信仰心
表にでないはずの黒歴史設定
Q 「そんなことはさせるかああああああ。」
って言ったときの才華たち 在人にはどんな感じの悪役に見えた?
「面白いことを言うわね」
「面白くないですよ。それは」
真逆の感想が同時に聞こえた。不機嫌な表情となったフード女はもちろん否定的な感想。それと真逆な感想は上空より聞こえた。この声の主は
「じゃあこれは面白いかしら?」
「イナルタさん!」
感想を言った張本人は炎の鳥から飛び降りる。炎の鳥は熱気を増してフード女に向かっていく。
フード女は光の刃で炎の鳥を切り裂いた。が、鳥の形状を失った炎は勢いそのままフード女へ襲いかかる。炎を回避したフード女は次にガーゼットさんの斬撃に襲われる。
打ち合わせなんてしていないこの連携。息のあったコンビネーションとはこういうことを言うのだろうか。
「っち。」
フード女は光の刃で首撥ねを狙った一撃を防ぐ。フード女も安堵のため息。相当きわどかったので一安心ってところかなと思った。そう思ったところで
「っしゃああ。」
「がく?!」
フード女はジョーさんに蹴飛ばされ、隣家の屋根を削りながら吹き飛ぶ。イナルタさん、ガーゼットさん、ジョーさんの3人に襲撃されたのが運の尽きだろ。どう考えてもよけれない。才華たちでも無理だろ。
「はああああああ!」
「やったあああ。」
「シクは?」
「髪・・・。」
「ワン!」
雄たけびをあげるジョーさんの背中にはルンカとクロスティがロープで縛られ、右脇にサウラ、左脇にはライジーが抱えられている。
「ルンカが私のところまで知らせに走ってきたのよ。」
イナルタさんが静かに屋根に降りた。それでイナルタさんがここにいると。シクを見る目線は優しい。正直見惚れてしまう。だけどそれは一瞬だった。
「ちゃんとケジメはつけてもらわないとね。」
柔らかい口調だが目が怖い。気圧されたのは俺とアマ。教え子を傷つけられたことから相当きているようだ。・・・・・こわっ。
「俺がついたときにイナルタさんがサウラ君とライジー君の治療をしていたんだよ。それで君たちの説明をしたら協力してくれるってね。ルンカ君たちは置いていこうと思ったけど、本人たちがどうしても着いていくって聞かないからここまで連れてきた。っと。よし降りようか。」
俺の隣に移動して、しゃがんだジョーさんよりサウラ、ライジーが屋根に降りた。ジョーさんはロープをほどいてルンカ、クロスティも飛び降りた。そして、一斉にシクのもとへ
「シクー。よかっだーーーー。」
大泣きしているライジー。
「けがない?」
どこか安堵したように聞こえるサウラ。
「シクー!」
歓喜で抱き着くルンカ。
「みんな。」
3人の姿を見てシクも涙を浮かべる。その足にはクロスティが体をすり寄せている
「ジョーはザイト、アマと一緒に後方でその子たちを守りなさい。」
「わかりました。」
ジョーさんが立ち上がると、イナルタさんは吹き飛ばされたフード女のほうを見る。
右腕が折れ、左半身はズタボロで出血。そんな状況だが何事もないかのように立ち上がったフード女はゆっくりとこちらまで歩いてきた。ゾンビかよ。
「ふう。これも大願のための試練なんですかね。」
「そうね。まだまだ試練は続くわね」
「なに?きゃあああああああああ。」
イナルタさんが指さすと同時に鳥の炎から炎の獅子と豹が現れ、左腕、右ひざを咬み砕いた。イナルタさんの魔法で作り出された2頭は屋根に倒れたフード女を見下ろす。杖を地面につけると凍結がフード女の口をふさぎ、さらに新たな術式がフード女の真下にできた。なんだ?あ、術式の意図はわからないが獅子と豹のこれからはわかる。
「はい、これからは大人のお話。盾の後ろに。」
俺は盾でこの光景をシクたちに見せないようにする。シクたちはなにが起きるか理解できないようだが、アマがうんうん頷いている様子を見て、指示にはしたがってくれた。まあ、これも見せていいもんじゃあない。
倒れたところへの追い打ちで右足、脇腹と2頭は咬みつく。予想以上に残虐だな。声を出せないが、息も絶え絶えのフード女。この間に周囲には他のフードも現れたが、一蹴されている。フード女も反撃できないようだから、イナルタさんの術式は魔法を使えないようにするためか?
「本当はギルドに連れて尋問したいところだけど、信者が煩そうだからここで質問に答えなさい。」
剣で凍結を砕いた後、喉元に剣を押し付けるガーゼットさん。
「さてと、あなたたちは『死滅の竜』の心臓を手に入れたのかしら?」
はい、状況がわからないので、俺はアマに目線を向ける。
「復活できないように、心臓は秘密裏に封印されているそうです。」
ですか。アマ。んーとこれでわかるのは。不死の竜だけど死んでるってこと。死んでるのか?
「心臓だけでも生きれるってことだと思うよ。在人。」
ですか。才華。ジョーさんが頷いているのでそうなんだろう。
「・・・・・・・・。」
答えるつもりはなさそうだ。
「づ!んんーーーーー!!!!!!!!」
「質問には答えなさい。」
口を踏みつけガーゼットさんはフード女の右腕を切り落とした。フード女の右腕の切断面は獅子が焼きつぶし、落ちた腕は豹が飲み込んだ。えええ?
