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指定依頼

表にでないはずの黒歴史設定

Q 在人達のクリスマスはどんなかんじ?

「はい。こっちもあなた達を指定した依頼。」


 傭兵団を見送った日から3日後、ギルド内でガーゼットさんが手板を差し出す。その手板には依頼書がある。指定?


「指定?誰からです?」


 登録者指定の依頼については聞いたことある。だけど、なんで俺達というか、才華たちに?アラクネルを倒した以外に目立つようなことはしていない。殺し屋の件はギルドに報告はしたがそこまで周囲に知られているわけではない。正直、俺達に依頼するよりカタム傭兵団に依頼したほうが絶対いいと思う。まあ、いないけど。それなら俺達よりもベテランに頼むべきでは?と思う。


「オーク歌劇団から。指定理由はアラクネルと殺し屋の件に、カタム傭兵団がここを発ったから。殺し屋の件のことを知っているのは、自衛のためには抜け目ないから。ってところね。」


 なーる、ガーゼットさん。


「歌劇団がいる間、何度かお願いすることになる依頼ってことね。」


 なーる。愛音。


「本来ならカタム傭兵団に頼みたいけど、いなくなったから代替えが必要。」


 なーる。マアカ。


「で、アラクネルと殺し屋の件で単純な戦力ならあると思われる私たちで代用できるかのお試しってことね。」


 なーる。愛音。


「そういこと。で内容は次の公演先での打ち合わせ担当の護衛。」


「魔物からってこと?」


「それもあるけど、主に人からの護衛ね。浅はかで不埒な奴らが身代金狙いで襲うことがある。それからの護衛ね。」


 なーる。ピンと来ないけど、そういうレベルで人気なんだ、あの一団は。


「搬送は南の村近くからね。そこで別の護衛者たちからそのスッタフを引き継いで広場まで護衛。」


 ですか。ガーゼットさん。


「別の?」


「次の公演先の街の登録者ね。そのスタッフも、何度か行き来きするから、その登録者との関係も作っておくため。実際ここに歌劇団が来るときは、傭兵団が対応していたのよ。」


