死滅の竜
表にでないはずの黒歴史設定
サイカ・アイって結局なに?
「あの子は分かり合う前に逝ってしまったのですね」
教皇は目をつむり黙祷をささげた。たぶん。
「頑張りましょうか。皆さん」
教皇の言葉でショートは立ち上がった。反対側のストレートもだ。胸元の服も破れ、おびただしい血の量を流している。ん?ストレートはマアカの立方体で抑えてこまれていたはず。立方体は存在しており、血が垂れている。ストレートは体を削りながら脱出したのか。
さらにポニーテールも分解防壁を展開し這い上がってきた。3人とも重症者じゃやなくてゾンビじゃあないか。
「・・・・食べたのね」
ですか、愛音。
「さっきみたく、会話の中で『限界』を食べた。だから普通ならドクターストップの3人は立ちあがった」
ですか、マアカ。重症者3名の活動『限界』を食べたから動き出した。
「これって際限なく戦えるってことか?」
限界なく戦えるってことは殺さない限り、無限に戦い続けることになるか。この魔女もどきは魔女ゾンビってところか
「本物の魔女だったら、可能だったかもね。ただ限度はあるよ」
「本物じゃないってことは?」
「すぐにそのツケを払うことになるだけ」
それでも組織としては便利な力か。ゾンビかも使い捨て要員がいるなら有用と。組織のトップにいるだけの力か。それともいるためにその力を移植したのか?
「どうやら、教皇様には無理をしてもらうしかないようですね」
「ええ。かまいません」
術式を展開させると、教皇はショートとストレートから目を回収した
「それではシクさんのことを含め、あとはお願いします」
意味深なやりとりをするが、現状狙いが読めない。
「彼らもきましたね」
「頼りになりますね」
信者レイダーと信者ミティが森より飛び出してきた。ボロボロの服装が激戦を証明している。
「ふむ。ヴィテスは死んでしまいましたか。流石に空で魔女とドラゴンたちの相手は厳しかったようですね。残念です」
ゲイザムの表情は残念そうには見えないけどね。だが、魔女7人とドラゴン2頭の相手が厳しいのには同意する。・・・厳しいじゃなくて、絶望した!では?まあ、こっちとしてはありがたいけど。
「あと少しだけ、お願いします」
ゲイザムの言葉を受け、ズタボロ魔女もどき3人と信者レイダーと信者ミティが教皇の前へ。復活の邪魔はさせんと。あと少し? ゲイザムの持っている『龍の心臓』の様子が先ほどとは違う。封印とやらが先ほどより薄まっているのか、薄皮1枚あるだけみたいだ。これって封印が解ける直前ってところか。
「もうお察しのとおり、この封印はすぐにでも解けますが、これがどのような封印か知っていますかな?」
ゲイザムがこちらを見た。うんちくを語りたいようである。時間かせぎでもあるか
「時間の流れの変化。1秒が数日、数年 数十年になるようにしている。だから厳密には復活を遅らせているだけ」
「その通りです」
才華の説明はガーゼットさんから教えてもらったもの。ようは『精神と時の部屋』状態と要約してくれた才華の説明のほうがわかりやすかったのは内緒。封印はこれでいっぱいいっぱいなのが現状。だけどそれを今日終わらせる。その準備をしている。
「そして、『死滅の龍』の心臓といえども栄養がなければすぐさま封印される。成長するのにも時間は必要です」
それもガーゼットさんが言っていた。一番いいのは復活させない。復活したとしても、成体にならないうちに倒せればいい。
「つまり!効率よく栄養を集める魔法と封印の効果と真逆な魔法があれば、短時間で龍は成体となるってことです」
この言葉に反応して、才華たちが動き出したが、魔女もどきたちも動き出す。特にレイダーとミティは以前より動きが速い気がする。あれか?『限界』を食べられたのか?あと栄養を集める魔法と封印の効果と真逆な魔法?封印の効果・・・1分を1秒にとか?
