魔女とドラゴン
表に出ないはずの黒歴史設定
Q 才華がゲキピュアシリーズが好きな理由は?
・・・・・話を進めよう。
「で、ローネはどうする」
死んではいないようだが。
「まずは無力にしてかな。」
「どうやって?」
いうのは簡単だが、魔法のあるこの世界じゃ、ロープでぐるぐる巻きしたって抵抗はできる。関節はずか?
「こうやって。」
俺の質問に才華はローネのほうに振り替える。氷柱にちょんと足を触れると氷柱は溶けて、ローネは顔面からグシャリと地面に落下する。おいおい。聞こえていいはずのない音が聞こえた気がする。
「あ、うん。」
乱暴な扱いなんて気にせず才華は口を開け閉めする。これって食べたってことだよな。
「なにを食べたので?」
「魔女に関する情報を全部。これでこの場にいる魔女は私1人。ちなみに味はうす塩よりさらに薄い塩。」
ローネの髪の色が碧くなっていく。先端部分だけが赤いのみだ。あらら、これは目で才華の言葉の意味を実感することになる。
「あらら」
「それより、才華のほうは?」
「ん。もう1人くらい、確かめてからかな。マアカ」
「そうね。そっちのほうがいいと思うわ。」
才華のほう?また、俺をのけものにした話を3人はしている。雰囲気から聞いても答えてくれないようにみえるので、聞かないが。
「あとは関節を外せば、もうこいつは無力かなっと、意外とお早い目覚めで」
地面に落下した衝撃でで意識を取り戻したのか?ズタボロの体を震わせながら、才華を睨んでいるローネ。鼻血がいたいたしい。
「はあ。はあ。殺す。殺してやる。」
「その体でまだやるの?」
体を起こそうとするも、ダメージで立ち上がれないローネ。そのローネを見下ろす才華。
「私は食うんだ。おなか一杯、おいしいものをこれからも。こんなところで!」
底知れぬ執念を感じる。食べ物の恨みは恐ろしい?だが才華はひょうひょうとしている。
「もう、魔女じゃなくても?」
「はああ?」
「自分の髪を見てみろよ。まあ、髪じゃなくてもいいけど」」
「・・・・え・・・・・」
才華の言葉に自分の碧い髪を見たローネ。一瞬で絶望にみちた顔となる。それを悪意で満ちた顔で見守る才華。ここからこの状況を見る人物がいたら、どう考えても才華が悪人と思うだろうな。
「どう現実を理解した?先端だけ赤いのは残りカスかな?」
「嘘・・・・・、嘘だ。嘘。嘘。嘘。」
混乱しているローネ。
「なら、私がなにを考えているか読んでみなよ。ほらほら。」
才華の挑発に、ローネはキッと才華に睨む。だが、読めないことをその表情が物語った。ローネは愛音、マアカ、俺と対象を変えるが、表情は変わらない。
「嫌だ。嫌だ。私はまだ足りない。やっと。やっと。ここでなんて。終わってたまるか!」
首を横に振り現実を追い払おうとするローネ。子供のように駄々をこねているが、現実は変わらない。
「まあ、それを決めるのは私じゃないんだよね。」
「ここで終わりだ。」
才華の声と渋い声が重なると同時に、俺達は大きな影に覆われる。
渋い声は俺達のものではない。声の聞こえたのは上空であり、見上げるとそこには灰色のドラゴン。「兄貴」と呼ばれたもう1頭のほうか。
「ザアイ、離れるわよ。」
あっけにとられていた俺をマアカが引っ張る。3人は驚いていないので、ローネのときとは違いドラゴンが来ていることを察していたのか。 俺達はローネから離れ、ドラゴンはローネの目前に静かに着地。
2本の角と2本の尾を持つドラゴンの体はところどころに火傷?のような負傷があり、血も垂れている。これはローネの仕業なのか?大きさは青色のドラゴンより一回り小さいが、感じる威圧感はこちらのほうが強い。
ドラゴンはチラリと目線をこっちに向けたがすぐにローネのほうへ戻す。
