VSヴィテス
表に出ないはずの黒歴史設定
Q ジーファ製黒いメシの威力は?
自己修復中の竜は立ち上がる。翼は1対増えて、より禍禍しくなっているが、完全復活したのか?
「まだまだ、完全復活には遠いわね」
これでも不完全か。ん?ヴィテスは完全体の姿を把握しているのか?
「もっと栄養を欲しがってるのね」
竜も栄養不足を自覚しているのか、町のほうを見て、翼を羽ばたかせる。
「させるとでも?」
翼の付け根を切り裂いたカタムさん。がその傷はみるみるうちに治っていく。
「体格に比例して、治癒力も上がっているか」
傷口がふさいでいくのを観察しているカタムさん。
「ま。それでも町にはいかせないけどね。教団も1人のようだから、コアは触手からジーファの護衛を」
「りょーかい。じゃあ、竜はこのコア様たちにまかせておいて」
胸を張って答えるコア。コアではなくカタムさんでは?とツッコむのはやめておこう。
「こっちもすぐ終わらせるから、そっちもパッとすませて頂戴よ」
飛び上がった竜とカタム傭兵団の第2ラウンドが始まる
「マアカはあの火球でしんどいだろうから、在人と下がってて。愛音は竜と伏兵からの攻撃対応。あいつは私が倒すよ」
「ふう。ザアイ、お願い」
「おっと」
才華と入れ替わってマアカがもたれかかってくる。左腕でマアカのやわらかいところを支える形になった。才華より触れてしまうが、体勢を変えにくいのでこのまま。
「む。これは!」
「どっ、どした、マアカ?」
俺の思考を読まれた?
「才華は戦場の中のこのオアシスでずっと安らいでいたの?なんて贅沢な。」
「あ、さいですか」
どうやら違った。ふう。こんな状況だが一安心。
「あ、ザアイ、お礼にもっと堪能してて。はああ。心身ともに癒される~」
表情がゆるゆるなうとの反比例して圧力が増しました。
「いいの?才華も魔法を使うから休んでいてもいいのよ」
愛音が心配そうに才華に目線を送る。まあ、竜対策と竜退治の魔法を使う担当は才華だからな
「奇襲に対応しやすいのは2人のほうだし、この感覚には慣れときたいからね。それに……」
「それに?」
首をかしげる愛音。
「一番間近で私の在人を傷つけられた。この怒りをどこで払えばいいの?」
目から狂気がにじんでいる。ようはヴィテスへの報復がメインのようだ。
「わかったわ。ただ、状況が悪くなったら、交代するなり、数の暴力で攻めるでいいわね」
「うん。もうそろそろ終わらせよう。てか終わらせる」
才華はヴィテスに向かって歩き出した。
才華とヴィテスが対峙する。
「この体の慣らしにはちょうどいいかしら」
ヴィテスの周囲に輝く刃が次々と浮かび上がる。
「人の体奪って300年。最初に奪ったのは自分とは違って輝く人生を歩んでいた姉」
刃が才華を襲う。
「それ以降、世界の表裏をピクニック気分で楽しんできた」
才華は飛んできた刃を切り落としたり身をよじったりして完全回避。そして、この語りは?
「100年くらい前から職業殺し屋。順風満帆な人生、うっひゃほい」
倍の数の刃が才華を襲う。
「だけど、8年ほど前に殺し屋テリカに大恥をかかされる。ププっ」
避けつつ、顔に飛んできた刃を払ったところで、目の前には接近してきた腕のフリルで攻撃してきたヴィテス。
「その借りを返すために教団で不死を得る兼魔女の研究」
才華はなぎなたでヴィテスの腕を抑える。
「1つ前の体は、3年前、病弱な大富豪の娘を騙して、富豪の命と財力もろとも強奪」
ヴィテスは地面の隆起をバックステップで回避。才華は足元に飛んできた刃をバックステップで回避。間合いが広がる。
この才華の言っていることはヴィテスの過去か?適当に言っているのか?それとも魔女の力でか?どっちにしろ煽るためだとは思うが。氷塊の弾幕を放つ才華。
「ゲイザムの特性と研究のおかげで、魔女しか使えない杖は使えるようになった」
スカートで氷塊を払ったヴィテス
「だけど、いまだ魔女には至らず。その間にテリカはいなくなってしまいました」
あのスカートと輝く刃で氷塊を防ぐヴィテス。
「ねえ、どんな気持ち?復讐相手がいきなり出てきた美女コンビに倒された気持ちは?あんたの10分の1も生きてない奴に先を越された気持ちは?復讐ができなくなった気持ちは?ほらほら」
相当腹に据えているのか、煽りの言葉が止まらない。隆起させた地面がヴィテスを囲う。
「ねえ、どんな気持ち?自分のなりたかったものにあっさりなった人が目の前にいるのは?」
小悪魔な表情であおるなあ。隆起した大地がバラバラに切り裂かれる。斬鉄剣で斬られたみたいだな。
「そーれい!」
間髪いれず飛ばした突風がバラバラとなった大地を吹き飛ばす。大地とその合間を縫って刃が飛んでくる。
「っと!」
ヴィテスは弾丸となった地面が体に突き刺ささりながら、吹っ飛ばされる。才華のほうは刃を風で軌道を逸らしきった。
むくりと上半身を起こすヴィテス。体の負傷は痛々しい。
「……その体の機能は慣れた?」
「ええ。十分ね」
口や体から血は流れているがなにごともなかったように立ち上がるヴィテス。突き刺さった破片がぽろりと落ちた。また体が修復している。なんか雰囲気が?
