報告するまでがクエストです。
表にでないはずの黒歴史設定
Q 才華っておバカ?
「あんなうやむやで放り出していいのか?」
「仕切り直し。仕切り直し。ああゆうゴチャゴチャしたのは好きじゃないってね。それに在人、私たちのクエスト忘れたの?」
「クエスト・・・・」
才華が緊迫した空気の反動でものすごく呆れた表情をする。この状況じゃなきや、頬を叩かれているところだ。
「私たちはその子を歌劇団の元へ連れていくのがお仕事。だから、ミティやヴィテスたちとかかわっている場合じゃないわ。」
愛音は淡々と説明する。言われんでもわかっているよ。ちょっと流れで忘れていたけど。
「それに関わるなら私たちだけでいいでしょ。ザアイ。そろそろ起きてほしいところだけどね。ヘイヘイ。」
スタッフの子の頬をつっつくマアカ。
「そうだな。」
全くもってマアカのいう通りである。ミティ達にしろ、教団にしろ、狙いは俺達。スタッフの子は全く関係ない。運悪く巻き込まれただけ。クエスト関係なく無事に歌劇団に連れていくのが礼儀だろう。
「っとそろそろいいか。マアカ、愛音。」
3人は振り返るとそろぞれなんらかの魔法を発動させた。ここではなにも起きない。なんですか?そんな疑問を思うも3人はまた振り返り走り出した。
「えっと?」
「地面を隆起させたの。まんまガイアクラッシャー・・・いえ3人でやるからトリプルガイアクラッシャーね。ザアイ。」
分かる人には分かりやすい説明ありがとう。でもここで命中するの?
「才華の収束の魔法を逃げる前に用意してたでしょ。だから、ちょっとした時間差でかつあの場所で効果は発動してるわ。」
なるほど。
「爆破や煙も収まって一安心のタイミングで第2波。これで仕留めれるとは思わないけど、もうちょい時間稼ぎと、罠を警戒して動きが遅くなればいいなあってね。そして、その間にミタキの街まで走っていくよ。背負いながらはきついかもしれないけど頑張って。」
ですか。仕留めたと言い切れない実力者たちか。確かにこれで死ぬイメージはないな。目の前で戦闘不能になるまで安心できん。
「それは頑張るけど・・・・。あいつら追ってこないか?」
「追ってくるでしょうし、教団の信者は街に潜んでいそうね。下手したら街中で襲ってくるかもしれないわね。」
「愛音の言う通りだと思う。まあ、ミティたちを利用してクエスト中に殺そうとしてきたから、そこらへんは慎重になると思いたいんだけど。なんとも言えないわね。」
ミティたちはともかく教団の動きは読めないか。
「なら、どうする?って頼りっぱなしはだめか。まずは戦力確保?か?それとも教団についてなんか情報集める?ギルドならなにかわかりそうだし、協力はしてくれるよな。」
「そうなるわね、ザアイ。ミティたちの目的ははっきりしてるけど、教団の狙いが分からない以上、対策もとれないわ。なにを信じているのか。教えはどうなっているのか。そのためにどんな行動をしてくるとかね」
「対策か・・・。念のため、シクも決着がつくまで、イナルタさん、ターロホさんに預かってもらおうか。」
俺達といると危ないのは目に見えている。標的にはされないと思うが、油断はできない。今はそれくらいしか思いつかない。
「そうだね。どっちにしろ、まずはギルドへ直行。・・・・・したいけど、相手は組織だからなあ。入り口見張られているかなあ。街が安全と言い切れないのがなあ、ネックなんだよねえ。」
才華でも悩んでしまう状況か。スタッフの子みたいに巻き込まれてしまう人もでてくるよな。
「かといって他に行くあてはないし、終わりが見えない以上、孤立無援で戦い続けるのは無理だろ。」
スペースラナウェイなんてできるもんでもないし、落としどころも想像がつかない。ミティたちは再起不能か死ねば終わるだろうけど、カルト集団はどうせばいい?