ボロボロなローネと負傷のあるドラゴンはにらみ合うがそれもわずかだった。
「くそっ・・・・・・」
「少し見ない間に、ボロボロで髪も碧くなったが顔と匂いは覚えている。お前が俺達や彼らに戦いに挑んだ末の結果だ。」
ドラゴンは右手でローネの頭を掴んで、持ち上げる。互いの血が地面に滴る。
「私は、私はここで終わってたまるか。やっと自由になれたのに」
「その自由の中で、選んだ道の終着点がここだ。落とし前はつけてもらうぞ。」
ドラゴンはローネを空中にぶんなげ、口を開き翼をひろげる。翼を羽ばたかせると同時に口から、放たれたのは竜巻。
「「真空殲風衝!!」」
才華とマアカの叫びが重なる。異常な回転をする竜巻は、温泉に漂う熱気を吹き飛ばしながら、ローネに向かっていく。
ローネは手を前に伸ばそうとしているが、ズタボロの体はその動きを実行できることはなかった。そこまでしかローネの姿は確認できなかった。
「ち・・ちくしょおおおおおおおおおおおお!!」
ローネの体と叫びは竜巻に飲まれて消えていった。
竜巻に飲み込まれ、ローネの体は雲散霧消。血の雨が降るのかと思ったが、それすらない。すべて吹き飛んだのか、それとも目で認識できないくらいに削られたのか。こわっ。
ドラゴンの静寂だが重い威圧感の前に俺はローネの死を見ていることしかできなかった。才華と愛音は経験したことがあるから人は平然としている。マアカは大丈夫なのか?と思ったとき、マアカは俺の服をそっとつかんできた。マアカの手に俺の手を添える。
目の前にドラゴンがいるこの状況だから、マアカのほうを振り返る余裕は俺にはない。だからといって放っておくこともできないので、これぐらいだけでもするしかない。
「さてと・・・・・」
ドラゴンはこちらへ向きを変える。
「あの魔女との件は片がついたが、次はもう1人の魔女たちの番か。君たちはどのような要件なのかな?」
警戒は説いていないようだ。まあ、魔女に襲われたせいか、警戒はするよな。それにどこから、俺達・・・・才華とローネの戦いを見たのか知らないが、一方的に打ち負かしたから、余計に警戒するか。
才華は1歩前へでる。ドラゴンの威圧感なんてどこ吹く風といわんばかりに平然としている。
「私たちは温泉の独占をやめにもらいにきたんだよね。」
「独占?」
灰色のドラゴンが首を傾げる。
「あんたの実弟?弟分?の青いドラゴンが、他の客を追い払ったり、温泉の従業員を近づかせない。そのせいで困ってる人がたくさんいるんだよね。私たちもせっかく温泉旅行にきたけど、旅行が冒険状態になっているのよ。」
「待て待て、バストンからはこの温泉の一部を貸し切ってもらっていると聞いているんだが。」
バストンってのが青色のドラゴンのことだよな。そして、貸し切りって、なにやら話が変だ。俺達とドラゴンの間になんとも言えない空気が流れ、皆の視線が気絶している青いドラゴンへ。
「済まない、負傷していたせいか、バストンの言葉を鵜呑みしていた。」
ドラゴンが申し訳なさそうにして頭を下げる。バストンと呼ばれたドラゴンより話が通じそうだ。
「・・・・・とりあえず、治療した後、旅館で話し合い・・・の方向でいいです?」
「ああ。それで。」
俺の要求にドラゴンは威圧感を消し話し合いに応じた。・・・・アクシデントはあったが、当初の目的は解決に向かいそうで、一安心する。
「人間型に変化できる?ええっと、」
「名はランタース。変化は俺もバストンも問題ない。」
マアカの質問に変化しながら答えるランタース。
「ワオ。才華、愛音。」
「こういう人なんだよなああ。」
「そうね。こういう人ね。」
人型になったランタースに3人の目の色が変わる。