「不完全な竜でもここまで体が変わるなんて」
ニィっと笑うヴィテス。体が変わる?なんか犬歯がのびたように見えることと関係が?
「体の再生から自然魔力の吸収。それにこれは想定外だけど、身体能力は竜に近づいたわね」
愉悦。愉悦に浸った表情である。自分の望みに近づいたことを実感しているのだろうか
「どうゆうこと?マアカ?」
「竜の肉片を食べるなり体に移植したんじゃない?」
「つまり?」
「不死ではないけど、少し近づいてすつこくなったところかしら?」
「ですか、愛音」
しつこくで済むのか?
「実験台にちょうどいいってこと」
「実験台?」
才華の言葉にピクリと反応するヴィテス
「光栄に思いな。あんたは竜退治用の魔法の実験台になれるってこと」
「竜の体に魔法が効くとでも?」
「竜だろうが人だろうが生物だろ?」
「あなたこそ、竜の恩恵を受けたこの体の実験台になれることを光栄に思いなさい」
狂気じみた目線を送りある才華とヴィテス。
「楽しみだよ。死ぬことになったときにあんたの顔を見るのが」
「楽しみね。魔法が無駄になったときのあなたの顔を見るのが」
第2ラウンドが始まる。けん制の氷塊を放つ才華
ヴィテスは氷塊を裂いて接近。さっきより早くなっている。
「こっちは?」
才華のつま先から地面が凍り付いてゆき、ヴィテスの前に氷柱が次々と生えてくる。
「こんなもので止まるとでも?」
ヴォテスは氷柱を裂いて、そのまま突っ込んでくる。脚で氷柱も粉砕し、破片が宙を舞う。絶対にミティでは絶対にしない移動だ。
最後の氷柱を左腕のフリルで切り裂き、右手のスカートが才華の首筋を狙う。それを半歩下がって躱したところで、スカートの端が光った。
「っつ」
スカートの真下から輝く刃が飛んできて、才華の左首筋をなぞった。才華はなぎなたの柄でヴィテスのみぞおちを突きながらその反動で後方へ。
尻餅をつきながらも回避しきったか。と思ったが、すぐさま首筋を抑えた。左手が血で赤く染まっている。これやばいやつ。今日は素手に背中を斬られている。血足りてる?
そんな思考をしてる間にヴィテスは動き出す。ヴィテスも鳩尾を突かれて一瞬動きが止まったが、すぐさま大量の刃を降らす。
「お?!おお?!おおおお!」
刃が破裂し、細かくなった刃で才華の姿が見えなくなる。刃でそんなこともできるのか
「はい。落ち着いて、抱く力が強くなっているよ。ん~」
「っとわるい」
この状況だから力がはいってしまう俺。対してこんな状況で場違いな色っぽい声を出すマアカ。マアカも愛音も落ち着いているってことはきっと大丈夫なはず。
刃が消えていき、目に映ったのは倒れている才華。
「まず1人」
ヴィテスは勝ちを確信したのかゆっくりと才華に近づく。
「まだこの体を試しが終わってないのに」
残念がっているような顔には見えんけどな。ただ数秒先の結果は見えた。
「いったいなあ」
さきほどのヴィテスみたいに何事もないかのようにむくりと上半身を起こす。やっぱり。だって倒れ方が栽培マンの自爆でやられた体勢だった。わかる人にはわかる倒れ方。わざとそうしない以外、そんな体勢になるか?
