やらん!
表にでないはずの黒歴史設定
Q アマはたまたま近くでなにをしていた?
「なにも知らないなら、殺す必要はないんじゃないかしら。」
「彼らは・・・・・その熱い信仰心故とも言えますが、我々の意図を理解できずに暴走し、シク様のご友人をお傷つけになった。さらにシク様にも怖い思いまでさせてしまったのでその罰です。シク様、これでご容赦ください。我々にシク様が必要なのは事実ですが、怖い思いをさせたり、無理やり連れていく気はありません。」
シクの方をむき丁寧に頭を下げるフード女。シクは俺の足にしがみついて、震えている。なにか不気味なものがある。そう感じたんだろう。俺も正直なんだ?あーあれだ、うさんくさいと思っている。俺達に殺し屋を向けた件についてはなにも弁解がないのは?
「殺し屋の件についても、同じです。シク様の保護者である皆さまにも大変迷惑をおかけしました。」
俺のほうに頭を下げるフード女。さいですか。つまり一部暴走しているのか?でこっちは穏健派?過激派がいるから教団は厄介で警戒対象なのか?
「ふうん。謝罪されたところで、はい。そうですか。ってならないけど。そもそもシクはなにをもって『聖女』なのさ、それにシクになにをしてもらいたいのよ。そこんとこを説明してくれないと、シク本人がいくこともないし、保護者の私たちが許すわけないよ。」
「確かに、理念などを聞けば私たちの行動について理解していただけるかもしれませんね。」
頷くフード女、これで理由はわかるか?納得はともかく、理解できる内容ならいいんだけど。
「シク様は死より自力で蘇生したお方。」
「はい?」
つい変な声が出た。才華、愛音、マアカの3人は首をかしげている。シリアスな雰囲気じゃなくでギャグな雰囲気でだ。
確かにシクは死んでいる。それはまごうことなき事実。そして生き返っている。それもまごうことなき事実。
だがそれを正しく認知しているのは俺、才華、愛音、マアカの4人。他の人はちょっと風邪をこじらせて病気にかかったシクを見て勘違いした俺が、葬儀屋に泣きながら行った。人多在人はドアホだ。ちゃんちゃん。で認知されている。
真実を把握している才華たちはわざと大げさに首をかしげているんだろう。
「その噂を聞き私も正直半信半疑でした。」
俺のアホな行動の話がねじれねじれて、シクが死んで蘇ったって噂になったのか。どうせ、酒場とかでそうなったんだろう。そこにネクロマンサーの存在も噂の信憑性にプラスとなったか?
「ですが。」
フード女はシクに目を向ける。慈愛?憧憬?希望?敵意のないその目だが、どこか恐怖を感じる。シクもそれを感じたのか俺にしがみつく力が増した。アマもシクの様子を見て1歩だがシクに近づいた。
「本人を見て確信しました。このお方は将来私たちの導き手になるお方。そして、私たちの大願を叶えてくれるお方。」
えーっと。天を仰ぎ両手を広げるフード女。歓喜。歓喜。歓喜。神が遣わした存在と思ったのか。
「ん?本人を見ただけで判断したの?それだけ?」
「ええ。そうです。一目ですべてわかりました。この噂は嘘でもでまかせでもなく事実だと。我らは確信しました。」
才華の質問に答えたフード女。んんんん?
それって噂の出所や真実味を確かめることもなく、本人を見て判断したって聞こえるんだが。
俺から見れば、シクはまあ、可愛いになる。うん。性格も俺の見てる範囲では温厚で素直。ただ、本来はもっと活発だったんだろうと思える。出会った日のことや、ルンカ達のやりとりを見てそう思う。
それらを見て聖女とは判断できるか?少なくとも俺はしない。どこにでもいる普通の子。そんなもんだ。才華たちだって、可愛がっているが、それはもう悲鳴が聞こえるくらい可愛がっているが、聖女扱いはしていない。可愛い妹とみている。・・・・・・ハズ。
教団のこのフード達はシクを見て、どう見て聖女と判断した?今までの話だと見た目だと外見だけに思える。
・・・・・・ただのロリコンじゃああないか!
