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温泉回の基準とは

表にでないはずの黒歴史設定


Q 好きな手刀は?

 運び屋のドラゴン、自称お気楽人情派のタダノリさんの背に揺られて、目的地「カンアの湖」に到着。


「それじゃあ、3日間楽しんでくだせえ。」


 ドラゴンの発着地に俺らを降ろすとタダノリさんはササッといってしまった。


 目的地であるカンアの湖。 湖の真ん中には島がある。湖に背を向けると観光地らしい店がずらりと並んでいる。そして、その奥には温泉の湯気かな?煙が上がっているのが見える。硫黄の匂いもしているのがわかる。うーん温泉だ。うん。


 人もちらほらいるが、・・・・・?なんか空気が重く感じる?・・・・・俺が美人3人といるから、周囲の嫉妬・・・・それはないか。で美人の3人ははしゃぐことなく同じ方向を見ている。えーっとあの視線の先には旅館がある。意識はもっと先に行ってるとですか。


「お嬢ちゃんたち観光客?それともその恰好だから登録者かい?」


 初老の男性がこちらに話しかけてきた。「街の中はともかくどんな移動時でも武器は持っていきなさい」と教わったので俺達の恰好は普段クエスト挑むときと同じ格好をしている。


「観光客です。運よく旅行券があたりましたので。カンアの大露天風呂を堪能しにきました。」


 マアカが愛想よく答える。カンアの湖の名所の1つが 複数の宿泊施設で共同管理している3つの大露天風呂。 


 湖にある島にある、子供のいる家族向け、賑やかな「雪」

 現在俺達がいる、友人たちで行くに穏やかな「月」

 雪と月で三角を描く地点にあり、男と女が往く鮮やか「花」


 今回の宿泊先の『リクのリュウグウ』も大露天風呂の1つ「月」を管理している。


 だがじいさんは困り果てた顔となってしまう。なんだ?


「そうかい。残念だが、今すぐ帰るか、雪か・・・・・お嬢ちゃんたちなら花に行ったほうがいいのう。今は月の露天風呂に入ることはできんのじゃ。」


 温泉地で温泉に入れないってどういう事態?それと花って。ただ、じいさんの言葉に反応しない3人。


「おじいさん、ここでなにがあったんです?」


「3日前から、大露天風呂を2頭のドラゴンが占拠してしまったのじゃ。」


 愛音の質問にじいさんが答える。ですかー。ここでドラゴンですかー。しかも2頭ですか。ドラゴンも来るほど有名なのですか。占拠するほどいい湯だなですか。


「1頭のドラゴンは湯につかっているだけなんじゃが、もう1頭は入ろうとした者を追い出す状況での。」


「だから、大きい魔力が2つあるのね。」


 愛音が旅館の方向を見る。さきほど3人が旅館の方向を見ていたのは、魔力に感づいていたからか。


「偶然いた登録者とか冒険者が退治するって名乗ったりはしなかったの?オレにまかせろって感じで」


 確かにマアカの言うとおりだ。この世界にならその手の人物はいっぱいのはず。


「何名かいたんだが追い返されてのお。」


 ですかー。ドラゴン退治となるとそう簡単にはいかないか。


「追い返されただけ?」


「そうじゃの」


 生きてるだけ運がいいというべきか。俺なら死んでる。うん。


「温泉に入れない以外に被害はどうなの?負傷者とかは?」


 才華は町並みを見回す。


「幸運にも今のところはないのお。赤髪のお嬢ちゃん?」


「うーん。見える範囲で建物に被害はないのが不思議でさあ。知識のドラゴンや私達の友人のドラゴンのイメージから、もっと周囲に被害があるんじゃないかなあって。」


 友人のドラゴンってターロホさんだよね。脳内に浮かぶターロホさん。・・・・・フォローしたいが僕にはできない。すいません、ターロホさん。そして、同じ笑顔の沙緒里さん。


「戦ってくれた人には申し訳ないけど、そこまでの力を出す必要がなかったとか?」


 そこまで実力差があるということ?愛音?


「近距離パワー型とか?」


 言いたいことはわかるけど、マアカよ。


「まあ、考えたって仕方ないか。でじいちゃん。街としては今、どう動いているの?あとドラゴンは温泉を陣取っている以外に動きは?」


「ドラゴンは追い払うか温泉に入る以外には今のところ動きはないのう。街は、観光客は退避してもらって、あとは昨日、討伐の依頼を出したところ。まあ、ドラゴン2頭を相手できるとなると限られるから来るにも時間はかかるじゃろう。」


「ふうん。ちなみにね。もしドラゴンがいなくなったら、温泉には入れる?」


「どんなときでも温泉をというのがこの街『カンア』のモットーだから浴場は相当な戦闘にも耐えれる設備となっておる。だから、清掃さえ終わればその日のうちには入れると思うのう。」


「『リクのシュウグウ』にも泊まれる?」


「旅館事態は浴場よりはもろいから、戦闘の被害しだいじゃのう。」


 宿泊施設より入浴環境のほうが頑丈なのか。


「ふうん。私たち次第か。」


 右手を顎に当てる才華。・・・・・・・ん?私たち?