「なーる。」


「で?どうする?断ることもできるけど。」


「どうする?」


「ま、いいんじゃないの。今日はシクを迎えに行く必要ないから遅くなってもいいし。」


 シクは塾の後、ルンカたちと歌劇団のいる広場に遊びに行くと言っていた。ミュージカルを見るわけではないが、あのお祭り騒ぎでも十分楽しいのだろう。


「問題無」


 ウィンクで親指を立てるマアカ。ですか


「なら決まりね。」


 愛音がほほ笑む。


「それじゃあ手続きはしておくから、がんばってね。」


 さわやかな笑顔のガーゼットさん。こういう仕草は良子さんと似ているし、いいよなあ。頑張ろう。


 あた。3人に頬を引っ張られた。




「ここになるよな。」


 合流地点の書かれた地図と現実に見える風景を見比べる。十字路となった街道。目印となる風見鶏付きの看板。看板に書かれた数字も一緒。


「そうねえ。」


 愛音が地図をのぞき込む。


「街からこの街道をまっすぐ南下するだけだから、いくら俺でも間違いようはないよな。」


「在人に方向音痴のスキルはない。この私が保証する。」


 才華が地図をのぞき込む。


「合流時間も間違いないよな。」


「うん。ザアイは遅刻をしないよう努力するタイプだもんね。」


 この世界の時計を見て確認するマアカ。合流予定時間は既に30分は過ぎている。


「俺の我慢が足りない?」


 何事も予定通りいかないことはある。だから遅くなることもあるだろう。


「どう思う?そしてどうする?やばい?って言っておくぞ。」


「うーん、街道を少し南下しようか。スッタフが人の女子程度しかわかんないから、入れ違うかもしれないけど。」


 才華は地図と街道の先を見比べている。確かにそれがネックなんだよなあ。


「私が浅はかで不埒な奴なら、この先の森で襲うかな。待ち伏せしやそう、追跡面倒そうってね。」


「なーる」


 それで地図と実際の街道を見ていたのか。確かにこの先には森が見える。


「森を抜けるまで行ってみようか。それまでにそれっぽい集団に出会えればそれでよし。」


「出会えないときは?才華。」


「地図で見るにおよそ20分くらいかかる。それで会えないなら、もうそこそこのトラブルがあったとして行動しよう。愛音。」


「そのときは、エルージュかクロスティにギルドへの伝言もしたほうがいいわね。2人ともいい。」


 マアカは足元にすり寄ってきたクロスティの頭を撫でる。


「そのときはお願いね。」


 愛音はエルージュの顎あたりを撫でている。


「じゃあ、行ってみようか。」

 

 何事もないと思う。そうそうハプニングなんで起きない。って思っている時点で手遅れか?嫌な予感とともに歩き出す。




「ううーん?」


 浅はかだったのはどっちだったのか?俺だったのかな?


 森を抜ける前にアクシデント発生。


 3人組の浅はかで不埒な輩に襲われた。そう襲われた。


 だがそれはたった今、解決した。3人組は3人組に倒された。ただその3人組は才華、愛音、マアカではない。


「あ。お久しぶりですね。」


 剣を納刀する青髪と青色のドレスを着た女性。どこかで見たようなないような。「お久振り」と言っていたから出会っているんだよな。


「ん。どこかで会ったけ?ミティ?覚えてる?レイダー?」


 緑色の髪と緑色の服を着た女性は身体くらいある鎌を左手の指だしグローブでコツンと叩く。鎌は小さくなり緑髪の女性はそれを腰元に。キャノさんが持っていた斧と一緒の機能と素材を使用しているんだな。


「ミタキの街のオーク歌劇団の講演会場で出会ったろ。フォトゥ。」


 細目の大柄男性があきれた顔でフォトゥを見ている。この男はそうだ、その広場でルンカとぶつかった男だ。このレイダーの細目と体格は覚えている。だんだんとこの3人組のことが思い出してくる。


 この3人は登録者だったんだ。そして十分強い。俺達を襲撃してきた3人組を後ろから1撃で倒しているからな。


「あのー。終わりました?」


 木の陰からフードを被った女子が出てくる。


「ええ。すいません。どうやら彼らのほうを歌劇団の者と勘違いしてたようです。」


「そうですか。」


 ほっとした表情となる女子。歌劇団?才華たちの目線がフード女子に集まる。


「その子が歌劇団のスタッフ?」


「は、はい。」


 才華の言葉にビクついた女子。狙われるとでも思ったのか?


「あなたたちが、次の講演先の登録者?」


「って聞いてくるねーちゃんたちは、指定登録者?」


 愛音の質問に質問で返すフォトゥ。


「そうゆこと。ここまでお疲れさま。」


 ウィンクで答えるマアカ。


「そうですか。ですが、合流地点はこの森を出た先では?」


「それは私たちが遅れたからでしょ。レイダー。すいません、予定より遅くなって。」


 レイダーの質問にミティが答え。愛音たちの前に移動し丁寧に頭を下げる。


「いいよ。いいよ。無事なら。心配性な在人がオロオロするから様子見で来たんだよ。」


 にっこり笑う才華。


「いえいえ。お礼はしないとですね!」


 カキン!


