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稽古

「マアカ・イゾ・マーラウト。みんな、これからよろしくね。」


「シク・クォーテツです。」


「ルンカ・カンバ。よろしく!マアカねえちゃん。」


「私はライジー・ジンオです。よろしくお願いします。」


「サウラ・ゴーウ。」


「アマといいます。」


 初対面同士の自己紹介終了。


「ねえ。ねえーちゃんはにいーちゃんたちとどういう関係なの?」


「どういう関係?・・・・うーん。」


 ルンカの質問を改めて考える。幼馴染?同級生?友達?なにが一番しっくりくる?


「私はザアイのガールフレンドでフィアンセで将来はワイフよ。才華たちとは・・・・・・・同類ね。」


 俺が悩んでいる間に、躊躇いも躊躇も恥もなく答えるマアカ。


「え?」


「えっと・・・・」


 才華や愛音と同じ答えに戸惑ったのはシクとアマ。同類というのはこれで理解できたと思う。


「ガールフレンド。ガールフレンド」


 ガールフレンドの反応したにはルンカ。


「フィアンセ・・・・素適・・・・。」


 フィアンセの反応しうっとりしているライジー。


「ザアイ?」


 マアカの俺の名の呼び方に首を傾げるサウラ。これは昔からで、悪意がないので全く気にしていない。

ちなみになんでこう呼ぶのかもわからない。


「てな関係。これからシクを含めて5人で生活していくことになるから。なに2人が3人になっただけ。」


 説明も面倒なのでこれでいいや。今まで2人だったお姉さんが3人になる。今まで2人だった頼りになる戦士が3人になる。今まで2人だったシクを可愛がる人が3人になる。・・・・・・俺のパートナーが2人から3人になる。・・・・・ハーレム。


「あ、はい。わかりました。よろしくお願いします。」


 シクは丁寧にお辞儀する。


「でマアカのことはここまでにして。シク、明後日は塾休みだよね。」


「はい。そうです。」


「ならば、かねてから計画していたアレを始める。」


 才華の顔がまじめな表情となる。なんだ?


「「「「「「あれ?」」」」」」


 アマと俺、愛音以外がはもった。もちろん、俺とアマはなにをするのか分からない。愛音は把握しているか。


「シク独立の一環の1つ。格闘術を始める。」


 才華は東方先生の代表的な構ええ、愛音は大魔王のカウンター技の構えをとっている。そういえば愛音が覚えさせたいって言っていたな。


「まあ。パンチ、っとキック、に投げ、はっ、受け身、ほっ、防御に回避、やっ、絞め技、極め技。をこんな感じにね。」


 愛音と才華は演武をシクたちに見せる。本格的だな、おい。この動きにルンカたちの目は輝き、アマも感心している。


「はあ。わかりました。」


「そのための服装はちゃんと用意してるから。」


 満面の笑みを浮かべる愛音に若干引くシク。今回はどんなのを用意したことやら。


「ねえ。才華ねえーちゃん、愛音ねえーちゃん。」


「どうしたの、ルンカちゃん。」


 ルンカが立ち上がる。


「それ、私もしたーい。」


「あ、ずるい、私も参加したいです。」


「無論、私も。」


 ルンカを皮切りにライジー、サウラも2人の前に出て懇願する。


「お。やるかー。」


 才華の表情が楽しそうになる。


「やるぜー。」


 ルンカも同調している。


「言っとくけど、愛音は厳しいぞー。マアカは加減しないぞー。私は怖いぞー。」


 腕を広げ恐怖を煽る才華。愛音もマアカも目が怪しく光っている。この絵面だとそうなるな。


「望むところだー。」


 自らを振るいたてルンカは両手を叫ぶ。


「怪我するわよ。痛いわよ。苦しいわよ。」


 愛音が脅しにかかる。


「い、いずれ0級登録者になる私です。乗り越えます。」


 腕を組んで胸を張るライジー。少しだけ声が上ずっていることは突っ込まない。愛音はその様子ににっこりしている。


「途中で辞めれると思うなよ。逃げれると思うなよ。泣いて嫌だといっても逃さないぞー。」


 マアカが脅しにかかる。


「4人でいるから大丈夫。」


 動じることなく親指を立てるサウラ。あら。カッコいい。


「その意気や良し。じゃあ、明後日、ちゃんと朝御飯を食べたらおうちへ集合。タオルと着替えの下着はもってくること。ちゃんと家族にはお話すること。」


「はーい。」


「分かりました。」


「承知」


「やるぞー。」


「「「「おー。」」」

 