「・・・・・それならシク様にも聞こえるようにしてくれませんか。シクさまにはもともとお伝えるものなので、その役目は果たさないといけません。」
ガーゼットさんは少しだけ考えこむ。まともな話ではないからシクには聞かせたくない。だが情報はほしい。しかも真実味のありそうな内容。その2つを秤にかけているくらいは分かる。
「シクを前に。」
「あ、はい。」
情報を選んだガーゼットさん。俺はシクを才華たちのほうへ向かわせる。シクは少しびくつきながらマアカの足にしがみつく。そのシクにマアカは安心させるかのようにやさしく頭をなでた。
「これでいいわね?ただ妙な動きを見せれば殺す。」
「ええ。それでは、先ほどの質問ですが、答えはそのとおりです。」
ガーゼットさん、イナルタさん、ジョーさんの顔が深刻となる。重要なものは既に手に入れていると。
「・・・・・死滅の竜をいつ、どこで復活させるつもりなのかしら?」
「5日後、ここで。シク様のことがなくてもここで行うのは決定していました。」
フード女はこの質問に僅かだが笑ったように見えた。
?!5日後?いくらなんでも早すぎない?先遣隊でこの人数?まだまだ増えるってこと?って思っているのは俺とアマだけのようだ。他の面々はいたって冷静である。まあ、動揺するよりはいいんだろうけど、冷静しすぎませんか?
「さ、300年前に教団の手で竜が復活した際も、1つの街が住民ごとなくなって、そこから被害が広がっていったそうです。」
ですか。アマ。竜の存在に。そして、それを復活させようって教団。そりゃビビるよ。新人登録者の係る範囲はとっくに超えている。カタム傭兵団とか国レベルでの対応だよな。
「・・・・・歌劇団の公演で、人の入りも多くなる。それに紛れて信者の出入りは容易。」
ですか。ガーゼットさん。だから倒しても倒しても信者の増援がやまないと。今も数人の信者をジョーさんが倒した。
「竜の復活に必要な命も多数いるから丁度いいってことね。」
まじですか。イナルタさん。この街の住人や歌劇団を見に来た人は生贄ってことだよな。
「ええ。そうです。私たち先遣隊はシク様が巻き込まれないように保護し、自らのお役目について伝えにきたのです。」
不気味なものが瞳に宿っている。
「ですが、私たちが至らぬせいでその役目も果たせないようです。先遣隊のほとんどが打倒されたようなので。」
ジョーさんが1人の信者を撃退したところだ。そして、その光景を見たフード女は諦めた表情となったが、すぐさま優しさと憧憬の込めた視線でシクを見つめる。
「私もここまでですね。役目も果たせず、情報の漏えい。この罪は生きてぬぐえるものではありません。申し訳ありません。シク様。」
フード女の体から熱と光が発せられる。なんだ?
「信者特有の自爆だわ。」
ガーゼットさんが叫ぶ。なんですと?あれ?他の信者も同じように緑色に発光している。これ囲まれているから逃げ場なくね?
「ザアイのもとに固まって!盾展開。はい。シクたちは耳をふさいで、口をあけて息吐く。そうしないと怪我するよ。」
マアカがシクを抱いて俺の後ろへ。シクを下すと素早くシクたちへ指示をだす。イナルタさんと愛音は既に俺達を囲むように移動し防壁を展開させた。
「シク様のご多幸をお祈りします。」
ほほ笑みを浮かべたフード女。体格は別としてこれって自爆寸前のセル状態か。光が増す。まさに自爆するシーンを見てるようだ。
「馬鹿ね。」
俺の左隣に移動してきた才華は防壁を張りながら呟く。それと同時に盾になにかがぶつかる。防壁越しだがそれはわかる。爆破の轟音はないがその代わり生臭さが広がってくる。この生臭さ・・・・血ににおいは否応なくシクの破裂を脳裏に浮かばせる。
信者の自爆は爆破ではなく破裂。数十秒後それははっきりと目で確認できた。衝撃が止んだことで盾の防壁を解除し、周囲を確認。周囲は血と肉片で埋まっている。
「近寄る気配はなし。怪我した人は?」
イナルタさんが周囲を見渡して、シクたちのほうを確認する。4方向に防壁を張ったため怪我人はなし。一安心。シク以外の3人はこの異臭に顔をしかめている。
「失敗、撤退の合図の柱だったから、教団の行動は止まるはずね。」
「そうですね。ガーゼットさん。ですがこれで情報はなくなってしま・・・あれ?」
ジョーさんが周囲を警戒しながら、血と肉片の海へ歩き出しなにかを見つける。その視線にはフード女。飛んできた肉片や骨などでダメージを追っているようだが、肉体自体は原型をたまっているが生きている。
「はあ。はあ。な・・・ぜ?」
フード女も想定外のようだ。
「あんだけ決めていたのにかっこ悪いねえ。ん?信仰心足りないんじゃない?」
フード女に邪悪な笑みを浮かべて見下ろす才華。あ!もしかして、食べた?
「そんなこと。私は・・・・」
信仰心を否定されて取り乱すフード女。
「まあ。そこら辺は尋問、拷問時に答えなよ。あんたは自爆できない。これは結論づいてるんだから。」
才華が顔面を蹴り飛ばし、フード女は気絶した。他の信者はともかく情報源は確保。これで先遣隊との騒動は一旦は終わる。と一安心したいができない。それくらいは俺にだって分かる。
教団とのシク争奪戦。竜の復活阻止。これにいや応なく巻き込まれる。それはたった1日の戦いであった。
A 才華 世界征服を狙う地獄な科学者
愛音 冷血冷徹冷酷時代のファイテングコンピュータ
マアカ 悪役令嬢の上をいく極悪令嬢