目が丸くなったヴィテス。状況的に回避はできない。防壁も間に合うか微妙なタイミングだった。ってところか?俺もそう思う。でも負傷は見当たらない。
「自分から倒れて、防壁を展開した。才華だから小さい面積になる。それに破片の切れ味はあっても威力はそこまでない。」
ですか、マアカ。
「ここに跡を残していいのは在人だけなのになぁ。もー、ひっどいことする」
首の傷もないようだ。あの部分に跡を残したことは確かにある。って違う。出血は見えたから確かに傷は付いたはず。一瞬で直したのか?
「どうなっているのかしら?」
「いやいや、さすがにベテランなだけはあるねえ。スカートで目隠しした刃飛ばしに、破裂する刃。初見で無傷は難しいなあ」
「質問に答えなさい」
「戦いで答えてくれるとでも?」
挑発した態度で答える才華。そりゃそうだ。ネタばらしをする必要はない
「それよりもだ。そっちこそ、もっと全力だせよ。これじゃあ、試すにも至らないんだよ」
おちゃらけた空気が凍り付く。
「そうさせてもらうわ」
軽薄な表情から真剣な顔つきとなるヴィテス。刃を飛ばすと同時に走り出す。先行した刃が破裂。
才華は微動だにしない。が当たりもしなかった。
「そうするよね」
動けば当たるってやつか。突進してきたヴィテスは自らの刃の破片が刺さろうともきにも止めていない。フリルとなぎなたでつばぜり合いへ。
「破片痛くない?それともドМにはちょうどいい?抜いてあげようか、その破片?」
「自分で抜けるからご心配無用よ」
体に突き刺さった破片が飛び出して、才華に襲い掛かる
「汚いなあ」
才華に破片が当たった。が。気にも留めていない。才華、君はドSだろ。
「砂の鎧ならぬ、氷の鎧。いえ、氷のピンポイントバリアね」
ですか、マアカ。確かに破片が当たった箇所に氷ができてる。早業すぎませんか?
「マアカはできる?」
「鎧ならできるかなあ。ピンポイントバリアは愛音も無理だと思うよ」
「あれもか?」
「あの早業もかな」
なぎなたに接触していたフリルが凍結し、新たに生えた氷柱に巻き込まれる。
「この程度で止まるとでも?」
右腕のスカートを振ってくるヴィテス
「終わるとでも?」
指先から放たれた突風がヴィテスの腕に当たる。腱やら筋肉が切れたのか右腕はぶらりと落ち、軌道は止まった。そのまま左手をみぞおちに押し当てる才華。
「はいっと!」
掛け声とともにヴィテスのみぞおちから全身を突風が駆け抜ける。ほんの少し遅れて血があふれる。見た目はいい一撃が入ったように見える。
「効いたとでも?」
氷柱から左腕をむりやり抜きながら、体を回転させて、右手のスカートの横振りと刃飛ばし。才華は軽く飛びながら氷塊を放ち反動で後方へ回避。 氷柱内にはヴィテスの左腕の肉とフリルが残っている。
間合いが開いたように思えたが、ヴィテスの追撃は続く。捩じりこまれた氷塊や両腕のダメージはもうないようだ。治癒力が半端ないなこれ。
ヴィテスは間合いを狭めながらスカートの横振り。才華も遠心力を加えた横なぎ。
スカートとなぎなたがぶつかりあう。遠心力の分かなぎなたが打ち勝った。バランスを崩したヴィテスに向かって才華が間合いを詰めに行く。
が。ピタっと動きを止めた。
「あら?」
「バランスの崩し方がわざとらしいんだよ」
なぎなたを振ると宙のなにかが壊れる。
「見えない刃だね」
「あのまま進んでいたら、心臓に穴が空いていたわね」
ですか、マアカ、愛音。
「これは通じないよ」
「そうみたいね。でもあなたの魔法も通じないわよ」
「効かぬなら、効くまで放とう、この魔法」
才華の攻撃は氷塊と刃がぶつかりあう。なんか漫画っぽい戦い。その弾幕のぶつかり合いを囮に地面を凍らせていた才華。ヴィテスの右脚が巻き込まれる。
「これも効かないわね」
止まることなく、右脚がズタボロとなりながら、接近してくる。もう右脚治ってら。
「やせ我慢してない?」
「これぐらいなら平気ね」
周囲を囲んで飛んできた刃を全て避けた才華。ファンネルをなんで避けれるんだ?刃は体じゃなく地面にズバズバ突き刺さる。
「無理していない?」
「これぐらいなら平気ね」
涼しい顔で答えた才華は氷塊を放つ。氷塊は左腕で払われた。
