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テコ入れヒロイン

「まずは、在人の現状確認からね。」


「そうね。」


「私は在人の彼女で婚約者で嫁。」


「はい。そうです。」


 そうだね、才華。いつも言っているね。


「私が在人の恋人で許嫁で妻。」


「はい。そうです。」


 そうだね、愛音。いつも言っているね。


「私がザアイのガールフレンドでフィアンセでワイフね。」


「はい。そうです。あ。」


 それ初耳だね、マアカ。いつから言っているの。俺の肯定発言に喜んでいる場合じゃないよ。


「在人、言いたいことは?」


「え、えーと。2人は昔からそうだったけど、マアカはいつから?その好きというか?狙ってた?わけ?」


 いつから、俺のことを好きになったわけ?これ聞くのも答えるのも恥ずかしいよな。・・・・・少なくとも中学時代は感じなかった。


 あれ?俺、鈍感系ってやつ?俺に好意を向けてくれる唯一無二だった2人はその表現が光速のストレートだった。そうそれだ。俺が置き去りになるストレートしかなかったから、それが普通だと思ったんだ。きっとそうだ。だから気づかなかった。これなら仕方ない。うん。


 ・・・・・・・ないな。これはない。


「ザアイたちと離れたあの日。」


 つまり、留学期間が終わった次の日。ふう、留学期間中ではない、俺は鈍感系ではない。俺の思った通りだ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんか納得したら泣きたくなった。


「空港でのザアイのあの言葉。在人は覚えてないと思うけど、その言葉を聞いたとき。」


 顔を赤らめて俺から目を逸らすマアカ。・・・・・・・はい。覚えていません。3人で見送ったのは覚えている。2人きりになったのも覚えている。けど、覚えてない。


「それって告白?」


 愛音がストレートに聞く。それはないと思う。


「ううん。他愛のない言葉。でもあのときは在人しか言ってくれなかった。」


 俺は何を言ったんだ?


「ただ、お別れだったからってのもあるけど、・・・・あのころの私に、ザアイの隣にいることもいる資格も告白する勇気もなかった。」


 あっら、可愛い。しおらしい。でも俺の隣にいるなんて超絶楽だし、簡単だよ。今なんか立たれると俺が困るくらいだよ。


「でも、今の私はザアイの隣にいれる。だから会いに来た。3人の関係は分かっているけど、私も在人との子が欲しいから。」


 愛音と才華をまっすぐ見つめるマアカ。思い想い重い宣戦布告。2人は敵意こそ感じないがなにを考えているのか?こういうのって本人を目の前にするもんだっけ?あと・・・・・・・・・子供って、気が早くない。


「あ、あの、俺そんな」


 才華といい、愛音といい、マアカといい、重すぎる気配を感じる。俺はそこまでの価値ないよ。


「あなたたちがどこまでいっているのか分からないけど、私はそこまでたどり着く。必ず。」


 ま、まぶしい。力強い宣言に輝きを感じる。


「どこまでいってる?もう取り返しのつかないところまでだよ。」


「マアカは昔の在人しか知らないせいかもしれないけど、甘く見ているわね。まだまだそこまでいってないと思ったのかしら。」


 余裕のある笑みを浮かべる2人。マアカの輝きを飲み込む闇が室内に広がる。暗くてなにも見えない。


「・・・・・・どういうこと?」


 マアカは怪訝な顔をする。


「「どうだと思う?」」


 質問に質問で返す2人の顔は妖艶な笑みへと変わる。


「・・・・・・・・・・・・・え?いやでも、どっち?」


 答えに近づいたマアカが俺のほうを見る。あ、揺れてる。


「えっと。」


 マアカが顔を近寄せてくる。言わなきゃいけないのか?


「私で脱して。」


「私に出した。」


 つい先日も聞いた言葉。


「・・・・・・・・・私がいるのに?」


 目が怖い。怖い。ヤンデ・・・・・・・。あ、揺れてる。


「マアカ。落ち着いて、落ち着いて。いるのにって言われても、俺がマアカの気持ちを知ったのつい数分前。一線先日、告白今日だよ。どうしようもない。」


「・・・・・・そうね。そうよね。ごめんね。焦っちゃた。マアカ反省。テへっで合ってる?」


 テヘペロって。まあ。落ち着いたらよしとしよう。


「ふう。1つ確認するけどザアイはどうなの?2人に押し切られただけじゃないの?告白とかは?」


 ・・・・・・まあ。そうだよな。そう思うよな。俺が告白する勇気のある人物には見えないよな。今も昔も。


「・・・・・・・まあ。一応した。そのときに。」


 あの流れの中だけど、告白というか、

 

 ほぼ現状と変わらないからな。扱い雑でも文句言うなよ。期待するなよ。選ぶという考えに使う思考をなくすため、現状の体制でいくからな。泥沼になるからな。好きだからな。俺は数少ないチャンスを簡単に手放す気はないらな。誰かにあげる気もないからな。1人くらい増えてもあーだこーだいうなよ。シク?シクは妹ポジションだろ。世間なんてしったことか。俺を単独独占できると思う女性はすかんぞ。広い心を持ち合うようにするぞ。捨てるなら容赦なく斬り捨ててくれ、じゃないと途切れないぞ。変わる努力はしても変わらないほうが多いからな。そんな俺でいいなら・・・・・・俺もいてほしい。


