表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

159/169

間違いだったとはしたくない

Q 表にでないはずの黒歴史設定

  矢賀なんで赤髪なの?

 7人であるもう1つの理由。それは召喚に関わる7つの神具の存在。 


 それは邪神退治用にウィーリクの三兄弟神の末弟神、『努力の神』を中心に作られた神具。連鎖界には200種の神具があり、その一部を異世界人召喚に利用している。

  

 神具共通の特徴は

  使い手の強さに応じて武器の威力も上がる (武器頼りにならないための措置だそうで)

  固有の技あり

  自動修復機能付き

  空間収納

  神性あり 持ち手にも練度に応じて、神性付加

  使い手選ぶ

  

  

 神すげーな。


 邪神退治のときに作られたこの神具は、参加した戦士たちに合わせて作っている。当時の戦士は全員去った現在、その神具は時代ごとに使い手を選定し遺物魔戦に参戦している。


 選定基準は素質。


 各神具が数多の異世界から素質ある人物を選ぶ。ただそれだけ。邪神と戦うのに必要な最低限の力を持つものを見つけたら呼び寄せる。


 なので、性格は度外視。呼ばれた人材以上に素質がある人がいても呼び出せない状況もある

(後者については同じ世界から呼ばれることもあったから判明した)


 故にトラブルもで出るが、それはまあ仕方ない。

 神具作成時は心身ともに英雄な戦士たちがいたため、そこまで考える必要もなく、余裕もなかった。むしろ、邪神討伐後、必要となる想定もこのように使用される想定もしていなかった。


 ウィーリクにある7つの神具。そ種類と所有者、簡単な特徴


 『フェニックステンブ』 片手剣 ケイログト 熱と燃える刀身の剣

 『ボルトフラワー』   槍  矢賀  水の状態変化を有する槍

 『ソードブレイカー』  盾  アロッド  衝撃特攻 

 『サウザンドロッド』  ワンド(50センチメートルくらいの片手杖)魔法の補助 エラボザ

 『ハンスブルスト・クローネ』     マント  槍見 光の操作

 『太極図』       長杖(背丈近くある両手杖) 真希奈さん 術の補助

 『野千流(やちる)』    刀   俺じゃあなくて愛音  対応


となっている。

 

 片手剣、槍、は種類、特徴ともにわかりやすい。

 盾自体は分かりやすいが、攻撃力特攻とは?

 マントってどうなんだ?と思ったが、魔物の王位争奪戦に参加していた某雷属性兄弟や20歳越えの歌って戦うギア装着女性のマントみたいに攻防どちらにも使えるもの。身近でいえばミティのドレスみたいなものだな

 ワンドと長杖の説明で、魔法と術があることを知った。その2つの違いはまだ知らないが。

 刀があるってことは、日本技術や文化に近いものがこの世界にもあるんだろう。

 

 そして、それらは目の前にある。



 そんな神具を今までスルーして話を聞いていたわけではない。つい先ほど壁に隠してあったレバーを操作し、7つ神具が部屋の真ん中から出てきたのだ。その神具を収めた台座もなにか薄い膜みたいのにおおわれている。結界?


「姫殿下、話を逸らして申し訳ないですが、何故ここにあるのです?某らを召喚したあの部屋で良かったと愚行しますが」


 俺でも疑問に思ったことをアロッドが代弁してくれた。


「第二次遺物魔戦までは神具の保管と召喚は同じ部屋でした。しかし、第三次において、その部屋が襲撃され、神具が強奪されたことがありました。その対策としてです」


「なんと、そのようなことが!敵も油断なりませんな」


 ですか~。神具を隠して召喚。仮に召喚用の部屋が襲撃されても、神具さえ守り切れば、召喚自体はできるってことか。


「情報戦や戦略、戦術、連鎖界内外での連携に関しては私たちはどのように対応するんです?」


 個人ではなく、部隊目線の質問をするのは槍見。こういう目線は経験からか


「その点は基本私たちの方で対応します。群としての対応は私たち。皆様には個としての対応をお願いしたいのです」


 ですか、姫殿下。……つまり?