俺はドン引きしているのを自覚している。空気読まずに大声で突っ込みそうになるのをなんとかとどめることはできた。落ち着け、落ち着け。
そんなわけないよな。いや、それだけじゃないなにか。説明できないなにかをこのフード女はシクから感じ取ったんだろう。俺だけでなく、犯罪者予備軍、ゴフン。じゃない才華たちにも感じ取れないなにかを。教団にしかわからないなにかを。なにかってなんだよ。
その証拠にフード女の目には狂気がやどっている。いや全身から狂気のオーラが出ている。目の前にいる狂信者は他のフードよりも色濃い狂気を放っている。シクを聖女と信じきっている。確信している。有無も言わせないと狂気が叫んでいる。怖いんですけど。
「ああ。だめだねこれ。なに言っても聞かないやつだ。ああ、やだやだ。困ったなあ。」
「ええ。困ったわね。」
「信じたいことしか信じない。よくいるけど相当迷惑な奴ね。」
才華が小さく呟き、愛音がうなずいている。マアカも同意している。自分の行為は全部正しい。理論も科学も常識もな無視してそう考えている人物。まともなことが起きるはずない。
高校時代を思い出す。たぶん、才華、愛音も同じのようだ。そいつらの哀れな末路は・・・・・どうでもいいか。
「それで?聖女のシクになにをしてもらうつもりなの?」
「聖杯をめぐる戦いの裁定者?悪竜退治?広報を兼ねたアイドル?どれもできそうだけどね。」
愛音の質問に茶々を入れるマアカ。なにがなにやら。
「私たちの大願。死との別れ。」
「はい?」
茶々に応じず?理解できず?答えたフード女。俺はまた上ずった声が出てしまう。死との別れ?言ってる意味が分かるような、わからないような。単純に不死ってことでいいのか?
「可愛いシクは人・・・・信者を不死にできるってこと?」
「ええ。可能です。」
これも確信してうなずくフード女。まじですか。可愛いは今いらんと思うけど、愛音。
「「さすがシク!私たちにできないことを当然とやってのけるッ!そこにシビれる!あこがれるゥ!っ」」
才華とマアカがどこかでなくとも聞いたことのある言動。この空気でやるのは違う気もするが、空気を換えたかったのかもしれない。おちゃらけて、余裕を見せたかったのかもしれない。シクを少しでも安心させたかったのかもしれない。だけどそれは今考えることではない。
「まさかとは思うけど、シクの命を犠牲にするとかしら?」
愛音は冷静に質問しているが、返答しだいではすぐさま斬りかかる。そんな予感をヒシヒシと感じる空気を出している。気がする。この質問に才華、マアカもさっきの悪ノリモードから真剣な顔つきとなる。
『聖女』の言葉やイメージからだけどそれはありそうだ。本当にありそうで怖い。シクの命をもって信者は不死となる。これをもってシクは教団にとっての『聖女』になるのかもしれない。そんな流れくらいなら俺にイメージできてしまう。
「そのような心配はありません。『死滅の竜』とシク様が並び立つことでそれは実現となります。そして、その日は間もなくです。」
「死滅の竜?」
またまた変な声が出た俺。こりゃまた、物騒な新しい単語がでてきた。はい、毎度のごとくいい予感はしない。それは俺だけじゃない、才華、愛音、マアカも『死滅の竜』により真剣な表情が変わる。
死滅・・・・他の生物を全滅させる凶暴なドラゴンってところか?
がそれ以上に深刻な表情になったのは、この世界の住人であるガーゼットさんとアマ。ちらっと見たがシクも知っているようだ。
「ご存じありません?」
俺の間抜け面にフード女もさすがに不思議そうにしている。この世界では知ってて当然の存在なんだ。才華たちは知っていたのか、それともさも知ってる振りのため真剣な表情をしていたのか。
「ええ。常識は敵だっていう考えのもと情報は必要なとき入手しているんで。なので一から説明してくれたほうが嬉しいです。」
こんな場ですが、嘘を言いました。
「えっと。パヴォロスには3つの生きた災害があります。それが『無数の人災』・『7つの天災』・『1つの厄災』。 その『1つの厄災』と呼ばれるのが『死滅の竜』です。」
ですか、アマ。『7つの天災』はイディやサンホットたち『七喰の魔女』のことだよな。それは聞いた気がするような。
「たった1頭の竜だけど、暴れだしたら、国や町は崩壊し、無数の屍を生み出。生きた災害。」
ですか。ガーゼットさん。つい『災害』って言葉に反射的に才華、愛音、マアカに目がいってしまっう。が、こっちはほぼ脳内でのイメージだけど、この竜はイメージじゃあない。
「災害ではありません。天罰です。『死滅の竜』は罰として生物を死滅させる存在であり・・・・」
うわあ。害じゃなく罰ですか。これだから狂信者は。そして、その存在のどこに不死とのつながりがある?むしろ真逆の存在だろ。
「『死』を滅した唯一の存在。」
「はい?」
俺は変な声がでた。死を滅する存在?意味が分からんよ
「死なないドラゴンってこと?」
「ええ。その通りです。」
才華の問いに頷くフード女。そんな存在がいるのか。あれ?このままいけば、その死滅の竜と戦う可能性ある?不死の存在をどう倒せばいいんだ?