「流石にやりますね。」


 刀と剣がぶつかりあう。


「はい?」


「ひっ」


 俺の抜けた声を出す俺と向かいにいるスタッフ子の驚く声が重なる。


「これはなんの冗談かなあ?ミティちゃん」


 居合いのような態勢のミティを見下ろす才華。焦る様子もなく飄々としている。


「理由を知りたいところね。」


 剣を受け止めたのは愛音。こちらも冷静だ。


「場所を変えます。レイダー!」


「きゃああ。」


 ミティも冷たい笑みを浮かべた後、間合いを取り、そのまま森の中に入っていく。レイダーはスタッフの子をかかえミティの後を追う。素早いな。


「はーい、はーい。こっちこっち。この先でまってるよー。もし来なければって言っとけば、この先はわかるよねえ。」


 フォトゥは枝を切り落としながら、2人の後を追っていった。・・・・・スタッフ攫われた。攫われた?追わなきゃ、スタッフの子を殺します宣言つきか。


「行くよ。クロスティ!」


「ええ。」


「行くよ。ザアイ。」


 マアカが肩に触れ、それで俺も走り出す。3人に遅れない程度につて行けるのはマアカが身体能力向上の魔法を使ったおかげ。ミティたちの姿は既に見えないけど、クロスティが先導してくれる。


「なぬがなんで?」


 なぜ才華が狙われた?才華なのか?護衛のクエストをしてたのではないのか?


「さあ?」


「とっても私たちを殺したいようね。あの殺気。」


「本人に聞くしかないわね。」


 ですよね。3人にも心当たりはない。無論俺にも。


「つかず離れず距離をとってる感じね。怖くて素敵なお誘いに来て頂戴ってとこかしら。」


 罠、もしくは向こうにとって有利な状況があるいうことか、才華。


「街道から外れれば人目は避けれるわねえ。」


 遺体処理しやすいということか、愛音。


「劇団スタッフは人質というより、誘い出すための道具かしら。」


 ですか、マアカ。なら、すぐに殺されたりはしないか?。それとも追跡する状況になったので用済みなのか。


「このまま追うでいいのかよ。」


「危険な誘いに、普通の賢い人なら慎重になる。野生全開の現代忍者なら「ぶっ殺す」だけど、私たちはどうする?」


 現代忍者?それはどこから出てきた才華?


「まずはスタッフの子の救出ね。」


 ですか、愛音。まあアラクネルのときとは違いマアカ、クロスティ、エルージュもいる。とくにエルージュはまだ姿を見られていないと思ったが、俺達のことを狙っているなら情報持っているか?


「つまり、私たちがかく乱兼殲滅で、その間にザアイがスタッフの子の確保兼護衛ね。」


 そいういことですか、マアカ。がんばれ、俺。


「まあ、そうなるね。でもまずは相手の隙をつくため、在人に先頭をいってもらうよ。」


「はいはい。わかってますよ。才華。」

 

 俺の特性 (誰にも舐めれられる)はそこまで有用なのか?俺には実感がわかないが3人の中では既に一定の信頼が置かれている。


「在人は不満かも知れないけど、この特性でよかったと思うわ。」


「そう?俺にはこの特性の有用性が感じられないんだけど。」


 愛音のいうとおり、不満はある。


「ザアイ。戦士として鍛えてきて、それで生きていくコアやジーファたちとは違って、私たちはそこまでの鍛錬も覚悟もない三流の戦士。戦いの中で生きている相手に油断してくれるのは私たちとってはすっごい有利なのよ。」


 言いたいことはなんとなくわかる。隙を見せてくれるのはありがたい。


「あと。私たちの前に立つザアイはカッコいい。」


「ええ。震えを堪えて勇気いっぱいの姿に目がいってしまうわねえ。才華、」


「背中が大きく見えるよ。」


 ・・・・・・・本気?って思うし、煽てだてのもわかっている。が悪い気分ではない。そう思ってしまう俺はチョロイか?チョロイよな。


「で、具体的な流れは?」




「うおおおおおおおおお」


 俺は盾を構えて森を抜けた。


 その先は開けた場所であり、あの大鎌は周囲を気にせず振るうことはできるか。それだけじゃあないにしろ、あの周囲を木々に挟まれた街道よりは戦いやすいか?