「遺物魔や敵将、厄介な存在など敵方の中核を僕たちが相手するってこと?」

 

「そのようになります。エラボザ様」


 なーる


「某たちの責任重大ですな」


 ですよね~。


「……姫殿下、私たちは……7人で行動するんですか?」


 それ。それが重要、真希奈さん。才華たちほどコミュニケーション能力も力もない俺には足手まといで、追放が目に見える。そこから、物語なら快進撃だけど、現実が転落劇になるのも目に見えている。ま、俺に隠された力やわかりにくい力なんて皆無だから、快進撃は最初からないけど。あとスタート時点で底辺だから、転落劇も起きない。


 アロッドたちは追放なんてしないって、思えるほどひとなりを知らない。異世界と邪神っていう関係がそのような結論に結び付けるかもしれない。万が一にでも俺が逆の立場にならない保証もない。追放する立場に。最低変のゲスかじゃない限りはしたくないけど。


 それでも、真希奈さんならしないって思いたいのは、親切にされたからか。俺も単純である。


 じゃあ、最初から1人で行動するとしても、知恵も、自衛能力、社会性もない。才華たちなら、上手くコネクションを気付いていけるんだろうけど、俺にそんな才覚はない。魔物を倒せる気もしないし、倒せても、生活に対して効率良くできるとも思えん。


 あ!天城家使用人の経験をもとにここで働かせてもらうのが無難か?それが許されるのか?それは最終手段だな。


「少数のチームというのはどうしても相性があります。なので7人組を強制はしません」


 まじか。ラッキー。軍団規模ならともかく、そうなるか。あ!もしかして、第二次のときの異世界人討伐ってそれが関するのか。


「城下町には冒険者、傭兵などのギルドもありますので、そこで同行者を募るのでも、単独で行動するのでもかまいません」


 うーん。まさに異世界ファンタジーだな。同行者を募るかあ。人を見る目もないし、戦力もない俺には縁がない。


 単独でもいいというが、それっていいのか?死んだら神具はどうなる?いや、死ななくても再起不能とかもあるか。恐怖で戦えなくなる可能性もあるよな。


「あのー。神具使いが死んだり、死ななくても、戦闘不可となった場合、神具はどうなるんです?」


「身体が無事でも闘い自体から身を引いた例も含めて、素質がある誰かに託すこともできます。また元の保管場所若しくは近隣の神具使いの元へ転移します」


 それなら、神具が持ち腐れにはならないか。ん?


「神具使いの元へ転移……神具を複数持つことは可能なんです?」


 矢賀も同じ疑問が浮かんだようだ。


「ヤガ様のいう通りです。防具複数装備するのはわかりやすいですね。まれにですが、武器を複数持った神具使いの記録もあります」


 ふむ。だとしたら、刀も誰かに託したほうがいいのか?てか、持てないから、それ以前の問題か


「姫殿下。まだまだ、疑問などはあるでしょうが、一度神具を手に取ってもらいましょう」


 ミッタがこちらを見た後、向かいテーブルのほうをチラっと見る。俺たちの向かいにいるのはヤセント国へ来ていた他国の面々。政治的なことなんだろう。邪神と戦う戦士、神具使いが現れれば安心はするか。それ狙い?


「そうですね、ミッタ。皆様、神具の前に移動をお願いします」


 さて、ここで、俺の立ち位置について説明すべきよな。どう説明するべきか?上手くいくか? どうすれば分かりやすい?


「人多さん?……どうしました?」


 皆が立って移動していく中、真希奈さんが心配そうにこちらを伺う。


「あ、いえ。なんでもないです」


 考える余裕もないから、流れのままに行くしかない。不幸アピールや巻き込まれたことを知ってほしいわけでもない。ただ、俺が本来の神具使いじゃあないことと、無事元の世界に戻りたいことを理解してほしいだけだ。これでも高望みすぎか?