「そうね。できることはして、あとは賭けね。」
巻き込まれるのは割り切るしかないか。すまない、ミタキの街の住民。
「襲ってこないうちにギルドに行ければいいわね。ザアイ。」
「だな。」
日ごろの行いの悪さがどうでるか。悪い予感しかしない。
追撃はなくミタキの街を視界に入ったところで歩みが止まる。まあ、見た目はいつも通り、ただ、教団の信者がいることを考えると不気味に感じてしまう。背中から刺されそう。
「追手もないし、覚悟はいい?ザイ。クロ」
「ああ。サイア。」
「クウ。」
クロことクロスティはサイアこと才華の足元に体を当てている。黒い胴体を一周するようにある赤い毛が目立つ。
「緊張しすぎ、いつも通りいくしかないんだから。変に回りを見ないで、リラックスリラックス。」
「はいはい。っと髪でてる。」
「おっと。これで・・よし。行くよ。」
俺と才華、クロスティは現在変装しており、これから西門よりミタキの街へ入る手筈。
愛音、マアカ、スタッフの子もそれぞれ変装して、南門から街へ入る手筈となっている、そこから、歌劇団の広場にスタッフの子を連れていき、入れ替わりにシクと合流して、ギルドへ合流する。エルージュもこっちを空中から見張っている。
俺達はギルドへ行って、教団の情報を集める。というより、助けを求め泣きすがりに行く。俺達は誇り高い人物でもなければ、創作物の主人公ではない。なので迷うことなく助けを求めにいくし、恥とは思わない。まあ、数の暴力が予想される相手なのでこっちの戦力補強は必要だし、落としどころも見つけたい。見つかればだけど。
二手に分かれるのは戦力的に危険だが、俺達の情報を持っている相手にまんまで行くのも危険と判断した。
赤髪の槍使い、黒髪の剣使い、金髪のハンマー使い、盾を背負う荷物持ち、犬と鳥。の一行はミタキの街では俺達しかいない。特に女性陣は傍目からでもわかってしまう。武器は布を巻いてさらにぱっとみの見た目も変えている。
西門をくぐり、ギルドへ。
「にゃあ。疲れたねえ。」
「ああ。そうだな。」
「あとは報告だけだから、クロももう少しだけ頑張ってね。にゃ。」
クロスティの頭を撫でて、別人をアピールする才華。才華は頭に布を巻いて、布の隙間から猫耳。猫耳なのでネコキャラ。
才華は、俺のリュックに入っている予備のマントやある理由が皆目見当のつかない猫耳のヘアバンドなどを総動員して変装している。
だがそれは置いといて、一番の変化は髪の長さ。
「目立つからね。」
その一言であの長くて目立つ赤い髪を才華は迷うことも、躊躇もなく耳元まで切った。その行動力に俺が戸惑ってしまうくらいである。
才華は堕ちた髪をじっと見ていたので、流石に未練があるのかと思った。だが俺の目線に気づいた才華は小悪魔のように笑う。
「これくらいで、私の美が地に堕ちるわけでない。むしろ、新たな私の虜となるがいい。」
悪魔の笑みでした。
才華の切られた髪はクロスティの胴体にまかれており、クロスティの変装は完成。ちなみに愛音『ござる』口調のグルグルメガネのオタクキャラ、マアカはポニーテールの現代ギャルキャラだそうで。
誰もこちらに注目していない。信者はいない・・・・と思いたい。愛音、マアカは無事に歌劇団に着いたか?騒ぎがあれば気づくと思うが、なにもないから、異常はないと思いたい。
「ぱっと行って終わらせるか。」
「にゃあ。」
歩き出そうとした瞬間だった。才華は突然、南門のほうを振りむいた。南門よりは歌劇団がいる広場の方か。
「どうし・・・・」
広場上空に火球が、1・・・2・・・3。ってことは、くそ。あの火球は事前に決めた合図。火球3発はアクシデント発生、集合。
「行くしかないな。」
「ストップ!」
トスッ!トスッ!
動き出そうとした俺の腕を才華がつかむ。音に反応して目線を下げると足元にはナイフ2本。
誰か落とした?わけないよね。ナイフの刺さり方から飛んできた方向を見ると民家の屋根に登録者風男性1人、旅人風じいさん1人、住民に見える女性1人、あのフードのやつ1人の計4人。
もうばれた?変装無意味だったか?