「そういうことね。」


 肩を回し始める愛音。なんの準備ですか?


「ドラゴンスレイヤーの称号ってもらえるかしら?」


 ハンマーの鉄球を包んでいるカバーを外すマアカ。ドラゴンスレイヤー?竜殺し?


「えーっと。3人はどうするつもりで?」


「お嬢ちゃんたち?」


 俺とじいさんは首を掲げる。。それに対して3人は


「温泉入るためにドラコン退治。ねえ、愛音、マアカ」


「そうね。温泉には入りたいわね。それに街の人も困っているしね。」


「そういこと。温泉に来た以上、ザアイと混浴してから帰るのは当たり前でしょ。」


 さも当然に答える。・・・・・温泉が戦う理由の1位なのは3人らしいけど。




「お、お嬢ちゃんがた、命を粗末にしてはいかんよ。」


 慌てて止めに入るじいさん。


「じいちゃん。女には戦わなきゃいけないときがあるの。止めても無駄だから。じいちゃんはここでドラゴン討伐後に必要な手続きをしといて。」


 ビシッと親指を立てる才華


「おじいさん。私たちで解決できたからそれでラッキーと思っておけばいいんですよ。」


 笑顔を見せる愛音


「おじいさま。私たちだって登録者の端くれ。やるべきことはやってみなきゃいけないんです。それにやりたいこともあるし。やりたいこともあるし。やりたいこともあるし。」


 不適に笑うマアカ。


「・・・・・・お嬢ちゃんたち。そこまで」


 ・・・・・じいさんは感動しているようだ。ええーーーーーー。


「お嬢ちゃんたちがそこまで言うなら、わしは『リクのシュウグウ』の支配人としてやれることをしとくとするかのう。先に旅館で待っているよ。」


 支配人だったんかい。じいさんこと支配人は旅館のほうに歩いて行った。3人は気づいていたのか?


「よーし、マアカ、愛音、行ってみよう。」


「やってみよう。」


「やあああってやるぜ。」


 3人とも腕を掲げる。そして、マアカ、それは以前、才華がやった。


「ちょっ、ちょい待ち」


 だが動き出そうとする3人を慌てて止める。早い、展開が早い。


「おいおいおい。在人、ここで士気を下げるようなこといっちゃう?」


「いやいや。本気で倒しにいくの?」


「うーん。状況を鑑みてまずは交渉かな。それで終わるなら一番楽。それで駄目なら戦って勝つ。勝利の美酒を温泉で味わう。勝利の褒美をお布団で味わうだね。」


 才華はものほしそうに俺を見つめる。才華の中ではそこまで計画されているのかい。


「いやいや、ドラゴンだよ。無事でいられる保証なんてないだろ。しかも2頭。」


 殺し屋のときにもドラゴンの死体はいたが、あのときはキャノさんたちが倒したから、俺たちはにとっては未知数の相手だ。


「それを言うと蜘蛛女、殺し屋たちとの闘いもそうよね。数でいったらそのときのほうが多いわよね」


「確かに愛音の言うとおりだけど、そのときはイナルタさんの応援あったりやキャノさんたちが同行してたでしょ。」


 今でも俺達だけだったら。どうなっていたかを考えるときがある。そして、少なくとも俺の死亡は確定している。


「なら、ザアイはこの状況を見捨てるわけ?それにこのまま私たちが帰ったらこのことは必ずシクにばれる。そしたら、シクがどんな顔をするかはわかるでしょ。嘘をついてもそれはどこかでばれる。」


 ぐっ。見捨てるのは心苦しいところはある。それにシクはお礼のつもりが災難にあわせたと思い、おちこんでしまう。


「だから、ちゃちゃっと解決して、夜には温泉を楽しむ。それがシクの笑顔にもつながる。ね?」


 マアカのウィンク。うーん。そう言われるとそうするしかないが。


「すでに登録者たちが敗北している状況なんだから。俺達だけって不安が尽きない。」


「それはいつものことでしょ。心配してくれのはうれしいけど、信じてほしいという思いもあるわ。」


 愛音がほほ笑む。その自信はどこから出てくるんだ。


「どんな形であれ私と愛音は蜘蛛女、殺し屋との闘いを切り抜けた。そして、今はマアカもいる。」


 闘いを切り抜けたことが自信の1つか。やるしかないか。


「はあ。蜘蛛女、殺し屋たちに続いてドラゴンか。異世界ものでこんなに連続で戦闘って起きる?」


 戦いの間の休みが短く感じる。それなりに日数はあるはずなんだけどなあ。異世界のんびり系がいいんだけど。


「のんびり異世界ものがいいってザアイは思っているかもしれないけどこれは厳しい現実。それに禍は間髪入れずやってくるっって、お目付け役も言ってたわ。」


 マアカ、それって超人に対してだろ。俺達は人間。まあいいや。思考を先に進めよう。


「ドラゴン相手になんか策はあるの?」


「理想はブレスを防ぐ。毒を穿って物理防御無効の効果を消す。すかさず凍らす。粉砕する。以上」


「はい?」


 才華の回答に俺の声が裏返った。どゆこと?