 深呼吸をして立ち上がり、神具の前へ。魔法使いがなにかを唱えると、結界?が消えた。


「どうぞ、神具を手に取ってください」


 姫殿下の言葉に従い、各々神具に手を伸ばす。真希奈さんも恐る恐る長杖を手に取った。それぞれ、神具の手触り、重みを確かめている。周りの人たちも神具使いの誕生に安堵した様子。


「ザイト様もどうぞ」


「ああ。姫殿下。だけじゃないな、皆さんに説明しておきますね」


「はあ。どのようなことをです?」


 姫殿下も突然のことに理解が追い付かないようだ。


「俺が、神具使いじゃないってことです」


「それは?」


 俺の説明に空気が凍り付いた中、神具に手を伸ばす。あれ?素質ないものが神具を所持しようとするとどうなるんだ?呪いとかないよな?弾き飛ばされたりとかもないよな?しびれるくらいか?いやそれも、いやだけど。


 と握る瞬間に思ったが、体は止まらなかった。


 幸いなことに妨害もなく、触ることはできた。だが、台座からは取れない。重いというか、手ごたえがないというか、まったく動かない。台座に飾ってあるんじゃなくて、台座の一部と感じてしまう。


 わかっていたことだが、俺は選ばれていない。素質なんてない。兆が一の可能性はやっぱりなかった。なぜ、愛音なのだ?その疑問が浮かぶ。そして、愛音だからという答えも浮かぶ。俺とは違う。なんども思ってきたことだが、単独でいるせいか、いつもより根深く重く思ってしまう。嫉妬してしまうのはどうしようもないだろう。俺だってという言葉が脳裏に浮かぶ。


「これは……」


「人多さん……」


 姫殿下も固まり、真希奈さんも動揺している。そりゃそうなる、神具使い7人のはずが、1人だけそうではない。疑問が浮かぶだろう。 今、どう思われているのか?魔物?召喚の失敗?


 『魔物』と捉えたようで、周囲のお付きさんたちは身構えた。凍り付いた空気から、一触即発の空気に。さきほどのアロッドさんのときみたいに。ただ、1つだけ違うのは


 「やめんか!」


 30代戦士の対応。立ち上がりはしているが、こちらに身構えたりはしていない。動く骸骨とただの人間。見た目の差だと思う。


 「しかし……。この人物は」


 「神具使いではなかった。それだけだろ。魔物だというなら、とっくに暴れる。スパイだというなら、この場でそれを言う必要はない。さきほどのアロッド殿には申し訳ないが、彼は見た目ただの人間だろう。慌てる必要もあるまい」


 見た目って重要だな。30代戦士はチラっと視線をアロッドに向け、アロッドは気にしていないと身振りで表す。


「じゃあ、なに者だとお考えなのです、バランデルア様は?」


「わからん!」


 他国の面々の中にいる普通の男に胸を張って答えた30代戦士ことバランデルア


「バランデルアのいう通りです、みな落ち着きましょう」


「ウーム様まで」


「彼が他の者と違うのは言葉が通じなかった点で明白。むしろ、その時点で神具使いではない可能性に気付かなかった我々の落ち度です」


 20代後半魔法使いことウームも立ち上がり、皆を制する。


「まずは、ザイト殿の説明を聞いてから判断すればよろしいでしょう。万が一、危害を加えようとしても、バランデルアがいるなら問題ないでしょう」


「任せろ」


 ドンと胸を叩くバランデルア。


「よろしいですね、姫殿下」


「はい、そのようにお願いします。ザイト様達も席にお戻り下さい」


 元の席に戻り、視線が集まる。


「ではザイト殿。ご説明を包み隠すことなくお願いします。説明は自分の話やすいようにで構いません」


 ウームに嘘や隠しごとはするなとくぎ刺された。そんなつもりはないから大丈夫だけど。あとは慣れないしゃべり方はいらないってことか。じゃあ遠慮なく。


 

 

 深呼吸をして、顔をあげる。


「えーっと。まず、結論を言うと本来ここに来るはずだったのは、俺の幼馴染なんですよね。で、俺が彼女と一緒にいるとき、彼女の足元に召喚の魔法陣が足元に出てきたんですよ」


 姫殿下の目線はウームに行き、彼は肯いていた。異世界側の召喚状況についての確認か。ただ、気になったのはこの説明にアロッド、エラボザ、真希奈さんと、槍見、矢賀、ケイログトの反応が分かれていること。後者3人は俺の言葉に理解を示しているが、前者3人は違う。なぜだ?と思うがそれは後。


「その魔方陣を見て、俺はとっさに彼女を突き飛ばしたんです。理由はまあ、幼馴染に変なことが起きたらまずいと思ってですね」


 俺の現状や連鎖界については置いておくが、自分の女のためにやった行動だ。

 