「スカートで払うと隙ができるからね」
ですか、愛音。左腕の負傷はすぐに不死の力で治った。スヴィテスはカートを振り上げる。が。これはフェイントで自分の体の中から、刃を飛ばしてきた。イタイイタイって。
地面に仰向けに倒れて回避した才華。回避だけじゃない、突風がヴィテスの右肘からさきをふっ飛ばした。
目の前を刃が飛んでいくのをどういう心境でみているんだ?見てる俺のほうがハラハラする。
「よく避けたわね」
「見たことあるからね」
さすがにこれの回避にはヴィテスも感心している。まあ、漫画やアニメの中ではそれっぽい攻撃を見たことがある。
「でもこれでよけれないわね」
ヴィテスは生えた右腕で振り下ろす。突き殺すつもりか
「避ける?そっちこそ避けれる?スカートもフリルもないのに?」
脚を組んでリラックスした体勢の才華。手元には術式が展開されている。放たれた魔法を収束する魔法の術式が。
今まで放たれた、多数の氷塊が、粉砕された氷塊の破片がヴィテスに向かっていく。今まで以上の速度で収束される氷塊。避けようにも必ず当たる。
「おっと、おまけもつける私の心意気に感謝しな」
才華は氷塊を今までよりも多く放っている。刃の次は氷塊で姿が見えなくなる。
「お!?」
ヴィテスは全身ボロボロかつ穴だらけになりながら、氷塊の嵐を突き抜けてきた。
「ふう。ふう。ふう」
これは効いたようで、肩で息をするヴィテス。
「これは効いたようね」
立ち上がる才華。
「ええ。でも治るから意味はない」
見える範囲の傷が治っていく。
「そして、魔女だろうと魔力は尽きる。ここに私や竜がいる限り、自然魔力を食うことはできない」
刃を浮かばせるヴィテス
「つまり?」
「あなたにいや、傭兵団を含めたあなたたちに勝機はない。あの術式があるところでね」
歪んだ目で才華を見下ろすヴィテス。
「ふうん」
気にも留めていない才華。顔が一瞬、竜のほうへ向く。
「ま、本当にそうなるかは、あと数分でわかるよ」
不適な表情とともに地面の凍結面が広がっていく。さらに術式が展開され、氷塊が才華の周囲に浮かび上がる。
「性懲りもなく、凍結に氷塊かしら。芸がないわね」
「雷や炎だと森林火災。地面の隆起や流水は地盤沈下だよ。それにこれは人生最難関だったテリカ・ヒッスを倒した戦術だからね。テリカ未満には通じるでしょ」
テリカの名前にピクっと反応したな。
「私がテリカが以上だと実感することになるわね」
「そう?正直、ミティのほうが上だと思っているけどね」
「いつまでその減らず口が言えるかしら?」
「無論、死ぬまで」
氷塊と刃がぶつかりあいでファイナルラウンドが始まった。
術式で出来た氷塊は無術式な氷塊とは異なる変則的なの軌道で動きをする。だが、それでも刃を的確に次々と地面に落としていく。どうやら、この氷塊は凍結し動きを止めることに特化しているようだ。
ヴィテスはミティの予備装備と思われる大型の針みたいなものを両手に持ち、才華の周囲を移動しながら、徐々に間合いを狭めてくる。さらに氷塊の性質に気づいたのか刃を破裂させての面での攻撃が増えてきた。
動き回るヴィテスに対して、才華は1歩、2歩とわずかな移動。
「移動先の誘導ね」
「あと6歩……いえ、5歩先が狙いかしら?」
ですか?マアカ、愛音。
「そうね」
嵐渦巻くように激しくぶつかり合う氷塊と刃。その嵐の周囲で動くヴィテス。嵐の中心に近づいていく才華は1歩前へ。2歩。3歩。4歩。
5歩目。
凍り付いていた刃も破裂し、全方位から破片が飛んでくる。凍結したから無力化したと思ってた。
破片で才華の姿は見えない。そして、ヴィテスは被弾ダメージ無視で突っ込む。ヴィテスの姿も破片で見えなくなる。
「は!」
才華の周囲の破片は凍結して落下していく。そのため一瞬だけど見えた。ヴィテスが持っていた針みたいのが見えた。刃の合間を縫って突き刺すつもりか。
「せい!お?!」
針をなぎなたではじいた。が。地面に落ちたのは針から肘まで。自分で腕ぶったぎて投げたのか?
「簡易ロケットパンチ」
「切断面から刃を突き刺してコントロール。刃に乗ることができたんだからできるはず」
真逆から針が首を狙う。こっちが本命か?