「うーん。竜の不死性、聖女シク、そこからどうして、人の不死につながるのかしら?」
確かにマアカの言うとおりだ。その3つが俺の中でも一本の線にはつながらない。いや普通の考えなら絶対に繋がらない。
あれか?竜に食われて1つになろうとかか?それで君も不老不死だとか。違うか。
「シク様のお力なら、死滅の竜の不死性を我らにも与えることができます。」
笑みを浮かべるフード女。ですか。その根拠はどこから出てくるんだ?
「シク様は多くの人を死の恐怖から救ってくれます。その手助けをするのが私たち、信者のお勤め。ですかr」
「やらん。」
「行かせないわ。」
「お断りね。」
フード女の言葉を遮った才華たち。フード女の笑顔が消え空気が凍り付く。
「おや、意味不明って顔だね。言ったままだよ。説明聞いても駄目だあ。あんたたちのところにシクを行かせるわけない。」
「真実の確認もしていない。見える範囲だけのことで全てを決めつける。そんな人しかいないところにシクを行かせても、シクのためにはならないわね。」
「残念ながら、シクには私たちとすることが山ほどあるので、教団にいってる暇なんてないわ。」
「すること?なにがあるんです?」
どうやらフード女はマアカの言葉だけ理解できたようだ。
「まだまだ知ってほしいこともある。それにルンカちゃんたちとの塾も楽しみにしてるし、訓練も楽しそうにしている。シク達の成長は私たちの楽しみ。」
ですね。愛音。
「まずは、これからの時期だと、海で泳ぐ。それから、キャンプもいいねえ。花火にバーベキュー。お祭りや温泉も行く。もちろんルンカたち、ガーゼットさんやアマと一緒にね」
いいね。マアカ。
「海での水着。祭りでの浴衣。クアットロ・ゲキピュアのコスプレ。おっと、まだまだ尻尾や耳、頬はさわり足りない。大きくなったらなったらで触らずにはいられない。」
前半の前半はまあわかるよ。才華。
「なのでシクはあなたたちのところに行かせるなんて、保護者としてダメでーす。」
才華は胸の前で腕で×を作る。
「それを決めるのは・・・」
「シクの人生はシクが決めるべき、だから本人に決めてもらおう。」
殊勝な口調でフード女の言葉をさえぎる才華。シクへの真剣な思いが
「・・・・・なんて言うと思ったああ?そんなことはさせるかあああああ。」
見えたのは一瞬だった。悪役にしか見えない。
「私がゆーるしーまーせーん。何度でも言うけどシクはやらん。全面戦争だ。」
「才華、『私』じゃなくて『私たち』がね。」
「愛音のいう通りね。ザアイもそう思うでしょ。」
シクの意向を全無視で結論を出した3人。アマが引いている気がする。
「ああ。」
まあ。俺も今回は同意する。これで、シクはルンカたちのときみたいに自分を犠牲にすることはできない。そういうことな気がする。・・・・・たぶん。
A 才華。「ふっふふ。アマからしたあの香り。そして、愛音たちの移動経路の途中においしいアイスを売っているお店があること。つまり、アマは期間限定の果実入りイチゴとハイミルクのダブルアイスを食べていたってことに私たちは気づいている!ちゃんと食べ終えていることもわかっている。」
在人「んなわけ・・・」
アマ「なんでわかるんですか~?!」
在人「・・・ですか」