「そして、運がいいのか、悪いのかわかりませんが、転移してここに来た。そんな状況のせいなのか、当然言葉が通じないし、神具を取れもしないわけです」


 俺の説明に場がどよめく。真偽の判断がつかないのか、現実を受け入れたくないのだか。


「なんてことをしてくれたんだ」


 ミッタは憤慨し、宗教関係者や普通の男たちが不満や不安を口にだしはじめる。


「なんてことと言われても、咄嗟でしたし、幼馴染ですからね……」


「ミッタ、口を慎みなさい。皆様も」


「はっ。す、すみません。姫殿下」


「しかし……」


「かような事態はいままで……」

 

 姫殿下に制されたミッタは鎮まるも、他の面々はそうはいかない。俺の行動に対して批難の目。そりゃあ、自分の世界の生き死にがかかっているから仕方がない。申し訳ない気持ちはあるが、いい気分にはなれない。


「はあ。余計なことをしてくれたもんだ」


「来たのが神具も使えない役立たずか」


 真実だけど、言う必要あるか?イラっときた。


「皆さま、おちつ……」


「じゃあ、あんんたらは自分の恋人の足元に得体の知れない物が湧いてきてもなにもしないで、ただ、ぼーっと見てんのか!」


 姫殿下が制するも俺の口のほうが回ってしまった。ついたち上がってもしまう


「悪いけど、俺はあの行為を一切後悔してないぞ。間違いだったとはしたくない」


 言ってやった。


「な!?このガキが……」


「この世界のいや、貴様の世界にも影響するかも……」


「「わーーはっはは」」


 売り言葉に買い言葉で爆発した空気を吹き飛ばした笑い声。この豪快な笑い声を出したのはアロッドとバランアルデさんだ。なにがツボに入ったのかは不明だが自然と視線が集まる。


「おっと失礼」


「某のほうも無礼を働いてしまいましたな」


「バランデルア殿、アロッド殿、この状況なにがおかしいのです」


 俺への敵意をむき出しにしていた普通の男が問いただす。


「惚れた子のため死地に飛び込む。立派なことじゃあないか」


「同感ですな。バランデルア殿」


 どうやら2人は好意的にとらえてくれたようだ。


「な!?あんたら、この状況わかってるのか?神具使いの代わりに役に立つかわからんやつが来たんだぞ」


「「わかってるが?」」


「っ……」


 2人の威圧感に委縮したのか、言葉が出ない普通の男


「来てしまったものは仕方がないし、姫殿下もこちらに非があることは認めている」


「彼の行動に非はないと某は思いますが。それに」


 アロッドが手を男のほうに伸ばす。なんだ?どう見ても魔法より物理。バリバリパワーキャラにみえるアロッドが魔法陣を展開させた。アバターだからか?俗にいうゲームキャラのスペック付きだからか。


「ひっ」


 男はしりもちをついたところで、魔法陣は消える。


「いろいろと状況が違うので一概には言えませぬが、魔法の存在を認識している貴殿たちがそのようになるのに彼は恐れず動けた。役立たずと決めつけるのは早計では?」


 アロッドの意見にバランデルアさんも肯いている。恥をかかされた男は不満をにじませながら、椅子に座った。……評価されるのは嬉しいが、ハードルあがってね?1人では役に立たんよ。


「えーっと。そのとき出来ただけで、次同じことができるとは思えないですよ」


 事実と現実は伝えておく。


「だが、一度できた。それがどこかで役に立つ」


「……ですか」


 バランデルアさんは本心で言っているのだろう。あるか?そんな状況になっても困るという思いがある。


「あの……」


「どうしました、マキナ様?」


「人多さんだけでも……元の世界に戻すことはできないのですか?」


 大分時間がたったせいか、疲れが見えるのは気のせいではない。そして、真希奈さんの質問に空気が重くなるのを感じた。


「そうですね。そのことについて、説明しましょうか。ザイト様もお座りください」


「あ、はい。騒がしてすいません」


軽く頭を下げ、俺は席に座りなおした。

A  矢賀「いや、日本人なら赤髪なんて普通だろ? 黒色に染めるならともかくだけどよ」


  だそうです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