 ルンカたちが腕を挙げる。その微笑ましい様子を愛音、マアカ、アマも笑顔で見ていた。


 

 翌日はマアカとともにギルドに行き、各手続を行い、その後、ガンソドで装備品の購入。


 矢除けのヘアピン(新しい花の形のもの) 常春のマント 鎖かたブラ(中心に剛と入れている)ガルララブーツ キリアルガのナイフ  


 マアカは武器として試作品のハンマーを購入した。ハンマーを選んだ理由は刀と薙刀で斬る、突くが出来るので、打撃武器にしたとのこと。

                          

 その後、シクを迎えにいき、イナルタさんにマアカの能力検査  


       力      SS 

       魔力     S 

       器用さ    A 

       知力     A 

       体力     A 

       頑強     A 

       素早さ    A 

       耐性     A

       適応力    SS

       運      S


 特性  自分よりワンランク上の能力に対応できる力がだせる。


 愛音に近いけど、よりパワータイプなのか。イナルタさん曰く魔力のおかげで、見た目以上の力を出せるらしい。


 ですか。特性のほうは


 「自分よりちょっと各上の能力になら対応できるってこと。」


 だとイナルタさんの説明。ですか。ちょっとがどれくらいだが分からんが、各上相手に一方的に負けることはない。これもチートだよね。チートだよね。つええよね。なんじゃそりゃ。


 マアカのあと愛音もしてもらっていた。なぜだ?


       力      A 

       魔力     S 

       器用さ    SS 

       知力     A 

       体力     A 

       頑強     A 

       素早さ    A 

       耐性     A

       適応力    SS

       運      S


 以前より、力が下がり器用さが上昇している。こっちも何故だ?愛音はそんな予感がして調べてもらったのか。


「・・・・・・・・・なにかのきっかけで能力が変わることはあるわ。」


 イナルタさんは対して気にしていないのであることなんだろう。切っ掛けねえ。・・・・・・・・あれで?いや。まさか。でも山の件を考えると。・・・・・・・・・・・・。俺を変な目でイナルタさんが見てきたので考えるのは中止した。


 どっちにしろ3人とも強いね。頼りになるね。



 そして、稽古初日。


 ジャージ姿の俺は庭で参加者を待つ。


「お待たせー。」


 上下道着姿の才華が皆を引き連れてくる。


 俺より強い奴に風道着のシク。ゾンビアイドル風ジャージのルンカ。東方は赤く風道着ライジー。努力と根性風体操着のサウラ。 


 おいおいおいおいおいおい。コスプレパーティかよ。


「皆、可愛いよね。」


 剣道着姿の愛音がスマホを構えながら出てくる。まあ。2択でいったら可愛いよ。


「ヴィヴ!異世界ライフ。」


 手で顔を抑えているマアカは上が道着に下が袴。興奮しているせいか、言葉がなんかあれだ。


 ・・・・・・俺達これから何をするんだっけ?



「これから稽古を始めるけど、その前に強くなるにためにどうすればいいか、ある流派の言葉を伝えるよ。よーく覚えておいてね。」


 整列したシクたちの注目を浴びる才華は指を立てる。誰だ?


「よく動き、よく学び、よく遊び、よく食べて、よく休む。」


「それは有名ね。それを実践したら、夜空の星だって壊せるわ。」


 才華の言葉にマアカは頷く。 誰だ?マアカが反応するってことは俺も知ってそうだが。うーん。


「わかりました。」


「覚えたー。」


「誰の言葉かしら。」


「へえ。」


「マアカ。これ誰の言葉?」


 俺は答えが気になり、マアカに尋ねる。


「甲羅の仙人。」


 そうきたか。


「じゃあ。早速、準備運動して、ランニングするよ。」


 異様な姿の子供4人と大人4人はこの街を囲む城壁を走る。城壁まですれ違った街人の目線を気にしない女性陣は皆大物なのだろう。


 

「「「「えい。えい。」」」」


「ルンカ。勢いでやらない。ちゃんと1回1回丁寧に。」


「はい!」


「ライジーちゃん、力みすぎ。サウラちゃんは戻るときも意識して。」


「「はい。」」


「シク。かわいいんだけど、掛け声と一緒に目をつぶっちゃだめ。ちゃんと打つところは見据えてね。」


「あ、はい。」


 4人は前突きを繰り返しているが、シクは掛け声と一緒に目がつぶっている。気合いを入れているのは分かるし可愛いのも分かる。


 愛音は正面から、マアカは横から、才華は周囲を回りながら4人の動きを見て、俺はその愛音とマアカの間からビデオカメラで撮影。才華は動きの確認のためと言っているが、それだけなのかは正直怪しい。