 あれは洞窟の入り口かな?じゃなくて今確認するべきなのはスタッフの子。

 

 その子は洞口お入口近くに横わたっている。気絶しているのか?変に騒ぎ立てない分、都合がいいか。ミティとレイダーはその前にいるか、あれをかいくぐるのは俺にはきびしい。ん?あと1人は・・・・影。上か!顔を上げるとそこには狂喜の笑み。


「来た来た。逃げずにきたああああ。その褒美にさよならああああ!」


 満面の笑みのフォトゥが両手で持った大鎌を振り下ろしてきた。あ、狙いは俺だね。これ。


「誘ってきたんだから、少しは楽しましょう・・・・よ!なんてね。」


 愛音が刀で大鎌を受け止め払う。フォトゥは焦ることなく着地。2人はニイにっと口角をあげた。これでとりあえず、フォトゥは足止め。あと2人。


「エルージュ!才華!」


 愛音の叫びとともにエルージュは上空から降下し、ミティたちの前に炎を吐き出す。これは完全に牽制、目くらまし。


 さらに炎の中に術式が展開される。


「呼ばれて飛び出て、さいかちゃーん。」


 才華は木のてっぺんから飛び出て炎を2人めがけて放つ。これにより、スタッフの子からミティたちが距離をあけさせる予定。どうだ?炎で俺からは見えん。


「あ、そう来る。」


 才華がそう愚痴た。なにか想定外があったのか。! 炎を抜けてなにかが才華に迫る。なんだ?


 鉄球だ。それもマアカのより4~5倍の大きさがある鉄球。空中からの自由落下だからよけれないのか。やばい。おそらくレイダーか。それでここにまで俺達を誘導したのか。


 才華は目の前に氷塊をつくり、それを押して鉄球の軌道から避ける。さらに氷塊をレイダーのいる方に放つ。


「鉄球には鉄球を。せええい。さらにっと。」


 才華に続いて飛び降りてきたマアカが鉄球を投げつける。最初の立ち位置からしてミティのほうへだ。さらに先ほど仕掛けた展開させた術式を発動させる。同時にクロスティも森を抜けスタッフの子を目指す。


「おお?おふっ。」


「運が悪いわね。」


 愛音と打ち合っていたフォトゥは片足の地面が浮き上がりバランスを崩す。その隙を逃さず、腹部に蹴りを入れる愛音。これによりフォトゥは後方へ飛ばされる。あ。


「うげ!」


 また、間が悪く浮かんだブロックが顔面に当たった。


 フォトゥの足元だけではなく、何か所も地面の土が立方体というよりブロックが浮かんでいく。これがマアカの魔法の効果だ。


 炎が消え周囲の状況が確認できる。マアカはブロックの間をすり抜けるようにミティに向かって再度鉄球を投げ、クロスティはスタッフの子の横に位置し、唸り声をあげレイダーを睨んでいる。


 予定通り、スタッフの子もそのブロックによって浮かび上がっている。


「才華!」


「いくよ!クロスティ、エルージュ!」


 着地と同時に才華のなぎなたの穂先に術式が展開され、ブロックが集まってくる。エルージュは炎をレイダーに向かって放ち、クロスティも右腕に飛びかかる。マアカは3度目の鉄球なげ。


 ブロックからスタッフの子も落ちずに目の前まで来た。俺はスタッフの子を抱え、森まで下がり、木にもたれかかせる。とりあえず、生きてはいる。これでスタッフの保護はできた。


「仕切りなおすよ。」


「ええ。エルージュ、クロスティ、おいで。」


「OK。ザアイ、その子は?」


「ぱっとみ外傷なし。」


「なら、クロスティ、エルージュよろしくね。」


 俺の前に才華、愛音、マアカが立ち並ぶ。クロスティはスタッフの子の前、エルージュはその子のもたれかかっている木の枝にとまった。


 さあ、才華のいう通り仕切り直しだ。ただ、ミティたちは今のやりとりに動じていないのも気にはなる。

A 才華の自宅でケーキなどの料理の8割を手作りし、サンタコスを堪能し、クリスマスっぽいプレゼントを交換しあい、『ポケ戦』・『ゲキピュアクリスマス回特選』を見終えるまで終わらない。

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