「なんの!」
気配に気づいた才華は身をよじって首となぎなた針を挟み受け止める。これも肘から先だけ。その両腕から破片が飛び散り、才華に突き刺ささる。才華は後方へ倒れていく。
そこへ3本目の針が!また飛ばしてきたのか?今度はヴィテス本人。トドメは自分で刺すつもりか。
これからの予感に口角が上がるヴィテス。左腕の針が振り下ろされる。
「っ?!」
「再生力高くてもどうにもならないことってあるよね」
指先から出した氷塊が手にあたると同時に、腹部には蹴りが入った。ヴィテスの動きが止まる。
「ピンポイント氷結で破片を防いで、衝撃を後ろに倒れることで減らした」
「で、意識の外からみぞおちへの攻撃。無防備に深く入ったから、動きはとまるわね。それに……」
それに?
「っさあ!」
体をおこしながら、なぎなたを回し、ヴィテスの左腕になぎなたの刃を食い込ませる。ヴィテスが異変に気付く。
「せい」
右肘の打ち下ろしと左膝の打ち上げでなぎなたを押し込みヴィテスの左腕を切断する。
「かっ!ひゅー。ひゃー」
ヴィテスの呼吸がおかしい。顔面蒼白となって明らかに苦しんでいる。そこに容赦はしない。する必要がない。
顎。脚。喉。脇腹。右肩。左腕の切断面。みぞおち。心臓。目。
才華の格闘、なぎなたがヴィテスにあたる当たる。異変のせいか、回復もしていない。
「つーーーーーーーーーーー」
声にならない声で腕を振ったヴィテス。
「お。破ったか」
切断されていた左腕が復活し、才華は猛攻を止める。左腕は復活したが、膝をつくヴィテス。
「ぜえ。ぜえ。ぜえ。はあはあ」
左腕をなんとか再生したって感じか?立っていることもできないくらい弱ったようだ。
「竜の体質に近寄ったせいか、タフだねえ。でも。ま。また一つデータが手に入ったよ」
「私にな、なにをした?」
ギロリと睨みあげてくる。
「わかんない?」
見下す才華。
「体内の信号を狂わす魔法の応用ね。それで呼吸できなくなった」
マアカが小声で答えてくれる。ああ。蜘蛛女のときに使ってたやつか。いきなり呼吸ができなくなれば、驚くわな。
「魔力だけじゃなくて、酸素もなくなれば弱まるのは当然ね」
その結果が現在の状況か。
「腕の再生が遅い!?呼吸ができなくなったせい?いや、それ以前にこの疲労は?自然魔力だけじゃない、あんなに魔法だって使っているんだ。その魔力だけでも戦い続けるはず。なん……!魔力を吸収していない?」
真相に気づいたか。
「お?気づいた?」
邪悪な笑みの才華さん。見下ろす姿が様になっている。
「あの術式は、傭兵団を補佐する魔法じゃ?」
目線を宙に向けるヴィテス。才華が再構築したあの術式
「って思ってれてありがとう。だが、謎が解決しないまま、朽ちはてれ」
「なあああ」
なぎなたで突き刺し、そのまま宙へと投げ飛ばした。体格差とか考えた、技術や力でそんなことできるはずがない。
落下してくるところをなぎなたで打ち払う。今度は回転しながら上昇していく。また落下。また上昇
「着地でき……」
落下と上昇を繰り返しながら、その軌道はドンドン加速し変則的になる。ねじれ、ひねりが加わりながら宙を舞うヴィテスは凍り付いていく。
「才華版アイス・ロック・ジャイロ!」
凍結とともにさらに宙での変態機動が加速していく。
「あれ、どうなってんの?」
「ヴィテスの体に遠隔操作できるほんの少しの氷塊を取り付けて、操ってるだけ。凍り付く理由はわかるでしょ?」
ですか、愛音。
「とどめ!」
才華は飛び上がり大きな氷塊となったヴィテスの上へ。そして、氷塊を足場として全身を一回転させ、なぎなたを叩き込んだ。
地面に叩きつけられたヴィテスはバラバラになった。本家ですらこの結果に至ってないのに。
「決着ね」
「行きましょう、ザアイ」
「ああ。愛音、マアカ」
誰が見ても才華の勝利だ。
A コア 魔物が逃げ出したよ
ジブル 団員を壊滅させたあの日は、もう思い出したくない
イトベス あのとき呪いも解けたのが恐ろしいのの
要するに、各界のメシマズとは最低限互角で、パヴォロス編の代表