温泉は気持ちいい。
表に出ないはずの黒歴史設定
Q 愛音の超音波振動の魔法をどこから思いついた?
「ふう。」
日もだいぶ傾いた時間になって、やっと待望の温泉に入れた。2時間前にはここを服を着て歩いていたが、今はタオル1枚のみ。今の状況なら・・・・タオルもいらないな。なんちゃって
のんびりしにきたはずが、ドラゴン退治からの魔女との戦闘と慌ただしい1日だった。
貸し切りなのでこの場に1人でぼけーっと空を見上げる。落ち着かないような、落ち着くような。気持ちいい。
明日には観光客で賑わう本来の風景になる。瞼を閉じそれをイメージする。そうなるところで1人いるなんて贅沢すぎるか。・・・・・今日は、もうないだろうこの機会を存分に堪能させてもらおう。
「・・・・・ねえ。」
「・・・・だよ。」
「・・・だわ。」
1人で温まっていると話声が聞こえる。その声のほうに顔を向け、閉じてた瞼を開ける。
「どう気持ちいい?」
タオルで前を隠しながら愛音。気持ちいいよ。よすぎて声にでないけど。
「よく逃げなかったわね。褒美をくれてあげる。」
髪で胸を隠しているマアカ。髪ブラの直視は初めてだよ。
「ドラゴン、魔女の次はスケベか。かかってこいやああ。」
赤い髪をなびかせて、才華が片手片足を上げて戦闘ポーズをとる。湯気で見えないけど、タオルで隠すくらいせよ。あとテンションあげすぎ。
「・・・・・・・。」
俺達が今いる場所は混浴。この露天風呂には混浴の場所があるのだ。むしろ、この露天風呂の8割が混浴なのだ。あとは男女で1割。種族の垣根、男女の垣根、年齢の垣根を超えて楽しむとういのがこの温泉の趣旨だそうで。
ドラゴンたちがいたのもこの混浴で、最奥で最も広い場所にランタースさんがドラゴンの姿で湯につかっていたらしい。
温泉に入れる状況になり、ここで待ち合わせと俺は命令された。そう命令されたんだ。全裸の女性を前にするのに悩んで逃げるなよとも言われた。
だから逃げずに俺はここにいる。生まれたままの姿にタオル1枚の3人を前にしても逃げないでここにいる。
「意外!それは動じない在人ッ!この姿を見ても動じないなんて。パヴォロスに来たときは慌てていたのに。」
そうですね。才華。
「見つめあうなり触れあうなりの関係になったからねえ。在人も成長したのよ。」
・・・・・・・・そうですね。愛音。
「あ、ちょっと動じたな。ザアイ。」
「ああ、動じるから。前を隠せよ、才華。上も隠せよマアカ。」
「やーん。在人のエッチ」
才華は手には持っていたタオルを投げてきた。なぜそうなる。てか魔法で凍らせたな。あぶな!
「隠してるじゃない。」
自らの髪をなでるマアカ。隠しているといえば、そうだけど。隠れていないといえば隠れていない。
「まあ。今日くらいいいじゃない。」
愛音はにこにこしている。止めてくれよ。
「はあ。なら今はともかく、明日は他の客がいるんだから、ちゃんと隠せよ。」
今のうちに釘をさす、いや杭をうっとく。正直、明日もこの格好でいられるのは・・・・正直色々と困る。
「ざーいと。私たちの体に隠すような恥ずかしい部位はないよ。知っているだろう。」
「見よ、ザアイ。この三者三様のプロポーション。」
「私も見る?」
愛音も腕を広げた。・・・・・・・確かにね、いいもんですよ。はい。そういう部分はあるよ。でもね、理性とか常識はあるよ。放っておいてこのことが良子さんの耳に入ってみろ、俺が殺される。
「・・・・・それを見る権利を俺が独占したい、ってわけ。第三者に見られても3人は気にも留めないんだろけど、俺が穏やかでないの。見るのも触れるのも俺だけでいたいわけ。温泉効果でプラスされた色気も俺だけが楽しみたいわけ。」
照れて動きが固まった3人をじっと見つめる。顔を。あくまで今見てるのは顔だ。たまに目が重力に逆らえないのは勘弁してくれ。
「あら、やだ。恋人の愛音さん。ガールフレンドのマアカさん聞いた?彼女の私を含めて、私たちを独占したいって。在人のくせに。」
すいませんね、在人で。
「ええ。婚約者の才華さん。フィアンセのマアカさん。許嫁の私も含めて、この姿をじっと見ていたのね。強欲ねえ。」
ええ。そうですよ。強欲ですよ。
「嫁の才華さん。妻の愛音さん。ワイフの私を含めたハーレムを楽しみたいってことネー。」
ええ。そうですよ。あとなんか語尾の発音おかしくなかった?