「あ、ぶないなあ。なんのようだ。」
他人のふりでごまかせないかな? が無意味でした。
「「「竜のために」」」
謎の合言葉を発してフード以外の3人はは飛び降りてきた。フードの奴は笛を鳴らす。応援呼ばれたか。
才華はなぎなたの布を外し、戦闘態勢をとる。クロスティも低く構えうなっている。これはもうあれだ。
「向こうもそうなんだろうけど、変装無意味だったな。」
愛音、マアカは無事か?っとスタッフの子も心配だ。忘れたわけじゃないよ、クエスト中なんだから。
「そうだね。想定以上だわ。」
才華にとってもそうなのか。まずいかではなくまずい。
「想定以上に私たちの可愛さは隠せないんだね。見通しが甘かったわ。ほんと、在人、ごめんね。」
「・・・・・あ、そっち。」
想定以上に行動的だったとか、早くばれたとかじゃあないのかい。
「それ以外にこの状況になった理由はないでしょ。この顔以外で判断する理由もないし、近距離で見てるわけでもないんだから、そうでしょ。だから2人でいた愛音とマアカはこっちより早くばれたんだろうね。」
「ああ。」
根拠のある自信と説明につい納得してしまった。思い返すと、『かわいいでござる?』ってあのメガネをつけて言った愛音は仕草のせいかそれでも可愛かった。納得してしまう。
「ふ。この美しさに生まれたことを初めて後悔してしまったよ。人気者はつらいわ。きっと愛音、マアカもそう思っているんだろうね」
不敵に笑う才華。
「そうかあ。そればかりはどうしようもないな。」
「この美しさは簡単な変装ではだめってことが分かっただけでもよしとして頂戴。」
「へいへい。次に生かせるといいな。」
「ルパンやキッド、特殊メイクを研究しとくよ。それぐらいしないと隠せる気しないわ。」
自分の見た目にここまで自信ある人もなかなかいないよな。まあ、こんな状況だが才華らしい。
「来るよ。周囲警戒して、野次馬は下がらせて。」
叫ぶと同時に氷塊を放ち女性を吹き飛ばし、男の剣をなぎなたで防ぐ。老人の右腕にクロスティが右かみついた。この段階で無関係な通行人たちの大半は野次馬だった。まだ登録者のケンカと思っているのかもしれない。まあ、ミティたちに比べれば、動きが遅いのでケンカレベルに見えるのかもしれない。
「あー、ガチで危ないんで下がってくれ。下がって。」
手を振って下がるようにアピールするが、大して効果がない。被害にあっても知らんぞ。
「在人!クロスティ!スイッチ!!」
才華の指示に従い俺は老人のほうへ走り出し、クロスティも俺のほうへ向かってくる。吹き飛ばされた女が立ち上がり、右手に術式を展開。それによりやっと通行人も危険と判断したのか、叫びながら逃げ出し始めた。これでこの場に残ったやつは敵か?
「うおおおおお」
俺とクロスティがすれ違い、俺は走った勢いそのまま盾で老人に体当たり。ぶつかる瞬間に防壁を発動させ、老人が吹き飛んだ。
愛音に教わった策がうまくいった。というより、実力が低い相手だから体当たりもうまくいったんだろう。実力低いっていっても俺よりは上なんだけどね。そのまま、立ち上がる前に防壁で上から押し付ける。
入れ違いとなったクロスティは男の左腕に噛みついていた。
「やああっ!1つ。」
才華はすかさず押し返し、なぎなたで首元を容赦なく切り裂いた。男は茫然とした表情となり、血が飛び出る。まず1人。
この間に女性は術式を展開させ、才華に光弾を放つ。
「クロスティ、アドベントでゴー!と使い捨てガードベントからのフリーズベント!2つ!」
才華は男を盾にして光弾を防ぎ、さらに足元が凍結していく。凍結は俺と老人のほうへ向かってきたので俺は地面から体を浮かせ、老人に全体重をかける。
「ごふ。」
一瞬浮かび上がったがすぐに老人の力が抜けた。凍結させたんじゃあないのか?が確認はあと。
合図で飛び出していたクロスティは光弾の真下を潜り、女性の腕にかみついていた。女性はクロスティを振り払い、魔法を放つために左手を才華のほうへ伸ばす。だが。
「遅い!3つ」
「あああああ!あ・・・・・・」
術式の完成前に才華が放った氷塊が精確かつ無慈悲に両目を貫く。女性が目を抑えた瞬間、のど元をクロスティが噛み千切り、才華は脳天になぎなたを叩き付けた。これで女性は糸の切れた人形のように地面に倒れた。
老人のほうも動きがないので、戦闘不能なのだろう。俺は老人の押さえつけをやめ立ち上がる。ここで老人に起きた出来事がわかった。
老人は凍結したのではなく、氷が胸を貫いていた。目への氷塊といい、視認できない胸への攻撃といい、冴えわたっているなあ。
ただ周囲はあきらかに俺達のほうを危険人物ととらえている。ですよね。これ見たら俺でも思う。事前に襲われたら容赦しないと決めていたから仕方ない。説明している時間もくれまい。
「在人、こっちこっち。」
「ああ。」
まだフードがいるので戦いは終わっていない。屋根を見上げるとあらら、2人に増えている。この街にどれだけいるんだ?