教皇は杖を掲げて術式を展開。って、杖が浮いた。
「ゲイザム。心臓を」
教皇はゲイザムより心臓を受けとる。ゲイザムが新たな術式を展開させると、薄皮1枚の封印も消え去った。さらにゲイザムは新たな術式を展開させる。
抱えた心臓の動悸が見てわかる。心臓だけでも生きているってのはこいういのを見て判断していたんだろうな。って見ている場合ではなかった。
心臓が膨張?受肉?成長?増殖?なんて言えばいいいのかわからん。心臓の周囲に肉やら骨っぽいのが出来上がって、心臓を持っていた手が肉に飲まれていく。教皇は嬉しそうにその様子を見守っているのが不気味に見える。
心臓からの肉の増殖は止まらず、教皇の腕、胴体、脚と覆われていく。あ、肉体の再生か
この間に魔女もどき3人が倒れた。すると、教皇を覆っていた肉が倒れた魔女もどきを捕らえ、教皇のいた場所へ引き寄せる。そして、更なる肉によって魔女もどきは姿全てを覆われてしまった。
3人分の栄養?を得たせいか、肉の増殖はさらに活発となり、徐々に教皇の姿から違う形へと変わっていく。そうドラゴンのような姿に。
成長が早すぎないか?って思ったけど、2つの術式が理由なんだろう。ゲイザムが言っていた栄養を集める魔法と時間を早める魔法なんだろう。それに気づいていたから、才華たちは動いた。
「これで!」
愛音の投げたナイフがゲイザムの術式を切り裂く。同時にマアカは術式を展開させると、杖の術式にうっすらとした立方体ができあがり、術式を消し去った。以前言っていた、魔法対策のアレか。
『死滅の竜』の異常な成長は止まった。だが、これは一生物として判断できる状態だ。ランタースさんやターロホさんたちよりは小さいが、禍々しい黒とか紫の鱗が危険な毒持ちなのをアピール。眼つき悪しでは済まない狂気を感じさせる。その首から胸には教皇の上半身が埋まっている。
「ふむ。成体まではいきませんでしたか」
ゲイザムは死滅の竜をまじまじと見つめる。ですか。まだ未熟な死滅の竜ですか。まだ意識がはっきりしていないのかも
「これって作戦失敗だよな」
未熟とはいえ復活。本来は復活させずに終わらせるつもりだった。
「まあ、これは向こうがやるって奴だね」
冷静に答える才華
「信者を餌に成長させると思っていたけど、成長促進は考えになかったからね」
愛音のいう通りだ。だから、教皇と心臓を持っていたゲイザムを他の信者から孤立させたのだ。さらに無差別に街を襲わせないためにシクを隠したのに。
「あ、動きだわね」
マアカの言葉に竜に目をむける。死滅の竜は全身を震わせたのち
ヅオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
天に向かって木々や大地が揺れる雄たけびをあげた。戦闘中の信者や登録者に復活したことを示すだろう。作戦失敗が向こう側にどう影響するか。
「さて、どうでしょうか・・・・・」
死滅の竜の観察を続けるゲイザム。今、竜に一番近いのはゲイザム。制御不能の存在なら殺されるのでは?それをゲイザムも察しているようだ。
今日一番の驚きを俺が受ける。とっくに竜の一部になっって死んだの思った教皇の目が見開き、ゲイザムを見る。こわっ。きもっ。どうなってんだ?
ゲイザムにも冷や汗を流し、緊迫した様子で竜を見ている。数秒、ほんの数秒のはずだが絶対に長く感じているはずだ。
そして、竜はゲイザムからこちらへと目を向ける。・・・さらにミティ、レイダーと見渡し、結論として俺たちを標的としたようだ。
こちらに動き出したがまだ緩慢な歩き出し、生まれたてだからか?
「ふう。上手くいきましたか」
ゲイザムが安堵した表情になる。
「なにをしたのかなっと」
腕を振って竜の足元を削り竜を落下させた才華。すかさず愛音とマアカがその隙間を埋めた。3人には竜を見ても動揺はないようだ。たくましいこって。時間稼ぎとなるか。地面がかすかに揺れている。
「竜は教皇様の体を核として復活しました。そして、教皇様は自らの『限界』を超えて我々に『敵意』を向けないようにしたのです」
そんなことが?って実際できているか。魔女もどきの目だけでもそんな力があるのか。魔女ってやっぱりやべえ。
「このために『敵意』を食べる魔女もどきを作ったってことね」
ですか、才華
「その通りです」
「最初から上手くいくって思ってたのかしら?」
愛音も同じ疑問をもったようだ。
「死滅の竜は原初の魔女。となるその話を知りませんでしたか?」
「ああ。確かにそういう言い伝えはあったね」
確かにマアカのいう通り。教団のいう竜についての話はそうだった。
『元々長寿だったとあるエルフは醜い争いで死にゆく命を救うため世界で初めての魔女となった。しかし、当時の愚かな者たちは魔女を死から救うものでなく死をまき散らす厄災とみなした。そこから魔女は生きるために戦い、いつしか竜となり倒された。だがその竜は復活し、また倒されては復活するのを繰り返す。何故竜は死なないのか?それは竜が待っているから。自分を信じてくれる者を。そして、その者たちに自らの願いだった死からの脱却をもたらすために』
だったけ?まあ、他の資料からほとんど否定されている。完全否定されていないのはエルフだった説だけで、この世界なりに研究している人はいるらしい。
「魔女だった竜と魔女の力を持つもの、親和性は高いと思いませんか?」
「ああ。そういわれるとそうかも」
納得してしまう。実際、現状の竜を見ると、竜は魔女の成れの果てなのは否定できんのかも
「さらに教皇様の個人の特性は『調和』。体内に他者の一部を入れても拒絶反応が起きない。だからこそ魔女の力も完全とはいいませんが使うことができましたし、竜の肉体の一部として存在し続けることができた」
ですか。真っ先に殺すべきだったのか?