「ドラゴンスレイヤーを実践した蠍と水瓶の戦い方ね」


「そう。マアカのいう通り。」


 マアカが答えて才華が肯く。ですか・・・・・?


「つまり、在人の盾でブレスを防ぐ。才華が毒をうって物理攻撃が効くようにする。私が全身を凍らす。マアカがハンマーで粉砕する。ね。」


「そう。愛音のいう通り。」


 「そう。」じゃないって、俺だけ置いてけぼりだよ。


「上手くいくと?」


 俺にはそんなイメージは浮かばない。


「さあ?1頭がどう動くかは全く未知数だからなんとも言えない。」


「あくまで理想ね。」


「どうなっても全力でやるだけよ。」


 3人とも肝が据わっているというか、淡々としているべきか。


「なら、情報集めて、旅館で念入りに準備して、挑もうか。ただ、分かってると思うけど。」


「一目で実力差を感じたら、作戦中止。」


 そうだね、才華。ドラゴンだしね。・・・・・ドラゴンって言葉にビビりすぎかな、俺?


「手に負えないなら逃げる。逃げ切れるかわからないけど。」


 そこの不安はつきないよね、愛音。今のところ、人を追い出すだけだが、どうなるやら。


「温泉や街に被害をないように戦う。ブレス次第かな?」


 そういうこと、マアカ。俺だって温泉は楽しみだったんだ。


 ・・・・・・はあ。おかっしいなあ。こんなはずじゃあないんだけどなあ。

 

 「3日前、次回温泉回って話だったのになあ。話がちがうよなあ。」


 つい愚痴ってしまい、3人の目線があつまる。俺だって温泉は好きなんだよ。


「ふっ。そんな在人のためにちゃんと温泉回らしい考えはある!」


「それは?」


 才華の不敵な笑み。うーん、いい予感はしない。


「まず服を着て温泉にはいるのはマナー違反。これはOK?」


「あ、うん。」


「なので私たちは右手に武器、足にはガルララブーツ。そう裸ブーツで戦いに挑む!温泉で裸、それこそ温泉回」


「・・・・・・・裸ブーツ?」


 ドヤ顔をする才華。どこから突っ込むべきなのだ?


「さあ、イメージしろ!私たちのあられのない姿を!脳内での湯気も光も海苔もすべて消せい。」


「・・・・・・・」


 ここ最近の関係から、否応なしにそのイメージはできてしまう。痴女だよ。


「ほら、のぞき犯に投げるための風呂桶が各自の武器になった以外、温泉回に近づいたろ。」


 そういわれればそうかもしれないが。


「・・・・・ブーツの意味は?」


「足の怪我は戦いに響くからねえ。あとは脱ぐシーンの1つくらいあったほうが興奮するだろ。」


 片足で立ちブーツを脱ぐしぐさをとる才華。しゃがんでブーツを脱ぐ仕草をする愛音。椅子に座ってブーツを脱ぐ仕草をするマアカ。


「・・・・・火炎のブレスや爪が痛そうなので却下。」


「やれやれ。せっかく在人の望みを叶えようとしたのに」


 俺がわがままを言っているような言い方だな。


「痴女のいる温泉回じゃあないんだよ。ドラゴンのいる温泉回じゃあないんだよ。ゆったりとした温泉回なんだよ。俺が望んでいるのは。」


 ポロリのある温泉回じゃなかったのかよ。ドラゴンの肌が見たいわけじゃないんだよ。ドラゴンも温泉回の基準を考えてくれよ。こんな温泉回はやだなあ。ってか温泉回の基準ってなんだ?誰か教えてくれよ。 


「それじゃあ、在人の望むポロリのある温泉回のため、ひと汗かきますか。」


 心を読むなよ、才華。そして、誘うようにおへそを見せない


「ドラゴンの後に私たちの肌を見せれるようにしましょう。在人のために。」


 心を読むなよ、愛音。そして、色っぽくうなじを見せない。


「ザアイ、少し頑張れば、これぞ、温泉回の基準ってものを見せてあげる。」


 心を読むなよ、マアカ。そして、危なく胸元をちらつかせない。


「・・・・ですか。頑張ろう。」


 心を読まれることは複雑だが、3人のやる気による実力のプラス補正は十分期待できる。












A 才華  ベルリンの赤い雨

  愛音  エクスカリバー

マアカ カラミティエンド


在人「この技の出番のないことを祈ります」

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