「さて、広場まで走るでいいかい。」
「うーん。それはそうだけど。っと。」
才華は周囲を見渡す。なにを思索しているのか。フードの1人が襲ってきたが、その場からうごくことなくなぎなたが胸を貫いた。
「よし、クロスティおいで。っと。んではい。私を扱うように優しく持って、落とさないでね。よしよし、よくやったクロスティ。えらい。えらい。」
才華は指先より氷塊を作り俺に手渡す。ちめたい。才華はクロスティを抱きかかえる。
「ちょい待ってね。飛ぶよクロスティ。」
才華は俺の肩を踏み台に屋根に飛び乗る。この動きはアクションスターだな。
「在人、いくよ。」
才華のなぎなたに術式が展開。あ、なるほおおおお。
「こんなもんかな。」
「余裕があるときはも少しお手やわらかにしてくれたほうがいいかな。」
思ったより急だった。魔法の効果で氷塊がなぎなたに引き寄せられ、結果俺も屋根に移動する。とと。
フードは8人になって、さらに10人ほどこっちを見据えた人達。どんだけいるんだ?
ふう。障害多し、広場遠し、屋根飛び移れる自信なし。
「さあ、才華無双チュートリアルは終了。これから第1章のはじまりはじまり。4つ。」
「はじまりはじまりって。はじの段階で攻撃ってフライングしていないか?」
構えると同時に放った雷撃が先頭にいた人物を黒こげにした。・・・・・今さらだけど、才華、その数えかたはニュータイプか。
「スキを見せるのが悪い。そして、こっちにそんな余裕はない。」
「ですか。」
「さあ。死にたいやつから来い。」
才華から放たれるプレッシャーが増した。フードの何人かは臆したように見える。
「龍のた」
「5つ」
無謀?勇敢にも飛び込んできたフードの1人。そいつは合言葉?を言い終える前に水弾が脳天を貫ぬき、地面に落下した。
「次!はそうなるよね。」
1人だと返り討ちになると判断した教団信者たち。今度は一斉に襲い掛かってくるつもりだ。じりじりと近づいてくる。呼吸を合わせている気もする。緊張感が高まる。この人数差を切り抜けるか。
来る・・・か?
「はい!ここまで!」
緊張感をぶち壊し、俺達と教団信者の間になにかが割り込む。なにかがじゃない誰かが。声は聞き覚えがある、このシルエットも。
「ミタキの街で、人々の往来の上で、人様の屋根で、なにをもめているのかな、君たちは?」
「ジョーさん。」
才華がつぶやく。割り込んできたのはギルド職員の服装をした男。受付嬢、じゃなくて受付ジョーではなくて受付のジョー、でもなくてウケツ家のジョー、じゃあないジョー・ウケツ。そうジョーさん。
「君たち、クエストは報告するまでがクエストだよ。」
ギルド職員のジョーさんが、俺達をピッと指さす。
A
良子「天才と馬鹿は表裏一体よ。」
真「科学技術に関しては歴代最高と聞いております。それと同時に奇人度も歴代最高と噂されいています。」
メイドの1人「ときには後先考えず行動しておくのが大事と考えており、無謀な実践をすることが多いです。」