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仇討ち

表にでないはずの黒歴史設定

Q新年のあいさつは?

「さてと、私たちが狙いだとはわかるけど、その理由が知りたいなあ。」


 才華の質問にこちらを見るミティ。平静を装っているように見えるが、なにか違和感というか、目に圧がある。


「私たちなにかしたかしら?」


 その目を見ても動じない愛音。他の2人もだ。やだ、かっこいい。そして、愛音のいう通りのあの広場以外で関わりはない。


「サイカ・アマキ。イトネ・チリク。ザイト・ヒトダ。最近になってマアカ・イゾ・マーラウトが加入。登録者としてはほぼ新人のチーム。」


 ミティが俺達を改めて見渡す。・・・・俺はほぼスルーだった。ぜーーーーったいそうだ。どうせ、俺は3人のついでだよ。こんなときにこんなことを考えてる場合じゃないけどさ。けどさ。いじけるよ俺だって。


「ミタキの街での活動はクエストに関してはとくに目立つものはない。ただ、カタム傭兵団と何度かクエストを行う。」


 まあ、クエストでいえばそうなるか。ここでミティの目が見開く。こわっ。


「それだけならどこにでもいる登録者なんだけど、ミタキの街周囲の森に逃げてきたアラクネルを傭兵団の1人と共闘して討伐。さらに傭兵団を標的にしていた殺し屋4人組と戦い、生き残っている。街の新人としては異例の部類に入る。」


 殺し屋の部分で明らかに怒気が増した。いつまでたっても、そしてこれからも気なんてわかることのない俺だが、口調や表情からわかってしまう。あと異例の部類か。ですか。やっぱそうなるか。


 殺し屋の関係者か?


「テリカ・ヒッスの弟子達?」


 俺が考えたと同時に才華が3人を指さす。テリカ・ヒッス。あの女殺し屋の?思い出すだけで身振るいしてしまった。


「そう思う理由は?」


 テリカ・ヒッスとの縁がないマアカが質問する。


「あの兄弟は弟子をとれるキャラクターじゃあない。爪の奴も詳しく知ることはなかったから断言できないけど、同じく弟子を取るようには見えない。だから消去法でね。在人も覚えているでしょ?私と愛音がテリカ・ヒッスに『一緒に来ない』と誘われたこと。在人といたいから断ったけど。」


「ネクロマンサーや爪男の弟子の可能性もあるけど私がミティ、フォトゥ、それぞれの一撃を止めたときの表情。あの表情はいい音を聞いたときのテリカ・ヒッスを思わせるものだったわ。」


 才華と愛音が理由をそれぞれ述べる。なーる。そう言われると重なるものがあるようなないような。


「なるほどねえ。で、それで正解なの?ミティ?」


 マアカはミティに確認のためそちらを見る。


「ご名答です。私たちはテリカお姉さまの弟子で配下。」


 薄ら笑みを浮かべるミティ。うおっ。テリカに似た雰囲気を感じた。


「そゆこと。よくわかるねえー。あははははは。すっごーい。それに2人も誘われたんだ。確かに師匠好みのいい音だったねえ。」


 楽しそうなに笑うフォトゥ。無言でうなずくレイダー。ですか。わかるもんなのかい。


「私は当時いなかったけど、テリカ・ヒッスの仇討ちかしら。」


「あなたたちがお姉さまを殺したならね。」


 ミティは頷き、才華、愛音を見つめる。はい、俺はスルー。はいはい。わかってましたよー。


「・・・・・それは間違いないわね。あの感触は一生涯忘れないと思う。」


 目を細め刀を握った自分の手を見つめる愛音。とどめとなる一撃を加えたのは愛音。


「そう。そうなのね。やはり傭兵団の団員ではないのね。」


「やはり?」


 ミティは傭兵団じゃなくて俺達が、テリカ殺害の本命と分かっていたのか。


「ええ。北の廃墟を調べたり、あの街で情報を集めた結果そうなったのよ。」


 まじですか。あの戦闘痕からでもわかるもんなんだなあ。


「信じがたいけど、事実なのね。あなたたちがお姉さまをを手にかけたことは。それに姉さまのお誘いを断るなんて。もしかしたら、私たちは仲良く姉さまとお茶をしたり、依頼をこなしていたのかもしれないのに。ああ。だからあの歌劇団であなたたちと話したとき親近感を感じたのかしたら。なのに。なにの。そんな男を選んで否定した。ああ、ああ。あーーーーーーーーーーーー。」


 右手で顔を覆うミティ。嘆いているといよりは怒りをなんとかとどめているようだ。目だけはこちらを睨んでいる。俺?俺のせい?ただこちらも「そんな男」に3人もピクっと反応していた。


「じゃあ、ミタキの街に来たのは、連絡、消息の絶ったテリカを探しに来たでいいかしら。」


「そうだよ~。調べたら傭兵団狙いでミタキの街近くに行ったのは分かってたから。偶然オーク歌劇団とかがあの街に来てたから変に怪しまれることもなかったし~。それで調べたら、呼ばれて飛び出てサイカちゃーんたちにたどり着いたわけ~」


 マアカの質問にフォトゥが答える。ミティはまだ怒りを抑えるの精一杯のようだ。


「だとしても、このクエストで俺達が来るってわかってたのか?それともそこまで仕向けたってこと?できるか?」


 オーク歌劇団が指定することをわかっていたのか?