190近くはあるガタイにオールバックの灰色の髪。渋い声が出てくる顔はさわやかではないが、芯の強さと兄貴分をにじませている。結論カッコいいほうにいるドラゴンだったのだ。
「こういう雰囲気が良子には必要なんだよ。在人」
「ですか。」
そうですか。まあ、わからないでもない。確かに頼りになりそうな見た目である。でも、それはあとで。
「はいはい。わかったから、才華はあっちのバストンってほうの治療、愛音はランタースさんのほうを診てあげて。マアカは俺と一緒に旅館に説明に行くよ。」
顔の良さに目はいくが、ランタースさんの人間の姿でも火傷や負傷のあとは痛々しい。涼しい顔でいるのが放っておくにはいくまい。
「むう、了解」
「わかったわ。」
「OK、ザアイ。」
「ランタースさんもまずは簡単にでも治療を受けてください。」
「感謝する。」
ランタースさんは片膝をついた。ギリギリだったのだろうか。愛音は慌てては治療を開始し、才華も
バストンのもとへ移動し治療を始めた。
「私たちも行きましょう、ザアイ。」
「あ、うん。2人とも治療よろしく。」
マアカが歩き出したので、俺もついていく。
ドラゴンこと、ランタースさんとバストンのほうも無事解決しそうなので一安心。・・・・・って思ったが、旅館の人々はこの話し合いに応じてくれるのか?ドラゴンは魔物の分類。共存できるとはいえ、今までの状況から、簡単にいくか?俺ならすぐに応じれる気がしない。
これからの話し合いのことも不安になったが、それ以上に俺が気になるのはマアカ。歩く様子や顔からは異変は見当たらない。
「そんなに私のこと心配?」
マアカは俺の気になることは理解しているようだ。
「まだなにも言ってないけど、そうなる。愛音や才華、俺はちょっとだけ経験あるけど、マアカは初めてだろ。」
目の前で人が殺される。目の前で人が死ぬ。今回は直接手をかけたわけではないが、見殺しにしている。あの3人であの状況ならローネを助けることはできただろう。でも3人はそれをしなかった。
ローネの自業自得といえばそれまでだが。・・・・・ローネのこと自体は考えないようにしよう
俺、才華、愛音は殺す側のなった経験があるから、ある意味慣れている。慣れていいのかはわからんが。だがマアカは初めての経験だ。
歩みを止めて寄りかかってきたマアカ。わずかだが震えを感じたので、反射的に抱きしめていた。2人のときと同じように。
「2人だって乗り越えてるんだから、私も乗り越える。だから、2人のときみたくみたく・・・・」
マアカは顔を胸にうずめた。・・・・・・ん?2人のときみたく?この世界での出来事の大まかな話はしているが、このような状況については端折ったはず。
「・・・・知ってると。」
「そのときの話は2人から聞いてる。だから、同じ領域に踏みこむ覚悟もあった。」
俺の質問の意図に即答するマアカ。
「ですか。わかった。」
まあ、状況的に拒絶することはしない。
「ではよろしく。」
・・・・2、3分経ち、マアカの震えもなくなったがマアカは離れない。
「・・・・・ぼちぼちいきませんか」
「うーん。あっちは慣れたけど、こっちはもう少しこのままで。」
・・・・・気持ちの整理はついたけど、この状況はまだ堪能していたいと。
「じゃあ、これで一旦終了。」
「ふにゃあ」
ギュっと力を入れて抱きしめると驚いたのか力が抜けていく。おいおい。
「よおし、行こう、ザアイ。」
約1分後、満足し離れたマアカと歩きだす。見た感じ、元気百パーセント中の百パーントだ。
支配人のじいさんに状況を説明すると、念のため俺達も立ち会うことで了解してくれた。立ち合いこそ求めたが、肝が据わっていることで。
A才華「よくぞ聞いた!まず結論をいうと『人生の大切なことすべてが詰まっている。』これだよ。私は心と体でそう感じている。~」
以上、文字数が足りないので割愛。