「仕方ないなー。明日はタオルで隠すかー。」
「そうねえ。在人のためにはそれがいいわねえ。」
「温泉効果つきのこの姿はザアイだけにみてもらいましょうか。」
このしゃべり方はそれなりに照れてるな。まあ、これで明日の心配はなくなった。
「そういうこと。わかってくれたところで入りなよ。」
「たいああ!ゲキピュアミニジャンプ!」
誰もいないことをいいことに温泉に飛び込む才華。温泉が顔にかかった。ピュア・ザ・武道の「たいああ!」までまねてジャンプしている。
「なら私は!座ったままの姿勢!膝だけであんな跳躍を!」
マアカは正座をして、その態勢で才華より高く飛び上がる。そのままだな。才華以上にはねたお湯が頭にかかる。魔力のおかげであの高さで飛べるらしい。魔力も波紋みたいに使えるとは才華の弁。いいなあ。
「もう、そいうのも今日だけにしてよ、2人とも。」
いつの間にやら俺の隣にいた愛音。髪が濡れたがその効果はテキメンだ。そして肌が触れ合うほどの隣にいる。
「うーん。」
「はあああ。」
「ああ。」
3人ともまったりした表情で気の抜けた声をだす。
「こりゃ、独占したくなるわ」
「そうねえ。」
「シクに感謝しなきゃねえ。ザアイ。」
「そうだねえ。」
4人でまったりすることができる。シクにはお土産買ってかないとなあ。
「ドラゴンがいるからどうなるかと思ったけど、結果オーライ。」
「そうね。少し回り道をしたけど、そのおかげで最上級の部屋にお食事、温泉の貸し切りだもんねえ。」
「才華の誤射の件でどうなるかと思ったけど、ランタースさんの器が大きくてよかったねえ。ねえ、ザアイ。」
「そうだねえ、マアカ。」
被疑者才華の自白であの話し合いはどうなるか気が気でなかった。
「てめえだったのかああ。こんのお。」
当然の如くバストンは烈火のように怒り出すが、冷静でいたランタースさんの
「バストン・・・・・黙れ。」
この一言で固まった。今までよりも重い威圧感だった。めっちゃ怖いんですけど。
「まずは経緯を聞いてからだ。なにがあったんだ」
「ミタキの街でアラクネル退治の一環。」
才華はアラクネルの件について説明する。あとランタースさんたちは才華と愛音の魔力感知の範囲外にいることも確認した。
「ふむ、なら仕方ないか」
「兄貴、こんな話を信じるんですか?嘘に決まってる!」
「そうなら、俺達はとっくに死んでいる。垣間見たあの魔女との戦いからそうなるぞ。」
ランタースさんの言葉にバストンが口がふさがる。
「・・・・そうですね。仮に私たちがランタースさんたちを狙っていたら、その場で追撃もしますし、ここで見つけた段階で討伐していますね。このような話し合いにはならないと思います。」
愛音が静かに告げる。怖えよ、おい。だがそれを否定はしない。やるときめた時はやる。第3部主人公と同じタイプの愛音と才華だからそうなっている。今のマアカもそうだろう。
「となるね。」
「でしょうね。」
才華とマアカも同意している。
「だそうだ。だから、俺達は運が悪かったってことだ。俺が自衛のため、ブレスを吐いて全く意図していない運の悪い第三者が傷ついた。よくあることだ。この件もこれで終わるぞ。」
これで話し合いは終了したあっさり納得してくれたのは助かったが、よくあることか。気をつけよ。・・・・・・気をつけてなんとかなるか?
「ま、今は温泉の独占を楽しもうよ。そして、この旅行を楽しもう。それがシクのためだからね。」
「そうね。今度はシクたちにも楽しんでほしいわねえ。」
「愛音の言うとおりだあね。それにしても、異世界で温泉に入れるって、この世界にきたときは考えもしなかったわ。」
「マアカに同じく。こういうのがあって、こういうのを楽しめる生活でよかったよ。」
ここから、半身浴、寝湯、サウナなど一通りを巡り、その後、夕食を楽しんだ。さらにその後、夜の温泉を堪能し、さらにさらにその後、3人と一緒に堪能した。
A 才華 あの動きはピュアシィヴァルリィの大技『雪月花流し』の第一劇からだね。
剣を収めるところからなんてまさしくそう。
愛音 ふふっ。