「ふうん。これで教団の目的は成就した?」
「ええ。最低限の目標は達成で・・・・・・は?」
ご満悦な表情だったゲイザムが青ざめた。自分の腹を鋭利な触手が貫かれたらだれだってそうなるか。その触手は竜の堕ちた場所からでてきている。つまり竜の攻撃だよな
「な・・・・・・ぜ?ぐふっ」
「ふむ。確かに信者か否かの判定はできるようだね」
冷静に観察しているのは才華。なんでだろう?・・・って思ったけど、わかった。
「なら、なんでわ・・・た・・・しが」
2本の触手が地面より飛び出てきてゲイザムに体に新たなトンネルを増設。
「区別は信者の印なんでしょ?その情報、さっきの会話中に食べちゃった。ごめんね」
悪気しかない笑顔で答えた才華。ですよね。で、近くにいた餌として捕らえられたのか
「がっあ、あああああ」
ゲイザムの体は上半身と下半身、左腕の三分割。っち。どうせなら七分割になればよかったのにって顔に書いているよ、才華、マアカ、愛音。ミート君かよ
「ふうう。ふうう。ふうう。なるほどですね。!レイダー。ミティ」
ミティは触手を切り裂いて、上半身と右腕だけのゲイザムをレイダーがキャッチ。信者がいるせいか、触手の追撃はない。
この間に、血を吐きながらもゲイザムは術式を展開し、そこからなにかを取り出す。ん?
「もったいないですが、今こそですね」
女性の左腕?それを自分の肩にくっつけた?!バランス悪!今度は鍛えられた下半身をくっつけてより歪な体型となる。
さらに左腕は教皇の持っていた杖を引き寄せ、そこから術式を展開。あれは信者を転移させてたやつだな。街への転移阻害の魔法はあるが、ここで使うには影響ないか。万が一にも街へ行かせないことを優先したから仕方ない。
「面倒そうね」
「ええ」
マアカと愛音が走り出すとレイダーとミティが行先をふさぐ。
転送されてきたのは・・・・・・信者の死体の山。信者の生存者はいないのか?
「どうやら、生き残りは我々だけのようですね。まあ、いいでしょう」
杖を投げ捨てたゲイザムは死体の山にダイブ。そして、先ほど見た教皇が竜に変わっていくように、ゲイザムも姿が変わっていく。ついでに竜のほうの触手も死体の山に伸びている。
「超魔ゾンビって感じだね」
「その説明はわかりやすいな、才華。ってか、阻止しないのか?」
のんびりとゲイザムの変化を見ている
「ん。あの状況だと無理かなあって。半端な魔法は飲み込まれそうだしね」
試しに放った炎は反応した竜の触手が射線に入ってゲイザムにあたる前に消滅した。
「って、竜に餌になるだけ」
「食べられたのか?」
心臓部は魔法も食べるって聞いていたけど。あの触手の力なのか?
「そゆこと。魔女の力も付属したせいかな?まあ、今のうちにミティとレイダーは片付いたからよしとしよう」
マアカはレイダーの樹木に叩きつけて、愛音はミティを切り伏せていた。
ゲイザムの変身?治療?は終わったようで、
才華 「100パーセント中の100パーセント」
愛音 「伝説のスーパーサイヤ人」
マアカ「コンソメドーピング」
とそれぞれの感想がいう通りご立派な身体になった。ゲイザムの左腕にはもはや女性のものだった影はない。
「ずいぶんご立派な身体になったねえ~。なにをしたのかなあ?まるで竜みたいだったけど」
「教皇様やヴィテスの特性を私なりに再現してみたんですよ。ま。副作用が酷いので徐々に元の身体と同じようにしないといけないんですがね」
才華の質問に答えるゲイザム。心なしか声が低くなったように聞こえる。あと再現ってできるものなのか?
「あの女性の腕や鍛えられた下半身はなに?転移の魔法を仕えたのに関係するのかしら?」
「その通りです。腕は魔女のですよ。これで説明は十分ですよね」
「副作用って言葉ともったいぶる表情から、使った体の特性の一時使用ってところよね。そうじゃなきゃ転移を使えるとは思えない」
なーる、マアカ。あれって魔女しか使ってないよな。
「正しくはあの杖と魔女の力がないとですね」
「・・・・もしかして、あの杖って魔女から作った?あの杖の気配は限りなく人と同じ」
なんですと?愛音?んなことが可能か?
「よくわかりましたね」
ニイっと下卑た笑みを浮かべたゲイザム。ですかっとなんだ、この揺れ。なんだじゃないな。
「さて、竜のほうもまだ栄養が足りないっと言っているようですね」
竜が落ちた場所より飛び上がってきた。あらま、一回り大きくなってる。
「シク様も探しにいかないといけませんし、貴重品も使ってしまったので、すぐにでも終わらせましょうか」
街のほうへ視線を向けるゲイザム
「結局、お前らってシクになにをさせたいんだ?」
「それは・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
ゲイザムの説明は竜の咆哮にかき消された。口は動いているけど、読唇術なんてできるか!
A ようは『心眼!ブラボーアイ!!』の才華版
経験、観察、から相手の情報を把握する。
才華は魔女の力でこんな情報がみたいと思えばより詳しく把握できる
転生者とか転移者とかその過去の経歴もわかる自信があるよ
あと、愛音、マアカもそれっぽいわざができるよ
在人「俺は?」 過去、現在、未来、並行世界すべてにおいてできません