 と宣言はした。2人もあの宣言を思い出しているようだ。呆れつつも受け入れた2人には感謝。


 「そう。」


 目を伏せてしまうマアカ。


「だから、期が来たときにマアカの気持ちと俺への評価が変わらなったら・・・・ってことで。少し待っててくれよ。」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 俺はマアカの手を握ぎる。マアカがぼけーっと思考停止している。驚きなのか、喜びなのか。表情では分からない。


「「在人?」」


 違うベクトルで思考停止し、首をかしげて目が見開く2人。


「・・・・・俺は言ったよ。1人くらい増えてもあーだこーだいうなよって。そんな俺でいいんだよな。って。その候補が今目の前にってことだ。」


「く・・・・・・。」


「確かにそうね。」


 2人が反論できないでいる。あの宣言は無駄じゃなかったんだ。


「・・・・・それに、俺を好きだって言う異性なんて、本当にいなんだぞ。3人しかいないんだぞ。レアだぞ。きっと誰もが納得するさ。ツチノコのほうが発見しやすい。もしもボックスや木こりの泉とか未来の道具でも改善不能。ギアスで命令されても拒否られる。ってね。確保して悪いか!俺だって男だ。ハーレムほしい。金髪巨乳が視界にいてほしい。幼馴染以外の女性がほしい。そんなときあるさ。いいだろ、夢見たって。マアカ美人だし。好きって言ってくれるなら俺だって応じたい。それにマアカだし。」


 俺はしゃべっているうちに本音が爆発した。


「今の俺はこんなんだからな。マアカ。」


「は、はい。」


 俺はマアカをビシっと指さす。暴走した俺を見て驚いたのか背筋を伸ばした。あ。揺れた。


「仮にマアカの立場が愛音や才華だとしても同じことを言ってたぞ。それは自信をもっていえる。」


 2人もあっけにとられていた。これは偽りない本心。


「ふふ。まあ。在人ね。それが。」


 愛音が口に指を当て納得した。そのとおりだよ。


「なんだ。なんだ。鼻の下のばしやがって。在人。胸にばっかり目が行きやがって。ここにもあるだろ、その手にちょうどいいものがここに。あの日わかっただろ。」


 自分の胸をもちあげる才華。おいおい。ま、否定はしないけど。とりあえず、2人とも納めはしたのか。ふう。


「ふふ。」


「なにがおかしいのよ。マアカ。は!胸なしとか思ってるのか。服装で分かりにくいかもしれないが私はちゃんとあるぞ。金床、まな板とか思ってたら、大間違いだぞ。」


 胸を張る才華。マアカの視線はその山にいく。


「ええ。確かに才華のは『ある』だわ。」 


 マアカは立ち上がり、愛音の横に移動して愛音を立たせる。


「そう。才華のは『ある』。でも・・・・・私たちのは『溢れ出る』って言うのよ。」


 胸をくっつけあい、才華を見下ろすマアカと愛音。マアカは勝ち誇り、愛音はにっこり笑顔。いいな。これ。挿絵とかほしい。


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」


 敗北した才華は椅子から転げ落ち、窓を壊しかねないほどの絶叫を上げた。そして、今度は俺に抱き着いてくる。


「ざいと~。胸しかない幼馴染止まりヒロインとテコ入れヒロインが私を見下してくるよー。あれってヒロイン失格だよね~。」


 とりあえず、頭はなでておくが、サブヒロインとかテコ入れヒロインって。ムッとした2人がいるよ。


「幼馴染はあなたもでしょう。ただ在人の好きなのは黒髪乙女。金髪ヒロイン、赤髪ヒロインはお遊び止まりじゃないかしら。」


「ダブルヒロインが力不足だったから、テコ入れヒロインが必要になったってことね。まあ幼馴染は負けフラグらしいからね。」


「ほう。私が負けフラグに屈するヒロインに見えるかね?私にはそれを粉砕するポイントがいっぱいだよ。在人の望みを叶えているこの天才的頭脳。在人の腕の中にちょうどよく収まるこの体。恥ずかしいところのないこの美貌。おっとおまけに間違いようのない金持ち。」


「一般人には理解できないかつ一般人を理解しない頭脳。発達不足のおかげ。露出狂。金持ち特有のズレがあるってことね。金持ちのズレは隣もだけど。」


「どれもこれも取返しの付かないレベルね。あと愛音、隣って私のことかしら?」


「わかってはいるのね」


「へえ?」


「言うねえ。」


 三つ巴の戦いが高熱を帯び、俺はおいてけぼり。まあ、仲がいいってことで、終わらせよ。以前は1歩2歩マアカが引いていたが、今は対等にぶつかりあっている。精神面も成長したってことだね。


 ・・・・・・・冥界三巨頭 伝説の三忍 三面拳 鎮守直廊三人衆 鋼鉄聖闘士 三大スーパーサイヤ人 三闘神 魔界三大妖怪 三柱神 海軍三大将 



 30分後


「「「ねえ。どう思う?」」」


 ぼけーっと話を聞き流していたら、俺に飛んできた。・・・・・・・・・なんか面倒だな、もう。


「ん。俺を好きだって言ってる時点で、メインサブ関係なく歪みヒロインじゃないの。」


 3人とも不満そうな顔をする。


「俺は3人とも好きだけど。」


 戦いを終わらせるために言った言葉は効果抜群であり、3人に抱き着かれた。とりあえず、メインサブは判らんが、ちょろインの分類には当てはまることは間違いない。



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