃあない。人里への移動すら俺には、いや俺たちには困難、ベリーハードモードってことが判明してしまった。


 だが真希奈さんを責めることはできない。責めるほうがどうかしている。それぐらいの判断はつく。才能でしか選定しない神具だ。これはどうしようもないことだ。


 ……才能。それも病弱を考慮しても選ぶくらいの才能があるのか?その片鱗を見せた魔力感知。俺にはマアカたちと同じに思えてしまう。まあ、思えるだけで、確証はなにもない。


「……真希奈さんは今、どうしようと思っています?」


「……少なくとも人里は目指します。そこから、ヤセントへ行く手段を確かめようと考えています」


 できる自信は?と聞いても意味はないか。やるしか、生き残る道はない。


「ヤセントに行く必要はないんじゃないか?ほかにも事情を把握しる国で神具を引き渡すとかでもいいんじゃない。あ。決して、俺がいろいろ行きたいたから言っているわけではないから」


「……人多さんはあの襲撃をどう思います?」


「どう?」


「……目的やタイミングについて……どうお考えです?」


「えーっと目的は真希奈さんたち神具使いの命とか、神具そのもので。タイミングはこの世界に来たばかりなら、神具を使いこなせない、右も左もわからない、レベル1、戦闘経験0、平和ボケのほうが絶対に多いから」


 7人全員が即戦力なんてそうそうないだろう。今回だと槍見や、ケイログト、あとは本来いるはずの愛音などが該当するか?次点でスタータスは高そうなアロッドってところだな


「私も……そう思います。……ならなんで、転移なんでしょうか?」


「それは……なんでだ?あの包帯なら転移じゃなくて、爆破なりデスなりザキなりで俺たちを殺しにかかったほうが、手っ取り早いような」


「……遺体をすぐ確認できる状況より、捜索にあてる人数と時間を割くためだったのではないでしょうか」


「えーと、つまり、殺害ならその場で死体もしくはその痕跡が見つかるから直ぐ次へ移行できる。でも

行方不明だと神具使い、最低でも神具そのものを発見するまでは捜索を打ち切れない」


 死んでるのが判明すれば次の担い手を探すほうにシフトすればいい。でも判然としないなら、そうはいかない。探すにしても、打ち切るにしても時間はかかる。その間は7人分の戦力は計算に入れられない。


「……それも1国だけの問題ではないので、会議、連絡等で捜索開始にも時間がかかります。……あと金銭面も関わってきますね」


 人類の生き死、世界の存亡が関わっているとしても、それでお金のやりとりがなくなるわけではないか。最終決戦でもない限りはそうだろう。全部タダでというのは非現実的。


「今すぐ殺そうとしたら、邪魔が入るかもしれない。でも転移後ならそうそう邪魔ははいらんか」


 ここに俺と真希奈さんだけってことは、神具にだけ反応するようになっていたのかも。たまたま近距離だったらかもしれないが。


「……私たちだったら、遺物魔の眷属が直接で手を下す必要もないですね」


 ただの魔物って言い方は変だけど、そこらの魔物に殺される可能性は十分にありえる。実際ピンチ。


「で、それが、ヤセントを目指す理由とどういった関係が?」


「……今日、襲撃があったのは偶然だと思います?」


「召喚に場所とタイミングの問題があるから、偶然じゃあ済まないと思う」


「……タイミングに関していえば、私たちが来る前だと、神具も隠されたまま。……もしくはバランデルアさん、ウームさん、デスマスクさんの3人なら、あの場から無事持ち出してしまう可能性のほうが高いと思います」


 そういわれるとあの3人なら切り抜けることができそうだ。足手まとい7人がいないなら、より可能性は高まりそう。最悪、姫殿下を置き去りにしても、神具だけは守れそうだし、姫殿下もそう指示するかも。そして、3人は最終的のそれに応じる覚悟がありそう。


「バランデルアさんも内通者の可能性を考えていたよな」


 実際いるよな。もうそれは確定事項だろう。あ。


「……だから、他の国に行けない?」


「……なにも考えず助けを求めるのは危険だと思います」


 真希奈さんは頷いた。


「それだとヤセントだってそうじゃない?」


 むしろ、ヤセントにいる可能性が高そうだが。


「……少なくとも姫殿下は信頼できると、……別室で話してそう思いました」


「内通者というより、信頼性の問題に思えるけど。ああ。政治の問題?召喚された神具使いが死にました。その神具を回収して、自国の息がかかった新しい神具使いが爆誕。その神具使いの活躍で戦後自国はウハウハとか」


「……それもあります」


 それも?他にもあるような言い方に聞こえる。


「……あとは、利己的に遺物魔側に着く人がいるのも自然なことだと思います」


「邪神は問答無用で人も世界も滅ぼす存在だったんだろ。遺物魔側に着いたところで、利用されてッポイとしか思わんけど」


「……自分なら逆に利用できる。自分の死ぬ順番が最期のほうになれば生き残れる可能性があがる。ただひたすら目先の利益。何食わぬ顔で遺物魔との二重スパイをやってましたと言えばいい。……利己的な人ならどれでもありえると思います」


 そう言われるとありえるか。それだけじゃなく、単純に今従うが殺されるかの2択を突き付けられた可能性もあるな。


 遺物魔もバカではない。バカだったらよかったのにな。人はバカ。それはどうしようもない。人類の技術の進化に対して、思考、精神面の劣化は底知らず。かつて、才馬さんが言っていた言葉だが。バカな俺なりでも納得、理解できる内容の話だった。


 真希奈さんも人をそう考えているようだし、異世界でも同じだと言っているようだった。病弱な体で見てきた世界、人間関係のせいなのか?


「現状、この世界で信頼、信用できるのは姫殿下のみか。俺の感覚だと、バランデルアさん、ウームさん、デスマスクさん、リンマさんは信用できそうだけど」


「あとは、……人多さんですね」


「えーと、いいの?俺は信じてくれるのはありがたし、真希奈さんのことを根拠もなく信頼しいっているけど」


「……少なくともこの世界の住人ではありませんからね」


 そらそうだ。


「えーと、話を戻すと、現状の俺たちが他の国にいくと、ネギならぬ神具を背負った鴨状態。暗殺されてもおかしくないってこと」


「……現状や、創作物の内容からを考慮した素人考えですけどね。……ですから可能性がある程度に考えてください」


「いや、慎重にいくのは悪くないと思うし、俺はそこまで頭回らない」


 冷静に考えれば思いついた。なんて俺は思わない。思いつくことはあるかもしれないけど、可能性は低い。考えるようにはしているけど、結果はついてこない。


「ここで死ぬ気はないから、まずはヤセントを目指す、でいい?」


「……それが、無難かと思います」


 これで方針は決まった。


「だとして、明日はまず人里を目指すでいいのかい?」


「その前に……2日ほど時間をくれませんか?」


「と言うと?」


「……術なり魔法なりを使えるようにしておきたいです。それに使った場合の体調も確認しておきたいです。いきなり実践は流石に無謀だと……」


「それは必要ですね」


 幸い食料もあるから、すぐ移動を考える必要もないか


「したら、俺は付近を見るなり、魚を確保なりしてみるかな」


 あとは通信機で発信はしておく。運が良ければ、元の世界とつながるかもしれん。やれることはやる。やるべきこともやる。


「……その1つお願いがあるんですが」


 この真希奈さんの提案には感心した。

A 才華 「新妻とエプロン。恋人とエプロン。裸エプロン。いい響きでしょ?」

  愛音 「料理はするからあって困ることはないわ」

 マアカ 「見た目に妄想とザアイはいろいろと捗るでしょう?」 

  

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