「そうそう。傭兵団の団員が敵じゃないと分かったし、さらにいなくなるのはわかったから、それを待ってから行動することに決めたの~。」


「怒り任せで攻めないってことね。そういう考えはあるから街中や自宅には攻めてこなかったのかな。」


 街中、それこそ、寝込みを襲えばよかったのかもしれない。だが失敗した場合、街中にいる他の登録者や実力者たちを敵に回す可能性がある。ちなみに自宅はシクの件があって以来、それなりの襲撃対策をしているので、奇襲の成功は難しいはず。


 また登録者じゃない実力者の存在も厄介か。以前、街中で大立ち回りをしていた登録者を、受付嬢じゃない、受付のジョーさんが成敗していたこともあった。ジョーさんだけじゃない、イナルタさんは相手を沈黙させ、ガーゼットさんは惨さ・・・瞬殺し、ターロホさんは街のオブジェにしているのを見たことがある。


 街中だとミティたちもそうなる可能性がある。むしろその面々に囲まれる可能性がある。仇討ちどころではなくなるか。それくらいは調べたってことか?


「まあね。それに~」


「しゃべりすぎだフォトゥ。俺達は話すためにここにいるんじゃない。」


 ここまで静かだったレイダーは鉄球を回し始める。


「そうね。姉さまの仇がここにいる。やるべきことはその亡骸を姉さまの墓前に捧げることよ。」


 剣を抜き冷徹な表情でこちらを睨むミティ。


「まあそうだね~。」


 構えをとるフォトゥ。まだ気になることはあるが、そうも言ってられないようだ。




「ザアイ。念のため、もう一度。」


 マアカがこちらを振り返ることなく、左手を後ろにのばしたので、俺はその手の触れる。才華と愛音が一瞬だがうらやましそうにマアカを見ていた。そして誇らしげにするマアカ。


 マアカはさきほどの身体能力向上の魔法をかけなおしてくれる。視聴覚も強化されるのは地味にありがたい。これで見えないことが少しだけ減った。


 ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ身体能力を向上させる魔法。だがそれだけでも3人の背をなんとか追いかけれるようになる魔法。


 この世界にもともとある他者への身体向上の魔法ははっきり言って効率も効果も悪い。と才華の弁。

この世界の人は自分自身での身体向上の方に比率を置いているみたい。と愛音の見解。

 魔法で身体能力向上に頼るとそれを使えないとき、後手に回る。それを常に考慮してるんじゃあないかしら。とマアカの推測。


 才華と愛音も俺用に魔法を作成し魔法コンペの結果。俺はマアカのを採用した。

才華のは安定して向上するが、反動で精神的にひわ・・・・ひどくなるので却下。愛音のは俺にはピーキすぎた。


「いいの?殺し屋が依頼とは関係ない私闘をするのは?」


「誰にでも避けれない、逃れない、譲れない闘いがあるのでは?」


「!そうね。」


「姉さまの仇。とらさせてもらいます。」


「それは私と才華を殺せば終わりなのかしら?」


「あの場にいたのは3人。3人殺すまでは終わりません。邪魔するものも同じです。」


「させない。」


 愛音の問いに対するミティの返答。ミティの目線は俺を捉え、それと同時に刀と剣の一線が交わる。


「互いに仕事でのやりとりの結果。だから、水に流して帰ってくれないかなあ。そしたら、私たちは追わないんだけど。こうみえても私たちは静かに暮らしたいがモットーなんだよ。」


 動き出した愛音とミティをしり目になぎなたを肩でポンポンしながら軽くおしゃべりモードの才華。


「いやあ。師匠はそう言いそうだけど、ミティが煩くて五月蠅くて。あと私は静けさを砕きたいがモットーなんだよ。」


 フォトゥは笑みで大鎌を首めがけて振る。才華はしゃがんで回避。


「なら、ミティがなにも言えなくなって、帰りたくなったら帰っていいよ。」


 才華は立ち上がると同時に心臓を狙った突きを繰り出す。フォトウは身をよじることで回避。


「うーん。危なくなったらそうさせてもらうかも。でもサイカちゃんが楽しそうだからなあ。」


 狂気を垂れ流した笑みのフォトゥは鎌の柄でついてくる。才華は身をよじることで回避。


 フォトゥはあの身の丈大の大鎌を手足のように使っている。普通あんな大鎌は武器としては使いにくいはずってマアカが言っていた。 普通じゃないってことだよな。


 それでも使うのは、この世界だからと、プラスαがあるからじゃないかと才華。確かに鎌のサイズを変更できる以外なにかあるかもしれない。目に見えてわかるのは普通なら峰の部分も刃になっていることぐらいか。


 あと波長や感覚の問題じゃないかしら、と愛音。だから私は刀、才華はなぎなたを使っていると愛音は続けて言った。あわないものは使いづらいだそうで。


 ドダン!


 レイダーの鉄球をハンマーで打ち返したマアカ。


「いたたた。」


 手を振るマアカ。大丈夫か?


「女性は丁寧に扱いなさいって教わってないの?おわわ。」


 マアカの言葉を無視して鉄球を投げ飛ばしてくるレイダー。それをギリギリにも余裕にも見えるかんじでマアカは避けている。大丈夫か?


「優しいのは、小さい女の子にだけ?このロリコン!」


 こんなことを言えるならまだ余裕はあるか。この叫びもレイダーには響いてはいない。全く攻撃の手は緩まない。


 俺の正面で愛音とミティ。その右側で才華とフォトゥ。反対側でマアカとレイダー。3対3の戦いは互角な状況から始まった。


A 才華  「新年明けまして」

  愛音  「おめでとう」

  マアカ 「ございま」

  在人  「す。」

  才華  「本年も何卒」

  愛音  「よろしくお願い」   

  マアカ 「申し上げま」 

  在人  「す。 っておい。」

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