 4人は真面目に稽古をしているがどこか楽しそうではある。


 ・・・・・・運動会とかで子供の撮影をする父親ってこんな気分なのかな。


「なーに、運動会とかで子供を撮影する父親ってこんな気分なのかなって思っているのさ。在人。まだまだそんな領域には達してないのに。」


「なーんで。人の心を読むのさ。才華。ますます異常な領域に達しているね。」


 才華の位置からだとカメラで目線は隠れていたはずなのに。


「目線じゃなくて動作。」


「気配ね。」


「表情は基本。」


 俺はまだ口にしてないうち、才華、愛音、マアカが疑問に答えた。マアカの視界に俺はいるから表情なのはわかる。うん。で。俺は愛音の後ろにいる。気配?魔力の気配?気ってやつ?


「・・・・・・そんなに分かりやすい?」


「まあ。私と愛音は長年だからってところはあるけど。はい。次は前蹴り。始め!」


 まあ、幼馴染だからね。


「集中すればね。マアカはなんで?」


 まあ、四六時中読まれているわけではないから、ある程度、意識して集中したときに読まれるのだろう。


「私は必須だったから。」


 詳細は知らないが心理の読みあいが必要だったと。


「マアカの経験上で判断するとどうなる?」


「2択でいったら、読みやすいわね。」


「ですか。うーん。ですか。」


「ですね。で。ザアイはなにを悩んでいるの?」


「いや。そんなに読みやすいって、今後、致命的かなって。表情から作戦とか読まれたりして、3人の足を引っ張りまくるんじゃないのかと。」


「ザアイ。私の心配を」


 感動で口を押えて震えているマアカ。私だけじゃないけど。心配してることは否定しないけど。


「あーしてる。してる。だけど、今は4人を見てあげて。」


「私たちなら、引っ張る力を利用して、在人を前に飛ばすから安心して。4人とも腰も意識してね。」


「あら、カッコいい。」


 こっちを振り替えず答える愛音。


「胸でかいなーとか。かわいいなーとか。おしり触りたいなーとか常時思っているのはもうわかっているから気にしなくていいよ。」


 ・・・・・・・・・前蹴りしているから、シク達は気付かないけど、教育によくないよ。 大声で突っ込むべき、ところだがシク達の邪魔をするわけにはいかない。


「才華。俺はどこから突っ込むべき?」


「ここからどうぞ。」


 才華は胸を張って腕をそこから下へと体をなぞる。胸腹腰と突っ込めばいいのか。それもシクたちが、見たら・・・・あ!サウラ見てた。見て見ぬふりをしているが、サウラだからどうでるか読めん。


「はい。辞め。このまま休憩ね。」


 愛音が手を叩く。


「水分補給を忘れないでね。在人。」


「あいよ。」


 4人にタオルと飲み物を渡す。


「さて、4人とも休みながらでいいから、見ててね。在人5分計って。」


 愛音が跳躍し、才華も肩を回し対峙する。


「えーとおふた方?」


「私たちも習っていたときより鈍っているからね。まあ、今日は初日だから軽めだけど。」


「テリカのときみたいになるわけにはかないから。それに在人も頑張ってたからね私たちもっと」


 合図もなく出た才華の右ストレートを愛音は左手で止める。そのままなんでもありありの組手が始まる。懐かしいなあ。武術は教えれるが武道は教えれない、譲二じいさんの稽古を思い出す。それに2人もテリカ・ヒッスとの闘いで反省をしているようだ。


「マアカ。休憩毎にこうするの?」


「ええ。次は私と愛音。」


「・・・・・・興奮しすぎたら止めに入るし入ってね。マジで。俺1人だと負傷ありきになる。」


 このわずかな会話のうちに2人の攻防は激しくなる。魔法こそ使わないが、2人の動きは俺達の世界ではできない動きになっていた。4人も口をあけっぱなしだ。見えているのか?これを見させていいのか?


「ですか。」


「ですね。」


 あ。パロスペシャル。あ、タワーブリッジ。今は組技の掛け合いになってる。


「・・・・マアカ。」


「なに?ザアイ」


「あそこまでとはいわないけど、俺の稽古にも付き合ってね。」


「よろこんで。朝でも昼でも夜でも、ここでも、城壁でも、ベッドでも。」


 ・・・・・・うん。俺も頑張ろう。とりあえず、マアカの言葉はスルー。


 俺はこのとき、無謀なことを言っていたことに後で気付く。


 次の休憩のとき、マアカは愛音と互角に戦っていたからだ。




















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